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上司と部下の不倫におけるリスクとは?会社や家族にもたらす影響や対処法を解説

投稿日: 更新日: 弁護士 小林 望海
上司と部下の不倫におけるリスクとは?会社や家族にもたらす影響や対処法を解説
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上司と部下で不倫関係になるというのは、実はあまり珍しいことではありません。

特に配偶者が別の職場で働いていたり、専業主婦(夫)の場合は、配偶者の存在感が薄い状況から不倫関係に発展しやすい傾向にあるようです。

もちろん不倫ですので、発覚してしまえば夫婦関係を悪化させたり、慰謝料を支払うことになったりといったリスクが存在します。

今回は、その中でも上司と部下という関係だからこそ特に注意すべきリスクや注意点、想定されるトラブルと対処法等について詳しく解説していきます。

上司と部下の不倫におけるリスクとは?

上司と部下が不倫をした場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

また、その他の不倫関係と比較して、特に注意しなければならない点はあるのでしょうか。

発覚しやすい

上司と部下という関係は、会話の機会が多いため、その分会話の際の様子が他の人の目に留まる機会も多いことが一般的です。

そうなると、例えばとある上司が特定の人と話すときだけ明らかに態度が違ったり、上司と特定の部下のシフトが重なることが多かったり、二人きりで会議などをする回数が不自然に多かったりするなど、二人の不自然な関係が目に付く機会も多い、すなわち不貞関係にあるのではないかと疑われる機会も多くなります。

実際に、配偶者の同僚から連絡をもらって不倫関係に気づいたというケースも一定数存在するため、上司と部下の不倫関係は発覚しやすいという特徴があるといえるでしょう。

職場内での信頼関係が崩壊しやすい

上司と部下の不倫関係は、上記のとおり、職場内の人に勘付かれてしまうケースが多く、一度誰かに勘付かれると、噂が職場内に一気に広まりやすい傾向があります。

職場内の人間関係、特に仕事に関する評価は、同じ仕事をしたら誰がやっても同じだけの評価をされるということが前提となって形成されているものです。

しかし、上司と部下の不倫関係が職場の人にバレてしまった場合、その部下だけ優遇されているのではないか、その上司の部下になったらそのような目で見られるのではないかなどという疑念を抱かれ、実際に優遇等をしていなかったとしても、結果的に職場の人間関係や評価制度自体が崩壊しかねないリスクがあります。

退職や降格処分などに繋がりやすい

会社は、上記のような信頼関係の崩壊を防ぐため、「会社内の秩序を乱す行為」を就業規則などで禁止しているケースが多く存在します。

その場合、上司と部下が不倫をすることが「会社内の秩序を乱す行為」にあたるとして、人事評価でマイナス査定をされてしまい、降格処分などにつながることも考えられます。

また、そのような規定がなかったとしても、不倫関係が社内全体に広まってしまったような場合には、気まずさなどの理由から事実上退職せざるを得なくなってしまうケースも存在します。

懲戒処分の対象となる可能性も

上司が不倫関係にある部下を実際に優遇していたような場合には、会社の業務に悪影響を及ぼしたとして懲戒処分されてしまう可能性もあります。

懲戒処分の種類としては、戒告(注意)、減給、諭旨解雇や懲戒解雇などが考えられるところですが、実際に会社に与えた悪影響の程度や不倫関係の態様などによっては懲戒解雇に至るケースもないわけではない点に注意が必要です。

不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性がある

上司と部下の不倫関係に限った話ではありませんが、不倫相手の配偶者に不倫関係が発覚してしまった場合、慰謝料請求をされる可能性があります。

金額については相手夫婦の婚姻期間の長さや離婚に至るか否か、不倫関係の長さ等様々な事情が考慮されることとなりますが、数十万から数百万円に至るケースもあります。

先に述べたとおり、上司と部下の不倫関係は他の不倫関係より発覚する機会が多いため、慰謝料請求に至るケースも比較的多い印象です。

自身の配偶者から離婚を迫られる可能性がある

こちらも上司と部下の不倫関係に限った話ではありませんが、自身の配偶者に不倫関係が発覚した場合、離婚を切り出されてしまう可能性があります。

双方の配偶者にそれぞれ不倫が発覚した場合、それぞれから慰謝料請求をされることもあります。

それ以外でも、お子様がいる場合には離婚にあたって親権をどうするかについてトラブルになる可能性もありますし、財産分与等においても不倫関係の存在が考慮されて不利になってしまうケースもあります。

したがって、単純に慰謝料だけを払ってすぐ離婚して終わりとはならないことがある点に注意が必要です。

関係解消時にトラブルになりやすい

職場は生活に密着した場所である以上、そこで発生するトラブルは生活に大きな影響を及ぼす可能性が高いです。

また、勤務先の会社には住所などの個人情報が集積されているため、権限によってはそれらに容易くアクセスができてしまいます。

例えば上司と部下の不倫関係を解消しようと思っても、相手がそれを望まない場合、不倫関係を職場にばらすなどと言われたり、家族情報を調べて配偶者にばらすなどと言われたりしてしまう可能性も存在します。

