妻の不貞行為で慰謝料は請求できる?立証のための証拠集めや注意点を徹底解説
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妻の不倫が発覚した場合、離婚して慰謝料を請求しようと考える方が多いかと思います。
不倫の慰謝料を請求するためには不貞行為の証拠が必要で、妻が証拠を隠してしまう前にどれだけ証拠を集められるかが、慰謝料請求が認められるかどうかのキーポイントになってきます。
この記事では、妻が不倫をした際の証拠集めのポイントや、離婚をする際の注意点についてわかりやすく解説していきます。
妻だけでなく不倫相手に対しても慰謝料を請求できる
不貞行為の慰謝料は、不倫をした妻に対してだけでなく、不倫相手に対しても請求することができます。
ただし、不倫が疑われるのであればどんな状況でも慰謝料を請求できるわけではなく、慰謝料を請求するためには一定の要件を満たしている必要があります。
妻に慰謝料を請求するための要件
妻に対して慰謝料を請求するための要件は以下の通りです。
- 不貞行為(肉体関係)があったこと
妻が不倫相手と肉体関係にあったかどうかが重要です。ただ2人でデートをしていただけだったり、キスをしていた証拠の写真を持っていたとしても、慰謝料の請求までは認められないケースがほとんどです。 - 長い間別居しているなど夫婦関係が破綻していないこと
もう何年も別居をしていたり、別居はしていないけど家の中で全く口を聞いていない場合など、すでにこちらの夫婦関係が破綻していると認められる場合には、妻の不貞行為により精神的損害を被ったとは認められず、慰謝料の請求が認められないケースがあります。 - 妻の不貞行為に対して夫の責任が認められないこと
夫のDVやモラハラなどが原因で妻が不倫をしてしまったと認められる場合には、慰謝料請求が認められないケースがあります。 - 妻に対する慰謝料請求権に時効が成立していないこと
不貞行為の慰謝料を請求する権利は、「妻の不貞行為を知ったとき」から3年で時効にかかってしまいます。そのため、あまりにも昔の不倫に対して慰謝料を請求したとしても、妻から時効を主張されてしまった場合には、慰謝料を請求することはできません。
不倫相手に慰謝料を請求するための要件
不倫相手に対して慰謝料を請求するためには、妻に慰謝料を請求するための要件に加えて、以下の要件を満たすことが必要になります。
- 不倫相手に故意・過失が認められること
故意:夫が既婚者であることを知っていた
過失:夫が既婚者であることを知らなかったが、知らなかったことにつき過失がある場合
(ex.常に左手の薬指に指輪をしていたにもかかわらず、既婚者であることに気づかなかった場合) - 不貞行為によって「夫婦として平穏に暮らす権利」の侵害を受けたこと
不貞行為により、夫婦関係が悪くなってしまい離婚をすることになってしまった場合など、「夫婦として平穏に暮らす権利」の侵害を受けたと認められる必要があります。 - 不利相手に対する慰謝料請求権に時効が成立していないこと
妻の不倫相手に慰謝料を請求する権利は、「不貞行為および不倫相手を知ったとき」から3年で時効にかかってしまいます。この時効は、たとえ妻の不倫に気づいていたとしても、不倫相手が誰だかわかっていない場合には進行しません。
なお、不貞行為の慰謝料の時効に関しては、こちらの記事もご参照ください。
不倫の証拠集めの4つのポイント
妻に不貞行為の慰謝料を請求するために重要なポイントは以下の4つです。
- 「不貞行為」の証拠を集める
- スマホを勝手に操作しない
- クレジットカードの利用明細を勝手に確認しない
- 1人で不貞行為の証拠を集めるのは難しい
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
「不貞行為」の証拠を集める
不倫をした妻や不倫相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為があった証拠をできる限り集める必要があります。
「不貞行為」とは、妻が不倫相手と肉体関係にあったことを指します。
そのため、必要とされる証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
不貞行為の証拠として有効なもの
- 自宅やホテル、車の中で性交渉をしている動画や写真
- 裸の2人がベッドで横になっている写真
- 2人でラブホテルに出入りしている写真 など
ほかにも不貞行為の証拠となるものはたくさんありますが、証拠集めの際には「肉体関係があったことを証明できるかどうか」がポイントになります。
なお、不貞行為の証拠に関してはこちらの記事もご参照ください。
スマホを勝手に操作しない
妻のスマホを勝手に操作して証拠を得ようとする行為は、たとえ夫婦間であったとしても妻のプライバシーの侵害にあたり、不正アクセス禁止法などの法律に触れるおそれがあります。
