不倫はどこから?不貞行為とは?定義や慰謝料請求の条件について解説
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記事目次
【5分で解説】どこからが不倫?慰謝料請求される境界線
今回の記事では、不倫の定義を紹介していきます。
どこからが不倫だと感じるかは、男女によって感覚が大きく異なるとされています。
しかしながら、法的責任を負うべき「不倫」を人によって異なる感覚で決めてしまうと、慰謝料を請求したり、離婚を認めたりすることはできません。
どこからが不倫と見なされる(悪いと感じる)かは、個人の感覚が別れるところかもしれませんが、法的責任を負うべき「不貞」については法律によってきちんと定められているのです。
今回の記事では、慰謝料請求が可能なケースや不倫だと判断される具体例を説明していきます。
不倫はどこから?不倫の定義
法律的には、一体どこからが不倫だと判断されるのでしょうか。
キスや手つなぎなど、人によって、浮気だと思ってしまったり、傷ついてしまったりするラインは異なると思いますが、法律的に不倫だと判断されるラインは明確に定められています。
不倫=肉体関係がある
法的に不貞行為とされるのは、配偶者がいるのにもかかわらず、他の異性と肉体関係を持つことです。
夫婦には、婚姻生活を平和に送るという権利ないし利益があるところ、不貞はこの権利ないし利益を侵害する行為であるため、違法であるということになります。
不倫と浮気は何が違う?
不倫とよく間違えられるのが浮気です。浮気とは、配偶者や恋人がいるのにもかかわらず、別の異性に目をむけることをいいます。単に他の異性に恋愛感情を持ったり、心が揺れ動いたりする状態を指し、肉体関係の有無は問いません。
一方で、不倫は配偶者以外の相手と肉体関係を持つことをいいます。つまり、浮気の方が広範囲を意味し、不倫の方が狭い範囲を指す言葉になります。
不倫はどこから?実際の事例で紹介
実際の事例で不倫の境界線を確認してみましょう。
既婚者とふざけてキスをした場合
例えば、ふざけてキスをしただけであれば、不倫そのものではありません。
肉体関係は伴わないからです。
既婚者と食事だけした場合
「既婚者から食事に誘われた…。」このような場合でも、一般的には不倫だとは判断されません。
どれだけお洒落なデートでも、個室であっても、ホテルディナーであっても、肉体関係がない以上、不倫にはなりません。
既婚者とデートした場合
「既婚者からデートに誘われた…。」このような場合も不倫にはなりません。
しかし、肉体関係が想定されるようなデートであれば、不倫だと判断されてしまう場合もあります。
例えば、日帰りで混浴銭湯に行った場合やドライブデートで車中泊した場合などです。
既婚者と夜な夜な会うだけの関係
ただ会うだけの関係であれば、不倫にはなりません。
しかし、肉体関係があったと思われるような会い方であれば、不倫とみなされてしまう場合があります。
例えば、本当に会っただけだったが、相手宅に宿泊した場合は、肉体関係があったかもしれないと考えられます。
本当に肉体関係がなかったとしても、不倫があったと考えられて然るべきとして、その責任を問われる場合があります。
既婚者とメールやラインをしているだけの場合
メールやラインをしているだけでは不倫に該当しません。
このため、どれだけメールの文面上でイチャイチャしていても、それは不倫にはなりません。「愛している」「好き」なども不倫にはなりません。
しかし、肉体関係があったと匂わせるようなメールであれば、それは肉体関係があったと判断されるため、不倫だと考えられます。
既婚者と手をつないだ場合
手を繋いだ場合も不倫にはなりません。
そこに肉体関係はないからです。
マッチングサイトに登録したり、婚活パーティーに出席した場合
マッチングサイトに登録したり、婚活パーティーに出席したこと自体は、特定の「不倫相手」や「交際関係」も生じないため、法的に不倫とは認められません。
配偶者からすれば、実際にマッチングしたかどうかに関わらず、サイトやパーティーで出会った相手と交際しているのではないかと疑いたくなるでしょうし、そのことをきっかけに夫婦関係が悪化することも考えられますが、登録したことや出席したことのみを理由に、不貞の慰謝料を請求することは難しいと考えられます。
ただし、マッチングサイトや婚活パーティーが恋愛や結婚相手を探すことを目的としたものである以上、配偶者以外の相手との出会いを求めていると見なされますし、実際に特定の相手と不貞関係に至る可能性を高める行為ともいえますので、離婚の一因となる可能性はあるでしょう。
配偶者以外に恋愛感情を抱いた場合
配偶者以外に恋愛感情を抱くこと自体は不倫とは認められません。
