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不貞行為における示談交渉の進め方とは?注意点と合わせて徹底解説

投稿日: 更新日: 弁護士 清水 大誠
不貞行為における示談交渉の進め方とは?注意点と合わせて徹底解説
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不倫相手の配偶者に不倫の事実を知られて慰謝料を請求された場合などに、表沙汰にしないために、示談で解決したいと考える方もいらっしゃるかと思います。

当事者間で示談を成立させることができれば円満に解決することが可能ですが、不倫問題の場合、当事者間の感情的な対立が激しく、話し合いでの解決が難しい場合もあるため注意が必要です。

今回は、不倫相手の配偶者に不倫を知られた際にすべきこと、不倫が発覚した場合の示談の必要性、示談を成立させる手順、不倫問題で示談をする際の注意点などについて解説します。

不倫が発覚した場合の示談の必要性

不倫相手の配偶者に不倫の事実が知られ、慰謝料を請求されるなどのトラブルに発展した場合、示談交渉を行う必要があります。

示談が成立すれば、不倫の事実を表沙汰にすることなく早期解決が望めます。

示談の概要と、示談をするメリットについて説明します。

1.示談とは

示談とは、加害者と被害者の話し合いにより、裁判所を介さずに解決することをいいます。

話し合いにより決定した内容を示談書にまとめ、当事者双方が署名、押印することで示談が成立します。

不倫の場合は、主に以下の内容について話し合うことになります。

  • 加害者が被害者へ支払う慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い方法
  • 慰謝料以外の加害者への要求(関係の解消、接近禁止など)

2.示談をするメリット

不倫をした側にとって、示談をするメリットは、裁判所を介さずにトラブルを終結させられることです。

裁判所を介さないことで、早期にトラブルを解決できる可能性があります。

示談を行い、双方が合意した内容を適切に示談書に残して、慰謝料の支払いなど示談で決定した内容を履行することにより、何度も繰り返し慰謝料を請求されるなどの事態を回避することが可能です。

示談交渉の方法は?

それでは具体的、どのように示談交渉を行えば良いのでしょう?
示談交渉の方法についてご説明します。

1.当事者間で直接話し合う

まず、加害者と被害者との双方で直接話し合う方法が考えられます。

この方法は、双方が要望を直接伝え合って協議の上で合意に向かうことになるため、うまくいけば解決までのスピードが代理人を介するよりも速いこともあります。

浮気をされた被害者側としても、慰謝料を請求される加害者側としてもこうした問題は早期に解決したいという気持ちを持っていることが一般的です。

そこで、不倫が発覚した場合、不倫を発見した被害者が加害者に連絡し、その場で示談の内容を決めたり、後日日時等を決めた上で直接会って話し合いの場を設けたりといった動きも多く見受けられます。

しかし、不倫の慰謝料について協議する場合、双方の要望に開きが大きいことが一般的であり、かつ特に被害者は精神的な苦痛を被っていることもあり感情的になってしまうケースも多いため、当事者同士で協議をすることでかえって着地点が見出せずに話がこじれて長期化してしまうこともあります。

【メリットや注意点】

被害者としては、当事者間で直接話し合う方法がうまくいくのであれば、早期に慰謝料を手に入れることができ、かつ弁護士を代理人として立てる場合の弁護士費用を節約することもできるというメリットがあります。

また、加害者にとっても、早期解決できることはメリットといえます。

他方で、不倫が発覚した場合、被害者も加害者も双方が感情的になっていることが一般的であり、そうした状況下で、法的な問題である慰謝料について直接話し合いをすることは現実的には難しく、当事者土同士では建設的な協議が困難なことが多いです。