たしかに、不倫相手とのLINEの中に不貞行為をほのめかすような発言があったり、2人でベッドに入っているいる写真がカメラロールに保存されていれば、有力な証拠になるのは間違いありません。
しかし、一般的に、異性と連絡を取り合っていただけでは、慰謝料請求が認められるほどの強力な証拠とはいえません。
また、妻が不倫をしていなかった場合には、スマホを覗き見したことにより、夫婦としての信頼関係を壊してしまうおそれもあります。
妻のスマホから証拠を掴もうとする場合には、あらかじめ弁護士に証拠の集め方について相談してみることをおすすめします。
妻の郵便物を勝手に開封しない
不貞行為の証拠を集めるために妻宛の郵便物を勝手に開封すると、「信書開封罪」に該当し、刑罰が科されるおそれがあります。
クレジットカードの明細書に身に覚えのない旅館やホテルの支払い履歴があったり、男性に対するプレゼントと思われる商品の購入履歴が記載されている場合には、不貞行為の間接的な証拠として認められる可能性があるでしょう。
しかし、妻宛で送られてくる郵便物は法律上の「信書」に該当し、正当な理由なく勝手に開封してしまうと「信書開封罪」という罪にあたってしまうおそれがあります。
不貞行為の証拠を掴むためであっても、「正当な理由」とは認められないケースも多いです。
また、勝手に郵便物を開封してしまったことは妻に確実にバレてしまうため、夫婦関係を壊すことにも繋がってしまいます。
最悪の場合、妻から離婚の慰謝料を請求されてしまうおそれもあるため、妻宛の郵便物を勝手に開封するのはやめておきましょう。
1人で不貞行為の証拠を集めるのは難しい
不貞行為の証拠はできるだけ多く集めるに越したことはないですが、1人で集めるのが困難であれば、弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
弁護士に不貞行為の証拠集めや慰謝料請求をするメリットには、おもに以下のようなものがあります。
弁護士に不貞行為の証拠集めや慰謝料請求をするメリット
- 法に触れない証拠集めの方法についてアドバイスをもらえる
- 法的に有効な証拠かどうか判断できる
- 妻や不倫相手との交渉を優位に進めることができる
- 裁判になったとしても対応を任せることができる
- 慰謝料だけでなく、財産分与や婚姻費用、親権の獲得など、離婚に関する手続きに全て対応できる
- 慰謝料を払ってもらえない場合には裁判を起こして財産を差し押さえることができる
不貞行為の証拠集めは、探偵事務所や興信所に依頼することも可能ですが、対象者に何日も張り付いて証拠の写真を撮影したりするため、調査費用が高額になるケースが多いです。
また、実際に慰謝料を請求することになっても、探偵では慰謝料の請求まで対応することができません。
その点、弁護士であれば、証拠集めから実際に慰謝料を請求するところまで全て対応することが可能ですし、提携している探偵事務所があれば、割引価格で紹介してもらえるケースもあります。
当事者同士ではなかなか進まない慰謝料の交渉も、弁護士が間に入ることでスムーズに話がまとまるケースも少なくありません。
妻の不貞行為で慰謝料の請求を検討している場合には、証拠集めの段階から弁護士に相談することをおすすめします。
妻と離婚をする際の2つの注意点
妻の不貞行為が原因で離婚をする場合、以下の2つの点に注意しておく必要があります。
- 慰謝料を請求しても金銭的にプラスにならないことがある
- 妻に親権を奪われてしまうおそれも
それぞれ詳しく確認していきます。
慰謝料を請求しても金銭的にプラスにならないことがある
離婚するときの財産分与の結果次第では、妻に対して慰謝料を請求したとしても、金銭的にマイナスになってしまう可能性があります。
離婚をする場合、婚姻生活中に夫婦で協力して得た財産をお互いに分け合う財産分与の取り決めも合わせておこなうことになりますが、たとえ妻の不倫が原因で離婚になってしまったとしても、妻は財産分与を受ける権利を失うことはありません。
そのため、財産分与をおこなうことで、今ある財産を妻に対して配分しなければならず、慰謝料を請求することを考慮したとしても、夫が妻に対して支払う金額の方が大きくなってしまう可能性があるのです。
妻に不倫をされながら婚姻生活を続けていくのは、精神的に厳しいのは間違いないですが、離婚をすると金銭的にマイナイスになるかもしれないというデメリットがあることも、しっかり頭に入れておく必要があるといえるでしょう。
妻に親権を奪われてしまうおそれも
妻が不倫をしたからといって、必ずしも夫が親権を獲得できるとは限りません。
「両親の離婚に関する問題」と「子どものこれからの生活に関する問題」は別の問題として考えるべきで、母親と生活する方が子どもの将来にとって有意義なものになるのであれば、親権も父親ではなく母親に認められます。
親権は、以下に挙げるような事情を総合的に考慮し、子どもの将来にとって最良の選択になるように決定されます。
親権を決定する際の考慮要素