そもそもその恋愛感情から何かしらの行動を起こさない場合は、心の中で誰に好意を抱いたとしても特に誰かを傷つけたり、咎められることもないでしょう。
内心にとどまっている限りは、法的に不倫に当たることはなく、法的な責任を追及されることもありません。
もしも、配偶者へ「他に好きな人がいる」等と伝えた場合も、本人の好意以外の男女関係がないのであれば、不貞の慰謝料を請求することは難しいでしょう。
ただし、そのことで夫婦関係が悪化し、離婚の一因となる可能性はあるでしょう。
不倫によって起こるリスク
不倫にリスクはつきものです。
ですが、問題が起きてほしいと思いながら不倫をしている人は少ないでしょう。
ここからは、不倫にまつわるよくある問題について解説します。
トラブルが起こるリスク
仮に、不倫が職場や仕事の関係者にばれてしまうと、異動の対象となったり、何らかの処分を受ける可能性があります。
たとえキャリアに傷がつくようなことにならなかったとしても、軽蔑の眼差しを向けられ、肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。
親族や周囲の人々にばれてしまった場合も、好奇の目で見られたり、冷たい態度を取られたりすることに耐えなければいけません。
また、不倫相手が、不倫という関係に満足していない場合は、あなたの家族に接触しようとしたり、何らかのトラブルが起こる可能性があります。
実際に、不倫相手が配偶者に不貞関係を伝えてしまい、慰謝料トラブルに発展してしまうケースもあります。
配偶者に不倫をしていると疑われた場合は、トラブルに発展するリスクが高く、少なくとも夫婦関係が悪化してしまうでしょう。
対処法
不倫をしていると疑われた場合は、それが法的に不貞行為と認められる行為か否かに関わらず、トラブルに発展する可能性を孕みます。
どこからが浮気や不倫になるのかは、人それぞれ捉え方が異なります。
特に配偶者とは、不倫についての認識について話し合い、誤解を招くような行動は避けましょう。
慰謝料を請求されるリスク
法的に不貞行為とされる行為、つまり不倫相手と肉体関係にあった場合、配偶者からあなたと不倫相手に対して慰謝料を請求される可能性があります。
また、不倫相手も既婚者の場合は、不倫相手の配偶者からも慰謝料を請求される可能性があります。
さらに、肉体関係がない場合にも、その行為によって「平穏な夫婦生活を送る権利や利益」を侵害したといえる場合に、裁判所が慰謝料の請求が認めたケースがあります。
そのため、キスやデートなど肉体関係を伴わない行為についても、状況によっては慰謝料が認められる場合があります。
対処法
慰謝料を請求された場合は、無視をしても状況が悪化してしまうので、速やかに対応しましょう。
慰謝料のトラブルは、適正金額やそもそも支払うべきなのかといった複雑な判断が必要になるうえ、相手とのやり取りで精神的な負担もかかります。
トラブル対応の専門家である弁護士へ依頼すると、状況にあった適切な慰謝料額を算定してくれますし、相手とのすべての交渉や手続きを一任できます。
まずは無料相談で、請求された慰謝料より減額できるのか判断してもらうのがおすすめです。
離婚を請求されるリスク
不貞行為は、離婚事由の一つに定められているため、裁判をしても離婚請求が認められる可能性があります。
そのため、もしもあなたが、不倫はしたけれど離婚はしたくないと考えているのであれば、それは難しいかもしれません。
また、不倫相手と肉体関係を持っていなくても、不倫が原因で夫婦関係が修復不可能になった場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められる可能性があります。
逆に、不倫をした側が離婚を希望しても、不倫をされた配偶者が拒否した場合は、原則として離婚請求が認められません。
離婚をしたくてもできないというリスクが発生する可能性もあるということです。
対処法
離婚については、あなたがどのような結果を望んでいるのかによって取るべき対応も変わってきますが、弁護士であれば、離婚トラブルの交渉について熟知していますし、全ての手続きを代行することができます。
自分がどういった対応をすればいいのか、それぞれの状況に合わせたアドバイスを弁護士からもらうことで、状況の悪化を防げるでしょう。
また、一般的に離婚のトラブルは長期化しやすく、時間が経てば経つほど精神的に疲弊してしまいますが、弁護士は最後まで依頼者の味方です。
心の支えになってくれるという点でも、弁護士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
離婚可能な不倫の条件は?