その結果、話がこじれて解決までかえって長期化してしまったり、適正な慰謝料金額で合意できなかったりといったおそれもあります。

更に、合意内容についても法的には不十分なものとなってしまい、将来的な紛争の火種を残す内容で合意をしてしまうリスクもあります。

2.内容証明郵便で連絡する

当事者間で直接話し合いをすることは、時間的な制約や精神的な負担等を伴います。

そこで、これ以外の方法として、被害者が要求を書面にして加害者に対して郵送するという方法も考えられます。

その際、いつどのような内容の書面を送ったのかが記録に残るように内容証明郵便を利用することが一般的です。

内容証明郵便で書面を作成する際、不貞の発覚によって精神的な苦痛を被ったこと、夫婦関係が悪化したこと、慰謝料として300万円(この金額を請求することがケースとしては多いです。)を請求すること、支払期限、支払先口座等の情報を記載することとなります。

この書面を受け取った加害者側としては、何も対応せずに放置しておくと、被害者から「誠意がない」といった判断をされ、協議での解決が困難となり裁判対応が必要になる等かえって話がこじれてしまうおそれもありますので、なるべく速やかに対応を検討する必要があります。

【メリットや注意点】

内容証明郵便を送るメリットとしては、直接話し合うよりも落ち着いた状態で要望等を検討した上で書面にまとめることができ、これを相手方に伝えることができるという点が考えられます。

また、不貞行為の慰謝料請求権は、基本的には不貞行為の発覚時から3年で時効にかかってしまうところ、この時効が完成する間際であっても、まずは内容証明郵便で相手方に慰謝料を明確に請求しておけば、6か月間は時効の完成が猶予されます。

他方で、内容証明郵便を送るためには、相手方の住所を調べる必要があります。

この住所が事前に分かっていれば問題ないのですが、分からない場合、弁護士に依頼する等して相手方の住所を調べるところから慰謝料請求の準備をしなければなりません。

もし、上記のような時効完成間際という状況であった場合、こうした調査をしていると時効が完成してしまうおそれもありますので、弁護士にはなるべく早く相談した方が良いです。

3.弁護士に依頼する

不倫があった場合の慰謝料請求は法的な権利行使なので、代理人として弁護士に依頼した上で慰謝料を請求する方法も考えられます。

弁護士に依頼すると、弁護士が代理人として相手方又はその代理人と協議を行うことになります。

そのため、更なる精神的苦痛を被りながら相手方と直接の話し合いをする必要がなくなります。

また、協議が難航し、裁判外における交渉で示談が成立しない場合、弁護士に訴訟提起するよう依頼することもできます。

弁護士は、依頼者の代理人として、依頼者の利益を最大化するように動くため、依頼者の要望を可能な限り踏まえた解決となることが期待できます。

また、あくまでも代理人であり当事者本人ではないため、感情的になって協議が難航することは基本的になく、法的に妥当な結論で早期に解決することも期待できます。

弁護士に依頼することのデメリットとしては弁護士費用がかかることですが、弁護士を介入させることによる精神的な負担の軽減や、早期かつ適切な金額での解決が見込まれることを踏まえると、依頼する価値は十分にあるところかと思います。

示談を成立させるまでの交渉の進め方

示談は、どのように進めればよいのでしょうか。示談を成立させる手順について具体的に説明します。

1.相手への連絡と交渉

示談を成立させるためには、まずは不倫相手の配偶者と連絡を取る必要があります。相手との連絡は、直接会うより、電話またはメールなどで行うのがよいでしょう。

メールや書面で連絡と取ると、やり取りの内容を残すことができるため、さらなるトラブルに発展した場合に、証拠として役立つ可能性があります。

また、相手へ連絡をする際は、謝罪の意を示すことも大切です。心から反省し、誠意を込めて謝罪することにより、相手が交渉に応じてくれる場合もあります。

ただし、どれほど誠意を込めて謝罪をしても、相手が応じてくれず、話し合いが進まないことも少なくありません。

そのような場合は、さらに問題がこじれる前に、弁護士に相談するのが賢明です。

弁護士が連絡することにより、相手が冷静に交渉に応じることも多いものです。

また、相手との連絡窓口を弁護士に統一することで、ご自身で相手と直接やり取りすることによる負担やストレスを軽減することが期待できます。

2.示談書の作成

示談内容が決まったら、最後に示談書を作成します。示談書の作成は、加害者、被害者のどちらが行ってもかまいません。

示談書には、以下のような内容を記載することが一般的です。

  • 示談の前提となる事実
  • 慰謝料を支払う旨・金額・支払い方法・支払い期日
  • 加害者が不倫関係を解消し、以降、相手と接触しない旨
  • 守秘義務、プライバシーの保護について
  • 被害者と加害者の間には、示談書に記載の内容以外に、支払いなどの義務はない旨

