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事実婚での浮気と慰謝料|請求方法や相場を徹底解説!

投稿日: 更新日: 弁護士 原 央呂子
事実婚での浮気と慰謝料|請求方法や相場を徹底解説!
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事実婚(内縁関係)において、浮気をされた場合慰謝料は請求できるのでしょうか。また、相場はどのくらいでしょうか。

本記事では、事実婚における浮気が発覚した場合の慰謝料請求方法や相場、必要な証拠、そして過去の裁判例を交えて詳しく解説します。

そもそも事実婚(内縁関係)とは?

内縁関係とは、婚姻意思を持ち、夫婦同然に同居して生活する等、客観的にも、主観的にも夫婦同様の生活を送る男女のことで、単に婚姻届けを提出していない形態をいいます。

内縁関係が認められるためには届出以外の点については法律上の夫婦と同じようにみられなくてはなりませんので、一定期間同居状態にあることが必要です。

一定期間の同居に該当する期間について、法律上明確に規定されているわけではありませんが夫婦としての実体があると判断される程度の期間、具体的には3年ないしそれを超える期間と考えられています。

内縁関係にあるかどうかは、同居期間のみで判断されるのではなく、当事者の生活形態等その他の客観的な状況に加え、当事者双方が夫婦として生活する意思を有しているかといった主観面をも総合的に考慮して判断されることになります。

同棲と事実婚の違い

上記の通り、事実婚は婚姻届けの未提出以外の点は通常の法律婚夫婦と異なりませんので、一般的な同棲関係とは異なります。

同棲関係が単なる交際関係にある者同士の同居状態をも含むのに対し、事実婚は当事者双方に婚姻意思があることが必要です。

したがって、単に交際関係にある男女間での同居状態は事実婚関係にはあたらず、その点において両者は異なるといえます。

同棲と事実婚の両者における法的な違いについてはいくつかございますが、代表的なものとしては、事実婚関係解消に伴う財産分与、子供の養育費(夫が子を認知していることが前提となります)、不貞慰謝料請求や一方的な事実婚関係解消の際の慰謝料請求といったものがあげられます。

事実婚を証明する方法

客観的に夫婦同様の生活を営んでいることに加え、当事者双方に婚姻意思があることを証明する必要があります。

具体的には、自宅の賃貸借契約書における、同居人の記載として「内縁妻」ないし「妻(未届)」といった記載がある場合、健康保険署において被扶養者になっている場合、住民票の続柄欄に「妻(未届)」との記載がある場合には、事実婚関係を証明し得ることになります。

事実婚のパートナーによる浮気で慰謝料を請求する方法

上記のとおり、事実婚は婚姻届けが未了であることを除いては法律婚夫婦と異なりませんので、一方パートナーに浮気(不倫)行為があった場合には、他方からの慰謝料請求が認められます。

1.他方パートナーに対して慰謝料請求する

不倫(法律的には「不貞」といいます。)とは、夫婦相互の貞操義務に反して、配偶者以外の者と性的な関係(肉体関係)を持つことを指します。

夫婦間の貞操義務は事実婚であっても発生し、不倫をされたパートナーは他方パートナーに対し、不倫行為を原因とする慰謝料請求をすることが可能です。

また、不倫は事実婚状態を解消する理由になりますので、関係性の解消に伴う慰謝料請求としての金銭の請求をすることも可能です。

2.パートナーの不倫相手に対して慰謝料請求する

不倫相手の男性(ないし女性)に対しても慰謝料請求することができます。

3.パートナーおよび不倫相手双方に対して慰謝料請求する

だれを相手にして慰謝料請求を行うかは、請求する当事者が選ぶことができます。一方に対してのみ請求するという選択肢もありますが、双方に請求することも可能です。

もっとも、当該不倫に対する責任は、不倫をした他方パートナーおよび不倫相手の双方に対して、連帯して発生する共同責任である、というのが法律上の考え方になります。

したがって、両方に慰謝料請求をした場合において、一方から責任全額に相当する金員を受け取った場合には、もう一方から回収する金額については既払分がある者として調整されることになります。

事実婚のパートナーの浮気による慰謝料相場

50万円から200万円程が一般的な相場であると考えられています。

法律婚における不倫慰謝料の相場は100万円から300万円とされますので、事実婚の場合には法律婚と比べて若干金額が下がることになります。

事実婚の慰謝料請求に必要な浮気の証拠になるもの

法律婚夫婦の不倫慰謝料請求と同様の証拠となります。具体的には、

  • 肉体関係があったことのわかる探偵報告書、写真、メール、LINE
  • GPS位置情報
  • ラブホテル利用明細、ホテルの利用のわかるクレジットカード利用明細
  • 肉体関係が推認される手紙
  • 当事者の自白(録音データ)