不倫が発覚したことをきっかけに、離婚したいと考える方もいるでしょう。慰謝料の請求と同じように、双方が合意すれば離婚も可能ですが、相手側が離婚を拒否する場合もあるかもしれません。その際は、協議を行って離婚を決めることになります。そこで知っておきたいのが、離婚できる不倫の条件についてです。
民法上、裁判所に訴えられる離婚の条件として、以下の5つがあります。
- 相手が不貞行為を行った
- 相手が家を出た、または相手を追い出したなど
- 相手が生死不明の状態が3年以上続いている
- 相手が重度の精神病を患い回復の見込みがない
- その他、結婚生活の継続が難しい理由がある
相手が不倫した場合、この1と5に該当し、離婚を希望する旨を訴えることができます。相手が不貞行為を行ったとわかる証拠がなかったとしても、不倫相手と親密な連絡をとっていることがわかったり、逢瀬を重ねていたりすることがわかれば、精神的なダメージを受け結婚生活を継続できないと訴えることができる可能性があります。
不倫している配偶者に慰謝料を請求するには?
不倫がわかれば、それによって受けた精神的なダメージに対して慰謝料を請求できます。
慰謝料請求の根拠について
慰謝料とは、違法行為などによって損害を被り精神的苦痛を受けた被害者を慰藉する目的で支払われる、金銭的な償いのことを指します。つまり、違法行為によって受けた損害賠償の一種というわけです。そして、配偶者が不倫しているとわかったときに受けるショックは、精神的な苦痛に当てはまります。そのため、賠償として慰謝料を請求できるのです。
慰謝料は、当事者同士の話し合いで請求し、金額を決めていくことも可能です。しかし、配偶者や不倫相手が不倫を認めない場合や、連絡がつかない場合もあるでしょう。慰謝料の言葉を出した途端、それを拒否し続けることもあり得ます。そのような場合は、弁護士に依頼して弁護士から不倫相手へ連絡してもらったり、慰謝料を請求する通知書を作成して送ってもらう方法があります。それでも上手くいかない時は、裁判を起こすことも検討しなければなりません。
不倫相手に慰謝料の請求はできる?
慰謝料を支払う責任は、精神的な苦痛を与えた側が負います。不倫は必ず二人で行われるものですから、不貞行為を行った配偶者にも、その不倫相手にも、どちらに対しても慰謝料を請求できるのです。
仮に200万円という慰謝料の金額が適正だとして、自身の配偶者に対して200万円を請求して全額の支払いを受けた場合、不倫相手に対してさらに100万円を請求することはできませんのでご注意ください。多くの家庭では財布が共通ですから、離婚しない場合は自身の配偶者への慰謝料はあまり意味をなさないかもしれません。
したがって、夫婦が離婚しない場合は不倫相手だけに請求する場合が多いです。
不倫で慰謝料が請求できる場合
では、不倫を理由に慰謝料請求が妥当になるのはどのようなケースでしょうか。
まず、不倫の慰謝料に関しては、両者が合意すれば、どんなことを理由にしても、どんな額であっても可能です。
慰謝料というのは、被害者の傷ついた感情に対しての損害賠償であるため、被害者が傷ついている以上、慰謝料は支払うべきものであるのです。
このため、両者が合意していたり、明らかに既婚者の配偶者を傷つけたりした場合には慰謝料の支払いが妥当になります。
交渉だけで両者が合意した場合
例えば、配偶者と知人Aが不貞行為こそなかったが、繰り返しデートを行っていたとしましょう。
それをあなたが嗅ぎつけ、慰謝料を請求したとします。
すると、知人Aが泣いて謝り、「慰謝料を支払って償わせてください。」と言ってきました。
この場合、あなたが了承し、お互いで金額を決めることで、慰謝料の支払い・受け取りができます。
お互いの合意さえあれば、不倫の事実がなくても慰謝料の支払いは可能なのです。
不倫の事実がないのに慰謝料請求が妥当になる場合