その結果、生活の基盤まで失うことになりかねない点には注意が必要です。

部下が不倫関係を否定・セクハラを主張する場合の対処法

上司の立場で部下との不倫を精算しようとしていたところ、部下が会社に対して「望んでいないのにセクハラをされていました」と報告していた…そのようなケースも一定数存在します。

別れ話がこじれて虚偽の報告につながった、などの背景があるようです。

この場合、どのような対応をしなければならないのでしょうか。

①弁護士に早めに相談する

初動を間違えると問題はさらに悪化していきます。

対応方法も事案ごとに様々考えられるところですので、無理に自分だけでなんとかしようとせずに、まずは速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

②メールやLINEのやり取りを証拠として残す

証拠が何もない状態では、毅然と争っていくことには困難が伴います。

特に重要となるのは不倫関係が継続している間のお互いのやり取りに関する証拠になりますので、メール、LINE、その他のメッセージ等のやり取りの記録を保存しておきましょう。

間違っても、「不倫の証拠を消そう」などと考えて軽々に削除してしまってはいけません。

③職場での事情聴取で正直に話す

上司と部下の不倫が発覚し、双方の主張が食い違う場合、会社としてはセクハラの有無の調査という趣旨で双方から事情聴取を行う可能性が高いです。

仮にそうなった場合には、答えづらい質問であっても、基本的には正直に回答するのが一番です。

根幹部分をぼかしたり、重要な点について回答しなかったりすると、相手の主張が真実なのではないかという印象に傾いてしまう可能性が高いからです。

逆に、最初から最後まで一貫した回答を行うことができ、客観的な証拠とも整合するということであればこちらの主張を認めてもらえる可能性も出てくるため、基本的には一貫して正直に回答する対応がお勧めです。

④同僚に余計なことを話さない

たとえ相手が親しい同僚であっても、余計なことを話すのは避けましょう。

同僚に悪意がなくても、職場から事情聴取があれば同僚も正直に話さざるを得ないでしょうし、その発言と自身の発言の趣旨が食い違うような場合には、自身の発言全部の信用性が低下することは避けられません。

また、同僚に話す内容が真実であっても、プライバシー侵害などとして違法である旨主張される可能性もあります。

基本的には会社からの事情聴取以外で余計なことは話さないことをお勧めします。

部下との不倫は上司の責任が大きいと認定される可能性もある

原則として、不倫は大人二人が行う行為のため、どちらか一方の責任が大きいというものではありません。

しかし、例えば上司であることを利用して関係の形成を狙ったとか、部下の立場から断りづらい状況だったと判断されてしまった場合などにおいては、不倫によって生じた悪影響の責任につき、上司のほうが大きいと評価されてしまうこともあります。

部下との不倫関係を解消する際のポイント

不倫関係を解消しようとする場合、何に注意しなければならないのでしょうか。

例えばマッチングアプリで知り合った第三者と一夜限りで不倫をした、という場合には、連絡先さえ消してしまえば関係解消となる可能性が高いですが、上司と部下の関係ではそうはいきません。

以下、ご注意点について解説します。

早期の関係解消を試みる

先に述べたとおり、職場内での不倫関係は他の不倫関係よりも第三者に発覚する可能性が高い傾向にあります。

期間が長引けば長引くほど発覚の可能性は高まりますし、発覚した場合に生活に及ぼす悪影響も大きくなります。

したがって、不倫関係を早期に解消する意識は重要となります。

円滑な関係解消を目指す

関係を解消する場合、例えば突然連絡を絶ったり、相手との連絡をすべてブロックして、職場で最低限の会話のみ行ったりするなどといった対応をするケースがあります。

しかし、上記のとおり、関係解消にあたってトラブルが生じた場合、職場全体を巻き込んだトラブルに発展しかねません。

そこで、関係を解消したい理由や、このまま関係を継続した場合のリスクなどを十分に説明したうえで、可能であれば自分が転職や部署異動などをして身を引く形で関係解消を試みるのが無難な対応といえるでしょう。

ここまで見てきたとおり、上司と部下は不倫関係が形成されるきっかけが多い一方で、発覚する可能性や発覚した場合のリスクが大きいという傾向があります。

万が一発覚してしまった場合の対応についても事案ごとに細心の注意が必要となりますし、ケースによっては周囲に味方となってくれる人がいないという状況も考えられるので、心の平穏を保つという意味でもお早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

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小林 望海
執筆者 弁護士小林 望海 神奈川県弁護士会 登録番号58137
さまざまな相談を受ける中で、相談のタイミングがもう少し早ければ紛争を一気に解決できたのに…というケースや、ネットで調べた知識をもとに自分で活動した結果大きく不利になることをしてしまっていた…というケースを見てきました。 タイミングよく正しく法律を使うためにも、まずはお気軽に何でもご相談いただければと思います。 皆様の悩みの一つ一つに真摯に向き合い、将来を見据えた解決に向けて誠実に対応していきたいと思っています。
得意分野
人事・労務問題 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 交通事故など
プロフィール
慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
早稲田大学法科大学院 修了
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