といったものがあげられます。

事実婚のパートナーによる浮気で慰謝料を請求した裁判例

1.平成22年9月24日東京地方裁判所裁判例

主な争点は、原告ら夫婦が内縁関係にあったと認められるか、また、内縁関係に対する侵害行為が認められるか、の2点であり、結論としていずれも認められました。

内縁関係成立が認められたポイントとしては、原告ら夫婦が2年10カ月同居していたこと、夫婦の一方が単身での生活を始めたのは仕事上の都合であって、別居とはいえないこと、仕事が休みの日は子らと一緒に時間を共に過ごしていたこと、夫婦間に肉体関係があったと認められること、生計をともにしていたことが認められること等が考慮されました。

その上で、内縁関係に対する権利侵害が認められ、慰謝料支払いが認められました。

2.平成18年11月8日東京地方裁判所裁判例

夫婦が内縁関係にあることを前提に、内縁関係破綻の原因が不貞行為といえるかどうかが主な争点となりました。

結論として、裁判所はこれを認めました。

理由としては、被告が原告ら夫婦の結婚式の司会役を務めたことや、原告の会社の同僚として、原告ら夫婦の関係性を知りつつ交際を続けたことを重視し、夫婦の破綻原因は本件不貞行為であると認定しました。

その上で、慰謝料の金額として、夫婦の同居期間が7年間であること等を考慮し、150万円の支払を認めました。

3.平成17年9月9日東京地方裁判所裁判例

主な争点は、内縁関係の存在を前提に、不貞行為があった時点で夫婦の内縁関係がすでに破綻していたといえるかどうかという点でした。

結論として、裁判所は不貞前に夫婦の関係が破綻していたとは認めず、被告は原告に対して慰謝料を支払う義務を負うと認定しました。

事実婚の浮気に関するQ&A

以下では、不貞を理由とする慰謝料請求に関連して、よくある質問事項をまとめて回答したものを記載します。

今後の慰謝料請求の参考になさってみてください。

Q1.慰謝料は自分の内縁のパートナーおよび不貞相手両方に請求することができるのですか

可能です。

不貞行為があった場合の責任は、パートナーおよび不貞相手の両方に発生し、ずれに慰謝料を請求するかは不貞をされた当事者が選ぶことができます。

もっとも、両方に慰謝料を請求することができるということは、慰謝料満額をそれぞれから回収することができることを意味するわけではないことに注意が必要です。

慰謝料の金額には相場が存在し、相場の金額はパートナーおよび不貞相手の二人の責任を合算した金額となります。

ですので、仮に両方に慰謝料請求をした場合において、一方からいくらかの慰謝料を回収することができれば、他方から受け取る慰謝料は減額されることになります。

Q2.不貞相手と今後一切の関係を断ち切らせる方法はありますか

慰謝料の話合いをすると同時に、パートナーと不貞相手との接触連絡禁止の約束を取り付ける方法があります。

このような約束事項は、作成日、当事者双方の名前を記載し、それぞれが押印をした書面に残しておきましょう。

約束自体は口頭でも成立しますが、後に約束違反が発生した場合等争いとなった場合に書面が証拠となるためです。

Q3.不貞の証拠として、どのようなものが有効でしょうか。

肉体関係がわかるものです。

いつ、どこで、誰と、肉体関係があったことを証明する必要がありますが、一つの証拠で証明するのではなく、複数の資料を組み合わせて上記を特定することができれば足ります。

具体的な証拠の例としては、探偵の報告書、ホテルの利用明細、GPSの記録、LINEやりとり、日記、手紙等があります。

Q4.「好き」「愛している」といったラインメッセージは、不貞の証拠になりますか

なり得ますが、それのみでは足りません。

不貞の証拠は、二人の間に肉体関係があることを証明するものである必要があります。

「好き」「愛している」のやりとりは、相手に好意を抱いていることを推認する証拠にはなり得るものの、だからと言って二人の間に肉体関係があったことを証明するには、二人でホテルに行ったことがわかるだとか、自宅を訪問して一定時間滞在していることがわかる等の証拠を追加で用意する必要があります。

Q5.不貞があった場合、パートナーとの関係性を解消しなくとも慰謝料請求することはできますか。

可能です。

慰謝料の相場は、関係解消するケースに比べると低くなりますが、その後の生活や例えばお子さんがいる場合の今後のことを考えて、関係は継続することを前提に慰謝料請求のみを行う選択肢もあるでしょう。

まとめ

本記事では、内縁関係にある場合の不貞行為に対する慰謝料請求について解説しました。

内縁関係にあるといえるかについては、記載したとおり個別的な判断となりますので、具体的なケースについては弁護士に相談されることをお勧めします。

本記事が慰謝料請求等を検討されている方の検討材料の一助となれば幸いです。

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原 央呂子
執筆者 弁護士原 央呂子 東京弁護士会 登録番号58899
「こんなことを弁護士に相談してもよいのかな」、と迷われる方もいらっしゃるかもしれませんが、病院への受診と同じく、法律問題も早期にご相談いただくことでよりスムーズに解決することもあると考えております。 また、「女性弁護士のほうが話を聞いてもらいやすいな」と考えていらっしゃる方がおられましたら、ぜひお気軽にお話いただければと思います。
得意分野
債務整理、刑事事件、国際事件
プロフィール
京都府出身

英ブラッドフォード大学 卒業

上智大学法科大学院 修了
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