例えば、配偶者と知人Bがホテルに行ったとしましょう。
しかし、不貞行為はなかったと言い張ります。
この場合、不貞行為があったのかなかったのか、その事実の証明はかなり難しいでしょう。
こういった際には、仮に裁判になっても、証明することができずに、和解を提案されて折り合いをつけるしかなくなる場合がほとんどです。
配偶者と知人Aには、不貞を誤解させるようなまぎらわしい行動をとった非を認め、慰謝料を少額ながら支払うように判決が下されるのです。
れっきとした不倫の事実がある場合
不倫の事実がある場合は、もちろん、慰謝料請求ができます。
仮に相手がそれを否定したとしても、証拠さえあれば、裁判して慰謝料を獲得することができます。
しかし、証拠がきちんとないと、高額な慰謝料は難しいです。
不倫で慰謝料が請求できない場合
先ほども説明したように、不倫は不法行為ですので、肉体関係さえあれば慰謝料の請求は可能です。
このため、不倫の事実さえあれば基本的には慰謝料を請求できますが、以下の場合に該当する場合は慰謝料の請求が難しくなります。
不倫の事実が証明できない場合
浮気相手に慰謝料を請求するためには、不倫(肉体関係)があったことを証明する証拠が必要です。
ラブホテルに出入りする写真や動画、不貞関係にあったことを自白した音声データ、探偵や調査会社の調査報告書などが有効な証拠となります。
全く証拠がない状態で慰謝料の請求をすることは難しいです。
証拠の種類や取得方法等、不明な点がある方は弁護士等の専門家に相談するのがよいでしょう。
浮気相手が婚姻関係を知らなかった場合
浮気相手が、配偶者が既婚者であることを知らずに関係を持った場合は、浮気相手に慰謝料を請求することは困難になります。
例えば、配偶者が既婚者であることを隠して交際を求め、肉体関係を持つに至った場合です。
マッチングアプリでステータスを「独身」にしているようなケースでは、既婚者であると知らなかったと主張されてしまう可能性があります。
しかし、実際にはマッチングアプリのステータスの記載ぶりだけではなく、当時の生活状況や浮気相手とのやり取り等を総合的に考慮した上で、浮気相手が、配偶者が既婚者であることを知っていたかどうかを判断することになります。
ただし、以下のように既婚者であることが明らかな場合は、既婚者であることを「知らなかった」とは言い逃れできないこともあります。
- 同じ職場の同じ部署で既婚者であることは周知の事実である
- 結婚指輪をしている
- 近所に住んでおり、相手の家族関係を知っている状況にある
このような事情がある場合には、浮気相手が「既婚者とは知らなかった」と主張している場合でも、その主張は認められないことになります。
不倫以前に夫婦関係が破綻していた場合
不倫以前に夫婦関係が破綻していた場合は、浮気相手にも配偶者にも慰謝料を請求することは難しいです。
夫婦関係の破綻とは、正当な理由なく別居しているなど、夫婦の共同生活の実態のない場合等をいいます。
不仲であっても同居が続いていれば、夫婦関係が破綻していないとみなされる事例が多いです。
配偶者が強制的に関係を迫った場合
あなたの配偶者が浮気相手の気持ちに反して強制的に関係を迫った場合は、相手に慰謝料を請求することは難しくなります。
むしろ、配偶者が強制わいせつや強制性交等などの罪に問われたり、相手から不法行為に基づく慰謝料を請求されたりするおそれもあります。
浮気相手の氏名や連絡先を知らない場合
当然ですが、浮気相手の名前や連絡先などがわからなければ慰謝料を請求することはできません。
マッチングアプリなどで出会った浮気相手の場合は名前や連絡先について探偵等への調査の依頼を検討するか、難しいようなら請求を断念せざるを得ない可能性もあります。
ご自身で証拠を確保することが難しければ弁護士等の専門家に相談の上、探偵会社や調査会社に証拠の確保を依頼しましょう。
法で認められる不倫の証拠は?
