不貞行為をした側から離婚できない?不倫した側の離婚請求が認められる場合とは
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記事目次
パートナーとの結婚生活がうまくいかず不倫をしてしまった場合、離婚をして不倫相手と再婚したいと考えることもあるでしょう。
不貞行為をおこなった側からの離婚は認められないのが原則ですが、例外的に離婚が認められるケースも存在します。
この記事では、不貞行為をした側からの離婚が認められるケースや離婚の際に考慮される事情、離婚をするためのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
不貞行為をした側からは離婚できないのが原則
不貞行為をした側からの離婚は認められないのが原則です。
一度結婚をした以上、お互いの同意がない限り、離婚は認められないのが原則です。
しかし、次の事由が認められる場合には、お互いの同意がなくても離婚が認められます。
お互いの同意がなくても離婚が認められるケース
- パートナーに不貞行為があったとき
- パートナーから悪意で遺棄されたとき
ex.正当な理由がないのに同居しない、専業主婦である妻に生活費をいっさい渡さない - パートナーが3年以上生死不明のとき
- パートナーが強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- 婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
このように、民法には「パートナーに不貞行為をされた場合には離婚を請求できる」と規定していますが、不貞行為をした側からの離婚については、とくに規定されていません。
夫婦関係を破たんさせる原因を作った「有責配偶者」からの一方的な離婚の請求は、道徳的な観点から許されないと判断されるケースが多いようです。
不貞行為をした側から離婚できるケース
一方で、以下の条件に該当する場合、不貞行為をした側からの離婚が認められる可能性があります。
- パートナーが離婚に同意している場合
- 婚姻関係が破たんしている場合(破綻主義)
- 不貞行為をされた側にも責任がある場合(有責主義)
以下、それぞれ解説していきます。
パートナーが離婚に同意している場合
不倫をされた側のパートナーが離婚に同意していれば、不貞行為をした側からの離婚も問題なく認められます。
たとえ不貞行為があったとしても、離婚するかしないかは当事者の意思が尊重されます。
そのため、パートナーが離婚に同意していれば、不倫をした側からの離婚の請求であっても、基本的には認められることになります。
ただし、離婚を認めてもらうために、物理的・心理的に圧力をかけて無理やり離婚に同意させるなど、本人の意思で離婚に同意したとはいえない場合には、有効な離婚の同意があったとは認められないため、強引な交渉はしないように気をつけてください。
婚姻関係が破たんしている場合(破綻主義)
不貞行為の時点で、すでに婚姻関係が破たんしている場合には、不倫をした側からの離婚の請求も認められる可能性が高いです。
夫婦関係が破たんしている場合、民法で規定されている離婚できる事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、不貞行為をした側であっても離婚を請求することができます。
夫婦関係が破たんしていると認められやすいケースには、たとえば次のようなケースが挙げられます。
夫婦関係が破たんしていると認められやすいケース
- 5年以上にわたる長期間の別居
- 長期間の家庭内別居
- 日常的なDVやモラハラ
- 性生活の不一致
- 夫婦関係の悪化からお互いに関係を修復する意思がない など
ただし、これらのケースに該当すれば、必ずしも離婚の請求が認められるわけではなく、それぞれのケースで具体的な事情を考慮したうえで、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかが判断されます。
不貞行為をされた側にも責任がある場合(有責主義)
不貞行為をされた側にも、夫婦関係を破たんさせる原因がある場合、その責任の重さによっては、不貞行為をした側からの離婚が認められる場合があります。
たとえば、以下のような事由があれば、法定の離婚事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断される場合があります。
不貞行為をされた側にも責任があると認められやすいケース
- 日常的なDVやモラハラ
- 生活費を削ってまでギャンブルなどで借金を作ってしまう
- セックスレスや強制的な性行為
- 薬物依存 など
あパートナーとの結婚生活がうまくいかず不倫をしてしまった場合、離婚をして不倫相手と再婚したいと考えることもあるでしょう。
不貞行為をおこなった側からの離婚は認められないのが原則ですが、例外的に離婚が認められるケースも存在します。
