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不倫は犯罪?不法行為と犯罪、不貞行為の違いや違法行為、慰謝料請求の注意点を解説

投稿日: 更新日: 弁護士 小林 望海
不倫は犯罪?不法行為と犯罪、不貞行為の違いや違法行為、慰謝料請求の注意点を解説
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「恋人がいるのに他の人と肉体関係を持ってしまった」
「夫が不倫をした」

このような、男女間トラブルの渦中にある方は、「この行為は犯罪ではないの?」と気になるところだと思います。不倫は、場合によっては慰謝料を請求される行為ですので、「慰謝料を請求される=犯罪?」と考えてしまうのではないでしょうか。

そこで今回は、「不倫や浮気は犯罪になるの?」という疑問を解消すべく、不倫や浮気の法律上での扱われ方について解説します。
男女間トラブルに悩まされている方はぜひ参考にしてください。

不倫は犯罪行為なのか?法律に違反するのか?

まずは、不倫や浮気が犯罪になるのかどうかを解説します。

そもそも犯罪行為とは?

そもそも、犯罪行為とはどのような行為なのかを確認しておきます。

犯罪とは、刑罰が規定されている法律に違反する行為のことをさします。

例えば、「電車内で他人のお尻を触る」、という行為は、各地域の「迷惑防止条例違反」や「強制わいせつ罪に該当する犯罪です。

73年前、不倫は犯罪だった

令和2年現在、不倫は犯罪行為には該当しません。

なぜならば、不倫をしたことを罰する法律は存在しないからです。

法律の世界では、「不倫」という言葉は使わず、「不貞行為」といいます。

かつては、「姦通罪」という罪が刑法に規定されており、「夫のある婦人が夫以外の男と性交したとき、その婦人及びその相手方」が刑罰に処せられていました。

しかし、昭和22年の刑法一部改正で姦通罪の規定は削除されました。

したがって、現在は不貞行為は犯罪ではなく、刑罰に問われることはありません

不倫は不法行為

不貞行為は、犯罪行為ではありませんが、「不法行為」に該当する可能性があります。

不法行為とは、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害して、他人に損害を与える行為です(民法709条)。

不法行為の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

「不倫の慰謝料」というのは、こちらの不法行為に基づく慰謝料のことをいいます。

不法行為と不貞行為の違いとは?どこからが不倫?

不法行為となる、「不貞行為」とは、配偶者がありながら他の人と性行為やそれに準じる行為を持つことです。

したがって、「キスだけ」、「ハグだけ」、「食事だけ」という関係は、不貞行為にはなりません。

不貞行為の線引きについてはこちらの記事を参考にしてください。

では、「既婚者が配偶者以外と性的関係を持った場合や独身者が既婚者と性的関係を持った場合は、すべて不法行為になるのか」、というとそうでもありません。

不法行為が成立するためには、行為者(不貞行為をはたらいた人)の故意や過失があったことや、被害者がなんらかの損害を受けたことなどの条件を満たしている必要があります。

したがって、「相手が既婚者だとしらなかった場合」や、「すでに夫婦関係が破綻していた場合」は、不法行為は成立せず、慰謝料を請求することはできません。

配偶者が不倫をしていた場合の対処法・注意点

配偶者が不倫をしていることがわかったとき、何をすべきでしょうか。

不倫の証拠を集める

不倫の証拠を確保することは非常に重要です。

証拠が活躍するのは、主に裁判で相手が不倫を認めない場合になりますが、多くの証拠を確保しておくと、裁判前の交渉段階から優位な立場で話を進めていくことが可能になります。

なお、どれだけ証拠が集まっていれば十分といえるのか、というラインは事案によって異なりますが、一般的には行為中の動画や写真(両当事者が写っているもの)や、ラブホテルに二人で入っていく写真などは有力な証拠となります。

違法行為に注意

違法な証拠収集

例えば、不倫の相手の家の敷地に入って家の中の写真を撮影したり、宿泊履歴を確認するため、宿泊予約サイトの配偶者名義のアカウントに本人の同意なくログインしたりという行為は犯罪にあたりかねません。

そうなると、自分が逮捕されたり前科がついてしまったりとより大きな不利益につながりかねないため注意が必要です。

また、犯罪にあたらないケースであっても、配偶者のスマホの履歴を同意なく閲覧するなどの行為は逆に損害賠償請求を受ける可能性もあるため、そのリスクを踏まえて行動する必要があります。

なお、違法の程度が大きい場合には、裁判において証拠として採用してもらえない(=その証拠がないものとして扱われてしまう)可能性もあるため、合法な範囲で証拠を集めるというスタンスが重要です。

加害者への言動

加害者の自白も重要な証拠の一つになります。

しかし、自白を取るために長時間拘束したり、不倫を周囲の人にばらすと脅したり、ましてや暴行などを行った場合にはこちらも犯罪にあたりかねません。

さらに、これらを理由として慰謝料を請求されたり、自白も無効となってしまったりと踏んだり蹴ったりの結果になりかねないため、加害者の発言を証拠化する際には細心の注意が必要です。

証拠収集以外の場面で、例えば加害者と対面で不倫に関する事実関係を聴取する際には、自分自身がヒートアップしてしまった暴言を吐いたり、侮辱したりといった行為を行わないようにする意識も大切です。