法で認められる証拠
不貞行為が行われていた証拠を提出できれば、慰謝料を請求できます。具体的には、もっとも有効なのが写真や動画です。
- 配偶者が不倫相手とラブホテルに出入りしている写真
- 配偶者が不倫相手と旅行した写真
- 配偶者が不倫相手の自宅へ出入りしている写真
写真や動画に撮影した日付や時間が入っていると、その不倫がいつ行われたものかを証明できるため、より良いでしょう。
また、夫婦の会話や不倫相手との会話の録音テープも有効です。さらに、LINEなどのSNSやメールで不貞行為を行ったことを匂わせるやりとりがあれば、それも不貞行為の証拠になる可能性があります。
- 配偶者が不倫を認める発言をした夫婦の会話の録音
- 配偶者と不倫相手との会話で、「この前のHはよかった」などのやりとりがあった
さらに、これら以外でも不貞行為を行ったことを裏づけるものも証拠になり得ます。
- 配偶者のクレジットカードの明細にラブホテルの請求が含まれていた
- 配偶者や不倫相手の日記、メモに不貞行為が認められる内容が記録されていた
法で認められない証拠
一方、以下のようなことだけで、不貞行為を認めることは難しいでしょう。
- 配偶者の電話宛にきた、不倫相手からの着信履歴
- 配偶者と不倫相手の単なるLINEやメールのやりとり
- 配偶者と不倫相手が食事していることを目撃した、友人の証言
- 配偶者が不倫相手に贈ったと思われるプレゼントの領収書
不貞行為を行ったことが客観的に証明できるものが必要となりますので、上記で紹介したような証拠をできるだけ多く集めておくことが大切です。
慰謝料の金額の決め方は?
①不倫の期間
不倫期間が長期にわたり、回数が多くなれば、精神的な苦痛が大きくなり、それに対する賠償しなければならない慰謝料の金額は増えると考えられます。不倫の期間や回数は、慰謝料に影響を与えるので、しっかりと確認をしましょう。
②精神的な苦痛
不倫がわかると、誰もが大きなショックを受けるでしょう。また、配偶者と不倫相手との不貞行為の証拠を確認するといった行為にも、精神的な苦痛が伴います。それによって精神的なダメージを受けたことが医師の診断書などで証明できれば、慰謝料の増額もあり得るかもしれません。
③配偶者と不倫相手の地位
配偶者と不倫相手が社会的に高い地位にある場合、その慰謝料は大きくなる可能性があります。また、双方の年収が低いと、請求できる慰謝料は低くなる傾向にあります。配偶者と不倫相手の地位や年収は、慰謝料に大きな関わりを持ちます。
④子ども
夫婦の間に子どもがいれば、不倫によって家庭が崩壊した影響が子どもにまで及び、その分慰謝料も増える傾向にあります。配偶者と子どもが精神的な苦痛を受けた場合も同様です。
⑤婚姻期間
結婚してから3年目の夫婦で起きた不倫と、20年目の夫婦で起きた不倫を比べた場合、20年目の夫婦での不倫の方が精神的な苦痛が大きくなると考えられ、慰謝料が増えます。婚姻期間が長いほど、慰謝料は増える傾向にあります。
⑥不貞行為を認めているか
配偶者や不倫相手が不貞行為を認めているのか、そうではないかということも、慰謝料の金額にかかわってきます。証拠があるにも関わらず不貞行為を認めていない場合、反省もしていないと捉えられ、慰謝料が高くなる可能性があります。
⑦自覚があったか
配偶者が既婚者であることを隠して不倫していた場合、不倫相手は「不倫」だと思わずに不貞行為に及んでいた可能性があります。相手が既婚者であると知らずに交際して肉体関係を持っていたとしたら、慰謝料が減額されたり場合によってはゼロ円になる可能性が出てきます。
慰謝料請求までの流れ
①弁護士への依頼
まず、弁護士に慰謝料を請求したい旨を相談しましょう。すでに不貞に関する証拠があれば、それらを弁護士に共有して相談すると話が早いでしょう。また不貞が行われていた期間や、配偶者と不倫相手の情報などから、具体的にどのくらいの慰謝料を請求すべきなのかを決めていきます。
慰謝料の金額については、上述したような要素をすべて考慮して妥当な金額を決める必要があります。弁護士のアドバイスによって、さらなる証拠を集めていくこともあるでしょう。
②請求する慰謝料の金額を決定する
不貞行為の慰謝料の相場は、夫婦が離婚する場合は200万円から300万円、離婚しなければ50万円から200万円です。
あくまでも相場ですので、当事者同士が合意すれば相場を超える慰謝料の請求も可能です。