この記事では、不貞行為をした側からの離婚が認められるケースや離婚の際に考慮される事情、離婚をするためのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
不貞行為をした側からの離婚で考慮される事情
不貞行為が原因で離婚をする場合、不貞行為の態様や悪質性など、それぞれのケースにおける具体的な事情が考慮されますが、とくに以下の2点につき重点的に考慮されます。
- 未成熟の子どもがいるかどうか
- 離婚することでどちらか一方が生活できなくならないか
それぞれ具体的にどのようなことを考慮されるのか、詳しく解説していきます。
未成熟の子どもがいるかどうか
離婚するときにまだ未成熟の子どもがいる場合、子どもの生活に影響が出ないように、離婚を認めてもらえない可能性があります。
未成熟の子どもとは、未成年の子どもだけではなく、経済的・社会的に自立していない成人の子どもを含みます。
離婚をして経済的に困窮してしまうと、未成熟の子どもが平穏な日常生活を送ることができなくなってしまうおそれがあります。
親の離婚で子どもの生活に影響が出ないように、離婚の際には、未成熟の子どもがいるかどうかが重点的に考慮されます。
離婚することでどちらか一方が生活できなくならないか
離婚をすることで、夫婦どちらか一方の生活が立ち行かなくなってしまう場合には、離婚が認められない可能性が高いです。
夫婦の一方が専業主婦(夫)の場合など、離婚により夫婦のどちらかが経済的に困窮し、または精神的にひどく落ち込んでしまうなど、日常生活に影響が出てしまうケースがあります。
離婚により具体的にどのような影響が出るかは、それぞれの家庭ごとに異なりますが、たとえば離婚をすることで生活保護を受けることになってしまったり、離婚のショックからうつ病を患ってしまうような場合、離婚の請求は認められない可能性があります。
不貞行為をした側からの離婚が認められた裁判例
ここで、不貞行為をした側からの離婚が認められた裁判例をご紹介します。
未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求が認容された事例
【事案の概要】
・同居期間15年
・別居期間13年11ヶ月
・夫56歳、妻54歳、子どもは4人
(子ども3人はすでに成人して独立、末っ子は高校2年生で、3歳のときに妻側に引き取られた
・夫は別の女性と同棲していて、自分の会社には不倫相手を妻として届出している
・夫は妻に毎月15万円の生活費を送金している
・夫は復縁を全く考えておらず、離婚を認めてくれるのであれば妻に700万円支払うと提案している
・妻は未成熟の子である末っ子を育てていくためには父親の存在が欠かせないとして離婚に反対
【ポイント】
未成熟の子がいる場合でも、不倫をした夫からの離婚の請求は認められるか
【裁判所の判断基準】
不貞行為をした側からの離婚の請求が、「信義誠実の原則」に照らして認められるかどうかは、以下の点を総合的に考慮して決定する。
・有責配偶者の責任の態様・程度
・相手方配偶者の婚姻継続についての意思および請求者に対する感情
・離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態
・夫婦間の子、とくに未成熟の子の監護・教育・福祉の状況
・別居後に形成された生活関係(不倫相手との生活状況、夫がいない状況での妻の生活状況)
・夫婦の一方または双方が別で内縁関係を形成している場合には、内縁の相手方や子どもとの関連性
・時の経過がこれらの諸事情に与える影響
【判旨のポイント】
・修復不可能なくらい婚姻関係は破たんしているため、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる
・別居期間は13年11ヶ月にもおよび、夫婦双方の年齢や同居期間を考慮すると、相当の長期間である
・夫の新たな生活関係の形成や夫の現在の行動等からは、もはや婚姻関係の回復を期待することは困難
・子どものうち3人はすでに独立しており、末っ子は未成熟ではあるが、3歳の時から高校2年生になる現在まで、妻のもとで不自由なく生活を続けられている。
・夫は妻に対して毎月15万円の生活費を送金している実績から、離婚をしたら700万円支払うことも期待できる
【判決】
・夫の不貞行為に関する責任や、夫が不倫相手と同居してからの妻の苦労や精神的苦痛を考慮したとしてもなお、不倫をした夫からの離婚は認められるべきである。
・妻側の精神的苦痛やこれまでの苦労に対する補償は別途慰謝料の請求等において解決されるべき
不貞行為をした側が離婚するための2つのポイント
不貞行為をした側から離婚をするためには、以下の2つのポイントを理解しておく必要があります。
- 話し合いでの離婚を目指す
- 離婚条件で情報する
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