これらの内容を記載した示談書を2通用意の上、お互いの氏名・住所を記載、捺印し1通ずつ交付すれば完了です。

将来的なトラブルを防ぐためにも、示談書の記載内容はできる限り具体的に記載しましょう。内容に自信がない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

3.公正証書を作成して示談を成立させる方法も

示談書の代わりに公正証書を作成して、示談を成立させるという方法もあります。

公正証書とは、公証役場に出向き、公証人の前で、当事者双方が示談内容を確認の上で、作成される書面です。

契約が不履行になった場合に、執行力を持たせることが可能なため、慰謝料の支払いが後日になる場合や分割払いになる場合などに作成されることが多いでしょう。

公正証書の作成には費用がかかります。公正証書を作成する場合には、示談交渉において、作成費用の負担をどうするかについても決めておく必要があります。

具体的な費用を知りたい方は、日本公証人連合会の公式サイトでご確認下さい。

参考:日本公証人連合会ホームページ

不貞行為の示談交渉を進める際の注意点

示談が成立し、示談書に署名・押印した後に、その内容を覆すことは非常に難しいです。

そのため、示談の内容については、不当な不利益を被ることになっていないか、不利な条件を認めることになっていないかなど、よく確認してから捺印することが大切です。確認が必要な点を具体的に説明します。

1.慰謝料の支払い義務があるか

そもそも慰謝料の支払い義務が法的に生じるのかについて確認しましょう。

具体的には、①肉体関係があったのか、②不貞相手が既婚者であると知っていたのか、③知らなかったとしても客観的に知ることができる状況だったのか、④不貞相手から肉体関係を強要されたような事情があるかを確認することになります。