しかし、裁判になった場合には、相場を超える慰謝料が認められる事例は稀です。
③内容証明郵便で請求文書を送付する
慰謝料を請求する方法は、手紙や電話、メールなど様々ですが、まずは内容証明郵便を送付しましょう。
内容証明郵便とは、郵便局が提供している郵便サービスの1つで送付した文書の写しを郵便局が保管しておくというものです。
送付した内容を公的に証明できるため、「慰謝料を請求された覚えはない」という言い逃れをされることを防止できます。
内容証明郵便自体には支払いを強制する力はありませんが、書式が独特ですので、相手に対して一定の心理的圧力を与える効果は期待することができます。
④話し合いを行う
浮気相手が慰謝料の支払いに応じなければ、慰謝料の金額などについて話し合いの場を設けます。
話し合う際は、必ず以下の項目を話し合っておきましょう。
- 慰謝料の金額
- 示談後の禁止事項
- 求償権の放棄をするかどうか
特に重要なのが「求償権の放棄」です。
浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は、求償権の行使が懸念事項であることをお話ししました。
求償権の行使は、示談交渉の際に求償権を放棄させることを認めさせることによって防止できます。
ただし、ただ単純に求償権を放棄すれば浮気相手の慰謝料の負担が大きくなってしまいますので、慰謝料総額の減額と同時に求償権の放棄を認めさせるのが一般的です。
求償権の放棄と慰謝料の減額についての交渉は、法的知識だけでなく交渉力が求められますので、ご自身で対応せずに弁護士に依頼するのが得策です。
⑤示談書を取り交わす
慰謝料の金額や示談内容に合意したら、示談書を取り交わし双方が署名捺印を行った上で、示談が完成します。
示談書には、慰謝料の金額や支払い方法、支払い期限、支払先、禁止事項、求償権の放棄など、必要な事項を盛り込んでおきましょう。
裁判費用・弁護士費用の相場は?
弁護士に依頼する場合、その費用について不安に感じる方が多いでしょう。配偶者の不倫によって精神的な苦痛を受け、慰謝料を請求したいという場合、弁護士事務所によりますが、それにかかる費用の相場は30万円から80万円ほどです。着手金(依頼時に支払う費用)は無料で、相手から回収できたところから弁護士報酬をいただくという事務所もあります。
弁護士に支払う金額も考慮すると、たとえば数十万円の慰謝料が回収できたぐらいだと、手元にはそれほど多くのお金は残らないかもしれません。しかし、、もし自分だけで離婚トラブルを解決したり、慰謝料を請求したりしようとすると、ご自身で直接不倫相手との話し合いを行う必要が生じるので、精神的な負担を伴いますし、適正な解決が図れない場合もあります。それらを考慮すると弁護士への依頼を検討するのが妥当でしょう。慰謝料に関する相談だけであれば無料で行っている事務所も多くあるので、まずは相談だけでもしてみると良いかもしれません。
配偶者と離婚したい場合には
不倫を機会に配偶者と離婚したい方も多いでしょう。
慰謝料請求同様、両者の合意があれば、離婚は可能です。
しかし、配偶者が離婚を許可しない場合、協議離婚などで離婚するかどうかを決めなくてはなりません。
しかし、不倫のように、婚姻を継続しがたい正当な理由があれば、離婚は可能です。
一般的には以下のような場合は、離婚するに正当な理由だとみなされます。
- 不倫している
- セックスを拒む
- 勝手に家を出ていき家族を放棄しようとしている
- 家にお金を入れず自分だけお金を使っている
- 宗教活動が激しく家庭に支障をきたしている
まとめ
不倫があった際、また交渉次第では不倫がなくても慰謝料を請求することは可能です。
ただし、不貞行為の証拠が必要ですし、交渉の際に求償権の放棄の約束を取り付けておく必要があります。
浮気相手だけへの慰謝料の請求は、法的知識だけでなく高いコミュニケーション能力が求められますので、実績豊富かつコミュニケーション能力の高い弁護士に相談することを強くお勧めします。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
- 得意分野
- ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
- プロフィール
- 京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設