慰謝料の分割はできる?一括で払えない場合の交渉方法や注意点を解説

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記事目次
慰謝料は分割払いにできる?
交渉において、慰謝料は原則として一括払いとなります。
請求側としては、分割払いよりも一括払いで解決できた方がよいと考えるのは自然といえるからです。
他方で、相手との交渉によっては、分割払いでの解決を図ることも可能です。
相手との具体的な交渉については、本記事で詳しく解説します。
参考までに、仮に裁判になった場合、裁判所が宣告する判決も一括払いを前提としています。
判決が確定したにもかかわらず、一括払いができない場合、給与や預貯金口座その他の財産を差し押さえられてしまうおそれがあります。
慰謝料を分割払いにするための交渉方法
慰謝料を分割払いにするための交渉方法としては、主に2つ考えられます。
①謝罪し、お金が手元にないことを伝える方法、そして、②相手の提示した交換条件を受け入れる方法です。
以下、①と②に分けて解説します。
①不貞の事実を認めて謝罪し、お金が手元にないことを伝える方法
この方法で交渉すると、請求側としては、仮に裁判になって勝訴判決を得たとしても、一括で回収できないリスクについて検討することになります。
裁判を起こす場合、請求側も費用・時間・労力をかけることになります。
これらの負担が生じるにもかかわらず、結果として一括で回収できないリスクをふまえると、請求側としても分割払いに応じて交渉で解決するメリットがあるといえます。
以上から、この交渉方法は有効といえます。
ただし、安易に不貞を認めると、かえって不利になることもありますので、しっかりと検討することが必要です。
②相手が提示する条件を受け入れる方法
あなたが分割払いの提案をした場合、相手から条件を提示されることがあります。
提示された条件が受け入れられる内容である場合、分割払いで解決することができるため、この方法は有効といえます。
相手が提示する条件が受け入れられない内容である場合、条件の内容もふまえて引き続き交渉することになります。
慰謝料の分割払い交渉における注意点
あなたから慰謝料の分割払いを提案した場合において、相手から提示される条件としては、主に2つあげられます。
①公正証書の作成、②連帯保証人を付けることです。
これらには注意を要しますので、以下解説します。
公正証書について
公正証書とは、公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことをいいます。
公正証書を作成した場合において、慰謝料の支払いがなされないとき、請求側は、慰謝料を支払う側の給与や預貯金口座その他の財産を差し押さえることができるようになります。
当事者間で作成した合意書にはこのような効力がありません。
そのため、請求側としては、慰謝料の支払いがなされない場合に備えて、公正証書を作成しておきたいと考えます。
このような公正証書の効力をふまえると、公正証書の作成に同意するか否かは、慎重に検討しなければなりません。
連帯保証人について
連帯保証人とは、あなたが慰謝料を支払えない場合に、あなたの代わりに慰謝料を支払う責任を負う者のことをいいます。
請求側としては、慰謝料の支払いがなされない場合に備えて、あなた以外の者にも慰謝料の支払い義務を負わせておきたいと考えます。
実際に連帯保証人が支払うことになると、あなたと連帯保証人間の関係性が悪化するだけでなく、連帯保証人が破産してしまうおそれすらあります。
相手から「保証人を立てろ」と言われても、保証人を立てる法的な義務はありませんので、安易に連帯保証人を立てることは避けるべきです。
慰謝料を分割払いにする際には合意書を作成する
慰謝料を分割払いにする際には、合意書を作成することを推奨します。
慰謝料100万円を毎月5万円ずつ分割して支払う内容で合意した場合において、合意書を作成しなかったケースを想定して検討してみましょう。
このケースの場合、例えば「そのような合意をした覚えはないから、200万円を一括で支払え」などと後から言われてしまったり、100万円の支払いを終えた後に「追加で100万円支払え」と言われてしまうおそれがあります。
このような事態を生じさせないためにも、証拠となる合意書を作成することが重要になります。
相手が作成した合意書にサインを求められることもあります。
しかし、相手が作成した合意書について、その内容をよく確認しないままサインすることも避けましょう。
こちらに不利な内容が含まれていていることがあります。また、一度サインしてしまうと、その内容で合意したことになってしまい、後から覆すのは困難になります。
分割払いが難しくなった場合の交渉
交渉の結果、一定期間で一定額の分割払いの合意ができたとしても、何らかの事情で合意に基づく支払いができなくなることがあります。
この場合、合意の内容を変更してもらえるように、相手と再度交渉することになります。
請求側からすれば、一度合意している以上、再度の交渉を受け入れることができないと考えるのが自然です。
そのため、「あなたが分割なら支払えると言ってきたのにどういうことだ!」などと言われてしまうおそれがあります。
しかし、新たな合意内容が相手にも一定の利益がある点を示すことで、新たな合意内容に応じてくれることもあります。
また、分割払いができなくなる理由が病気、入院、親族の介護といった事情にある場合には、誠意をもって交渉すれば、慰謝料総額を減額するなどの対応をしてもらえる可能性があります。
慰謝料を分割ではなく減額することはできる?