これらの行為も同様に、犯罪だったり、慰謝料請求をされたりという結果につながりかねないからです。

不倫相手の両親には慰謝料の請求ができない

慰謝料請求は原則として加害者のみに対して行うことができるため、加害者の両親が同意しない限り、加害者の両親に慰謝料の支払いを請求することはできません。

但し、加害者とその両親が同意する場合には、加害者の両親に保証人になってもらうなどの方法で両親に対して慰謝料の支払いを求めることは可能です。

但し、保証人になってもらうためには合意の方法等に制限があるため、事前に弁護士に相談することをお勧めします。

不倫や離婚問題に詳しい弁護士に相談

上で述べたとおり、証拠の確保が重要である一方で、その収集方法について注意すべき点は多々あります。

自分のケースにおいてどのような証拠をどのように確保すべきか、その際の注意点は何かなど、一度不倫や離婚問題に詳しい弁護士に相談してから動くことをお勧めします。

未婚の恋人同士の浮気は不法行為に該当するのか

では、結婚をしていない恋人による浮気は、不法行為になるのでしょうか。

恋人の二股は不法行為に該当しない

原則として、結婚をしていない間柄では、浮気をしても不法行為には該当しません。

そもそも、民法では夫婦には「貞操義務」(配偶者以外と性交渉を行わず純潔を守る義務のこと)があることも、条文で規定されている訳ではありません。

民法770条1項1号で、不貞行為を離婚原因としていることや、民法732条で重婚を禁じていることから、夫婦には貞操義務があるとされているのです。

そこには、恋人同士に関する条項はありません。

そして、憲法13条の幸福追求権や憲法21条1項の表現の自由などによって、恋愛の自由が保障されています。

したがって、恋愛関係においては一部の例外を除いて、パートナー以外と肉体関係を持っても不法行為とはなりません。

したがって、未婚の恋人が浮気をしても一部の例外を除いては、慰謝料を請求することもできません

未婚の恋人同士であっても慰謝料を請求できる2つのケース

未婚の恋人同士であっても、以下の2つのケースでは、慰謝料の請求が認められる可能性があります。

事実婚状態だった場合

婚姻届を提出している、法律婚状態ではなくても、「事実婚」状態であれば、パートナーの性行為を伴う浮気による慰謝料請求が認められる可能性があります。

事実婚の夫婦とは、婚姻届を提出していないだけで、法律婚の夫婦と同じような生活を送っている夫婦のことをいいます。

同居して、共に生活を支えあっていて、財産を共有していて、周囲にも夫婦であると認識されていなければなりません。

事実婚状態であれば、パートナーが他の相手と性行為をもった場合は不法行為となり、慰謝料を請求することができます。

この場合、「事実婚状態であったこと」を客観的に立証できる証拠が必要です。

「恋人同士の同棲」とは違うことを、証明しなければなりません。

婚約していた場合

未婚の恋人同士でも、婚約をしていた場合は、パートナーの性行為を伴う浮気は不法行為と判断される可能性があります。

不法行為であれば、慰謝料請求が認められます。

また、浮気をしていたことを理由に婚約を破棄することも可能です。

婚約者に対して慰謝料を請求する場合は、婚約していたことが客観的にわかる状態にある必要があります。

【婚約をしていたことがわかる状態】

  • 結婚式場を予約している
  • 新婚旅行を予約している
  • 婚約指輪がある
  • 両家に挨拶を済ませた
  • 結納を済ましている

恋人に慰謝料を請求する方法

事実婚状態のパートナーや婚約者に浮気をされて慰謝料を請求する場合は、以下の手順を踏みます。

性行為を伴う浮気について請求できる慰謝料の相場は50万円から300万円程度です。

証拠を収集する

性行為を伴う浮気であったことを証明できる証拠を集めます。

ラブホテルに出入りする写真や、行為中の動画や写真、本人が性行為を伴う浮気をしたことを認めた自認書や音声データーなどが代表的な証拠です。

さらに、事実婚状態にあったことや婚約中であることを証明する証拠も集めておきます。

相手に請求する

不貞行為の慰謝料は、不貞行為をはたらいたパートナーか、その不貞相手のいずれに請求してもかまいません。

慰謝料を請求する場合は、書類を確実に届けるために配達記録オプション付きの内容証明郵便を利用しましょう。

不倫発覚による男女トラブルは弁護士に相談

配偶者や、事実婚のパートナー、婚約者が不貞行為をはたらいた場合は、現行の法律では犯罪になることはありません。

しかしながら、不法行為としてパートナーや不貞の相手方に慰謝料を請求できる可能性があります。

また、ご自身が既婚者や婚約中の方と性行為を伴う関係になってしまった場合は、相手のパートナーから慰謝料を請求されるリスクがあります。

いずれのケースも自ら解決のために行動を起こさなければなりません。

特に慰謝料を請求したい方は、確実に慰謝料を請求できるように念入りに準備をする必要がありますので、まずは弁護士にご相談ください

弁護士であれば、不貞行為の証拠や、事実婚状態、婚約中であったことなどの証拠集めの段階からサポート可能です。

まとめ

不倫が発覚した場合、精神的には当然つらい状況に陥ると思います。

そんな中で、今後のためにやるべきことも注意すべきことも多々あります。

これを自分一人で完璧にこなすのは相当な労力を必要とするため、一度弁護士に相談し、今後の目標や、それに向けて自分が行うべきこと・注意点などを整理してから動き始めることをおすすめします。

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小林 望海
執筆者 弁護士小林 望海 神奈川県弁護士会 登録番号58137
さまざまな相談を受ける中で、相談のタイミングがもう少し早ければ紛争を一気に解決できたのに…というケースや、ネットで調べた知識をもとに自分で活動した結果大きく不利になることをしてしまっていた…というケースを見てきました。 タイミングよく正しく法律を使うためにも、まずはお気軽に何でもご相談いただければと思います。 皆様の悩みの一つ一つに真摯に向き合い、将来を見据えた解決に向けて誠実に対応していきたいと思っています。
得意分野
人事・労務問題 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 交通事故など
プロフィール
慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
早稲田大学法科大学院 修了
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