話し合いでの離婚を目指す
不貞行為をした側から離婚を認めてもらうためには、調停や裁判などの裁判所を通した手続きではなく、夫婦間の話し合いでの離婚を目指すのがベストです。
一般的に、裁判では離婚をした側からの離婚は認められないケースが多く、時間や手間を考えると裁判で離婚の請求をすることは得策ではありません。
また、離婚するまでの期間が長引けば長引くほど子どもの養育に影響が出てきたり、会社の同僚やご近所さんなどから、「泥沼離婚」だと噂されることで、精神的に疲弊してしまうこともあるでしょう。
当然、別の異性と新しい生活を営んでいる場合には、離婚の話が進まずいつまで経っても安定した生活を送ることができません。
離婚条件で譲歩する
不倫をされたパートナーが納得するような離婚の条件を提示することで、話し合いでの離婚をスムーズに進めることができます。
離婚に関する条件でメインとなるものが、おもに以下の3つです。
【譲歩すべき離婚の条件】
不貞行為に対する慰謝料 離婚に伴う財産分与 親権や養育費などの子どもに関する権利 |
不貞行為に対する慰謝料
不貞行為が原因で離婚をした場合、パートナーに対して不貞行為に対する慰謝料を支払う必要があります。
不貞行為の慰謝料の相場は数十万円から300万円程度で、不貞行為の態様や悪質性、パートナーの精神的苦痛、お互いの経済状況、子どもの生活状況、不貞行為の証拠の有無、などにより認められる金額は異なります。
本来であれば、不貞行為の証拠を提示しない限り慰謝料は認められませんが、不貞行為をした側から離婚してほしいと請求するのであれば、誠意を持って謝罪するためにも、慰謝料の支払いをこちらから提示するのが良いでしょう。先ほどご紹介した裁判例では、慰謝料として700万円支払うことを提示していました。
ただし、不貞行為の証拠を掴むことができず、本来であれば慰謝料を支払う必要がないにもかかわらず、こちらから不貞行為の事実を認めてしまうと、それを証拠として慰謝料の支払い義務が発生してしまうおそれがあります。
離婚の交渉をスムーズに進めるために慰謝料を提示したほうがいいのか、提示せずに裁判まで起こした方がいいのかは、その時のさまざまな事情を総合的に考慮する必要があります。
自分で判断するのが難しい場合には、離婚トラブルに注力している弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
離婚に伴う財産分与
財産分与とは、「婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、それぞれの貢献度に応じて分配すること」です。
基本的には財産を半分づつに分けることになりますが、パートナーが経済的に不安を抱えている場合には、経済的な援助や不貞行為の謝罪としての意味も込めて、分配する財産の割合を多めにするのもいいでしょう。
また、財産分与でパートナーにお金を支払う場合であれば、分割ではなく一括での支払いを提案するなど、パートナーにとってメリットのある提案をすれば、離婚を認めてもらいやすくなるでしょう。
親権、養育費などの子どもに関する権利義務
離婚をする際に未成年の子がいる場合、親権をどちらが持つのか、養育費は毎月いくら払うのか、面会交流はどれくらいの頻度でおこなうのか、などの子どもに関する事柄を決める必要があります。
親権や養育費など子どもに関する取り決めは、子どもの将来を考え、子どもが不自由なく生活できるように取り決めをすべきです。
もちろん、こちらの生活が成り立たなくなってしまうほど無理をして養育費を払うべきではありませんが、少なくとも子どもを引き取るパートナーが、子どもの養育に困ることがないくらいの金銭的なサポートをするべきでしょう。
パートナーと十分に話し合い、離婚を認めてもらうにはどのような条件を提示するのがベストなのかを、常に探りながら交渉を進めていくようにしてください。
まとめ
不貞行為をした側からの離婚の請求は、認められないのが原則です。
ただし、①パートナーが離婚に同意している場合、②婚姻関係が破たんしている場合、③パートナーにも離婚の原因が認められる場合、のどれかに該当する場合であれば、不貞行為をした側からの離婚の請求も認められる可能性があります。
実際に離婚が認められるかどうかは、それぞれの具体的な事情を総合的に考慮して決定されます。
裁判になると離婚が認められない可能性が高いため、話し合いで離婚に合意してもらえるよう、パートナーが何を望んでいるのかを常に意識するようにしてください。
私たち東京スタートアップ法律事務所では、離婚トラブルに精通した弁護士が、離婚トラブルに悩む方を全面的にサポートいたします。
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「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設