いずれか一つでも「この点はどうなんだろう?」と思う事項があれば、慰謝料の支払い義務が生じない可能性があります。

支払い義務が法的に生じるか否かは、法的な問題となりますので、弁護士に相談することを推奨します。

2.慰謝料額が高額過ぎないか

慰謝料の金額は法律で定められているわけではありません。

そのため、自由に決めることができますが、裁判になった場合や、弁護士に相談した場合は、過去にあった類似の事件の裁判例を参考に決めるのが一般的です。

その場合の慰謝料は、不倫発覚後の相手夫婦の関係によって大きく異なります。それぞれの場合についての相場は概ね以下のとおりです。

  • 離婚しない場合:50~100万円
  • 不倫が原因で別居に至った場合:100~200万円
  • 不倫が原因で離婚に至った場合:150~500万円

慰謝料金額は個々の事情によって増減しますが、上記の金額とあまりにもかけ離れた額を請求されている場合は、そのまま応じてはいけません。

相手に減額してもらうよう交渉する必要がありますが、当事者同士では、上手くいかないことも少なくないでしょう。

その場合は、不倫問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

事実を整理した上で、適正な金額にするよう交渉してもらうことにより、不当に高い金額を支払わずに済むでしょう。

3.不当な要求がないか

被害者が、慰謝料の支払いの他に、加害者の退職や引っ越しなどを要求してくるケースも珍しくはありません。

しかし、そのような要求に対して応じる必要はありません。

不倫をしたからといって、そのような要求に応じなければいけないという法的根拠はないからです。

また、要求を拒否した際に、「退職しないと会社にばらす」、「引っ越ししないと嫌がらせをする」などと言われた場合は、脅迫罪に該当する可能性があります。

このような場合、毅然とした態度で対応することが大切ですが、相手に脅迫めいたことを言われると、不安や恐怖に支配されて、正しい判断ができなくなるかもしれません。

自分で対応することが難しいと感じた場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

弁護士による適切な対応により、相手の不当な要求を排除し、自分が不利になることのない示談書を作成してもらうことができます。

弁護士に示談交渉を依頼するメリット

弁護士に示談交渉を依頼するメリットについて説明します。

1.相手と直接交渉することを避けられる

不倫相手の配偶者との示談交渉は、お互いが感情的に対立しやすいこともあり、難航することが多いです。

相手から罵倒される、泣かれるなどして、精神的に参ってしまうこともあるでしょう。

しかし、弁護士に依頼すれば、相手との交渉を全て弁護士に任せることが可能です。

相手の主張や要求も弁護士を通して聞くことになり、相手と直接関わることが一切なくなるので、精神的負担を大幅に軽減することにつながります

また、相手が感情的になり、全く交渉に応じてもらえないような場合でも、第三者である弁護士が代理人となることで、相手が冷静さを取り戻し、交渉が進むことも少なくありません。

相手が弁護士を立てた場合も、しっかりと自分の主張をした上で、交渉をまとめてもらえるでしょう。

2.慰謝料の減額が期待できる

不倫問題では、相手方が請求する慰謝料の金額は相場よりも高額であることがほとんどです。

弁護士に依頼すれば、過去の裁判例を基準に、適正な金額まで減額するよう相手方と交渉してもらえます。

そのため、不当に高い慰謝料を支払う必要がなくなります。

また、場合によっては、さらなる減額要因を見つけ出し、慰謝料を減額できるかもしれません。

3.早期解決が期待できる

示談交渉の弁護士への依頼はできるだけ早い段階で検討することをおすすめします。

早い段階で弁護士に依頼することで、相手との交渉がこじれ、余計なトラブルが発生することを防ぐことができます。

交渉が決裂し、相手に訴訟を提起された場合、解決までに相当な時間を要することになります。

弁護士に依頼し、適切に交渉を行ってもらうことで、そのような事態を回避できる場合も少なくありません。

また、当事者同士でまとまらなかった話し合いも、弁護士が間に入り、冷静に事実整理を行いながら進めることにより、短時間でまとまることもあります。

自分で交渉を進めることが難しいと感じたら、できる限り早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

まとめ

今回は、不倫相手の配偶者に不倫を知られた際にすべきこと、不倫が発覚した場合の示談の必要性、示談を成立させる手順、不倫問題で示談をする際の注意点などについて解説しました。

不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された際、表沙汰にしたくないなどの理由から、焦って示談を進めようとする方もいらっしゃるかと思います。

しかし、不安や焦りから、高額な慰謝料の支払いに応じたり、自分に不利な内容の条件を受け入れたりして、後悔する可能性があるため注意が必要です。

不当に高額な慰謝料の支払いを回避するためには、不倫問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題で慰謝料を請求されてお困りの方が不当な負担を強いられないよう全力でサポートしております。

不倫問題の慰謝料減額交渉等の実績を豊富に持つ弁護士が、法律の専門知識と交渉術を駆使して相手との交渉にあたります。

秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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清水 大誠
執筆者 弁護士清水 大誠 福岡県弁護士会 登録番号65083
私は、依頼者の皆様からお話を伺える機会一つ一つを大切なご縁であると考え、依頼者の皆様の思いや悩みに寄り添い、法律問題を適切な解決に導く弁護士として職務を全うしたいと考えております。 「こんなことで弁護士に相談していいのか」と悩まれている方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方々のためにも我々弁護士がおります。ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
得意分野
契約法務 、 人事・労務問題 、 紛争解決 、 海外進出法務 、 債権回収 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故
プロフィール
東京都出身
日本大学法学部 卒業
上智大学法科大学院 修了
弁護士登録
東京スタートアップ法律事務所 入所
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