- 子どもに不自由なく生活させるだけの経済力
- 仕事の時に子どもの面倒を見ることができるか
- これまでの生活状況
- 子どもに対する愛情
- 子どもが15歳以上であれば子どもの意思 など
とくに日本では、親権は父親ではなく母親に認められる傾向が強いため、父親が親権を得るためには、母親が親権者として相応しくない事情や、父親が親権者として相応しい事情を、具体的な証拠として提示していく必要があります。
妻の不貞行為で離婚すべきか悩む場合の対処法
では、ご自身の奥さんの不貞を知ったことをきっかけに、奥さんと離婚するかどうか悩んだとき、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか。
以下、考えられる対処方法を記載しますので、参考になさってみてください。
友人等身近な第三者に相談してみる
まずは自分だけで悩まずに、あなたや奥さんのことを知る第三者に相談してみましょう。
もしかすると、あなたの友人の中に同じような経験をした方がいるかもしれませんし、客観的に他人からみてどのようにすべきと考えられるのか、意見を聞くことはあなた自身の視野を広げることにつながりますので重要です。
友人は、あなた自身、また場合によってはあなたの奥さんの人柄や、これまでの関係性、経緯等を踏まえてアドバイスしてくれるかもしれません。
カウンセリングを受ける
夫婦そろってカウンセリングを受けることも、夫婦の今後を決めるにあたって有効です。
カウンセラーはお話しを聞くプロフェッショナルですので、偏見なくご夫婦双方のお話しを聞いた上で、今後どのようにすべきなのか、客観的なアドバイスをくれるでしょう。
この手段を取ることにより、奥さんのことをより理解することができるかもしれません。
夫婦円満調停を申し立てる
家庭裁判所に対して、夫婦円満調停を申し立てる方法もあります。
調停は、家庭裁判所で調停委員という人を交えた話し合いの場です。
離婚を進めたい人が調停を申し立てる(離婚調停)こともありますが、夫婦関係の円満化を図りたい人も調停を利用することができます(円満調停)。
調停の場では、男女各1名ずつの調停委員が夫婦それぞれから交互にお話しを聞き、今後の夫婦関係をどのようにしていくべきなのか、考える道筋を示してくれるでしょう。
妻の不貞行為に関するよくあるQ&A
ここでは、奥さんの不貞行為が発覚したときに、よくある質問とその質問に対する答えを解説します。
参考になさってみてください。
妻が離婚したくないと主張するときはどうすべきか。
とくにまだ幼いお子さんがいらっしゃる場合、奥さんとしてはお子さんのことを考えて今は離婚したくないと主張することがあるでしょう。
ご夫婦が離婚するかどうかと、お子さんの今後のことは深く関係しますので、ご夫婦でどのようにするのが望ましいのか、よく話し合う必要があります。
ご夫婦だけでは結論がでないこともあるでしょうから、互いの親族や友人等を交えた話し合いをすることも有効かもしれません。
離婚手続きは自分たちでできるのか。
離婚手続きはご夫婦のみで進めることができます。
必ずしも、弁護士に頼んだり、裁判所を通したりする必要はありません。
ですが、離婚するにあたっては、離婚条件をどうするのかを決めることが極めて重要です。
特にお子さんがいる場合には、親権を始め、養育費や今後の面会交流等、決めなくてはならないことがたくさんあります。
また、それらの条件は原則として今後ご夫婦を拘束することになりますので、弁護士に相談し過不足のないように定めておく必要は高いといえます。
不貞相手に対する慰謝料請求と、妻との離婚のどちらを先に進めるべきか。
この点に関しては、実はとくに決まりはありません。
両者を同時に進めることもありますし、どちらかを先に進めることもあります。
ですが、あなたが何を優先的に考えたいのかによって、不貞相手に対する請求と奥さんとの離婚のどちらを先に進めるべきか、異なる場合があります。
個別的な事情によって左右される内容ですので、弁護士に相談されることをお勧めします。
まとめ
妻が不倫をした場合には、妻と不倫相手の双方に慰謝料を請求することができます。
慰謝料の請求には、不貞行為の証拠がどれくらいあるかが重要ですが、証拠を集める際には、盗撮や盗聴などを含め違法とならないよう十分に注意し、法的に有効な証拠を効率よく集めていく必要があります。
いざ離婚をする場合には、金銭的にマイナスになってしまうおそれや、親権をとられてしまうリスクがあることを頭に入れておき、今後の生活について計画的に行動していく必要があるといえるでしょう。
妻に不倫をされてしまい、離婚や慰謝料の請求を考えているのであれば、慰謝料請求で損をしないためにも、不倫の慰謝料請求の経験が豊富な、私たち東京スタートアップ法律事務所にぜひご相談ください。
- 得意分野
- 債務整理、刑事事件、国際事件
- プロフィール
- 京都府出身
英ブラッドフォード大学 卒業
上智大学法科大学院 修了