結論としては、慰謝料を減額できることがあります。
慰謝料には、これまでの裁判例の積み重ねに基づいた一応の相場があります。
例えば、不貞が原因で離婚する場合には200万円前後、不貞が発覚したけれど婚姻関係を継続する場合には100万円となります。
相場よりも高い金額を請求されている場合、交渉の仕方によっては相場の金額まで減額してもらえる可能性があります。
ただし、慰謝料の相場は、事実関係によって異なりますし、不貞した本人が「相場まで減額してください」と交渉しても、「反省していない」などと言われてしまう可能性が高いです。
そのため、ご自身の件の相場がいくらくらいなのか、その相場まで減額してもらうためにどのような交渉をしていくかについて、しっかりと検討する必要があります。
相場があるとしても、減額交渉は請求される側が不利になるのが通常ですので、決して簡単な交渉ではないという点を理解しておくことが重要です。
慰謝料の分割・減額を当事者同士で交渉するのは危険!弁護士に依頼するメリット
慰謝料の分割・減額交渉弁護士に依頼すると、適正な慰謝料金額での解決を目指すことができ、相手と直接やり取りをしなくていいというメリットがあります。
以下、この2つのメリットについて解説します。
適正な慰謝料金額で交渉ができる
適正な慰謝料金額かどうかは、これまでの裁判例の積み重ねに基づいて判断します。
弁護士であれば、そもそも慰謝料を支払う必要があるのか、支払う必要があるとしていくらが適正な慰謝料の金額なのかについて判断することができます。
適正な慰謝料で解決するにあたって、こちらにとって有利な事情(相手にとって不利な事情)やこちらにとって不利な事情(相手にとって有利な事情)をふまえ、交渉を進めることができます。
直接やりとりをしなくていい
不貞の慰謝料の交渉を行う場合、請求側が感情的になり、冷静に話し合えないことが少なくありません。
これでは、適正な慰謝料で解決できる可能性が低くなってしまいます。
弁護士に依頼すると、弁護士が相手との交渉を行うことになるため、直接やり取りをしなくてよくなり、請求された側の精神的負担を軽減できます。
また、請求された側の言い分を冷静に伝えることができるので、適正な慰謝料での解決を目指すことができます。
まとめ
いかがでしょうか。
不貞の慰謝料に関する交渉では、連帯保証人を立てさせられるといった法的な問題と当事者間で話し合おうとしても、感情的になってしまい交渉が進まないといった事実上の問題があります。
弁護士に依頼すると、ご自身で交渉する必要がなくなり、精神的負担が軽減されますし、適正な慰謝料で解決することができる可能性が高くなります。
慰謝料を請求された場合には、お一人で悩まれずに、ぜひ一度ご相談ください。
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- 契約法務 、 人事・労務問題 、 紛争解決 、 海外進出法務 、 債権回収 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
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- 東京都出身
日本大学法学部 卒業
上智大学法科大学院 修了
弁護士登録
東京スタートアップ法律事務所 入所