不倫相手の子供を妊娠した場合の対処は?出産や中絶の場合の注意点、慰謝料を解説
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記事目次
不倫相手の子供を妊娠したことが発覚した際、中絶するか出産するか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中絶か出産かという大きな決断を迫られることになりますが、中絶可能な期間は限られているため、時間的な猶予はあまり長くはありません。
今回は、不倫相手の子供を妊娠した場合にやるべきこと、不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点、不倫相手の子供を中絶する場合の注意点、妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点などについて解説します。
不倫相手の子供を妊娠した際にやるべきこと
不倫相手の子供を妊娠した疑いがある場合、落ち着いて必要な行動をとることが大切です。具体的にどのような行動をするべきか説明します。
1.妊娠の有無を確認する
妊娠の有無を確認できるのは一般的には妊娠5週目以降といわれています。
この時期を過ぎても、まだ産婦人科を受診していない場合、産婦人科で妊娠の有無を確認しましょう。
市販の妊娠検査薬も正しく使用すれば精度は高いといわれていますが、産婦人科を受診した方が確実です。
中絶を視野に入れている場合、中絶可能な期間には限りがあるため注意が必要です。
母体保護法第2条2項に定められた「胎児が、母体外において、生命を保続することができない時期」は、妊娠21週6日までとされています。
その期間を超えると、中絶という選択肢を選ぶことはできなくなるので、なるべく早く妊娠の有無を確認することが大切です。
また、父親が誰か不明な場合は、出生前親子鑑定により妊娠した子供の父親を調べるとよいでしょう。
出生前親子鑑定は、母体血を用いてDNA親子鑑定を行う方法で、妊娠8~10週目以降に検査を行うことが可能です。
2.不倫相手と話し合う
不倫相手の子供を妊娠していることが明らかになった場合、不倫相手の男性に妊娠の事実を伝えて、話し合いましょう。
子供を産みたいと考えている場合、男性が妻と離婚して自分と結婚する意思があるのか確認することが大切です。
ただし、男性が妻と離婚するという約束をしてくれた場合でも、実際は離婚しないケースも少なくないため注意が必要です。
出産することを選択する場合、実家の支援なども含めて、子供の養育環境が整っているかよく検討することが大切です。
3.離婚について話し合う
ご自身が結婚していてダブル不倫をしている場合は、出産を選択するならご自身の離婚について考える必要があります。
不倫相手が離婚して自分と再婚してくれる可能性があるのか、ご自身が離婚してシングルマザーとして出産するという選択をするのか、不倫相手と十分に話し合った上で慎重に決めることが大切です。
ご自身が離婚してシングルマザーとして出産する場合は、嫡出推定制度に注意する必要があります。
嫡出推定制度は改正(2024年施行予定)により、再婚後に誕生した子は再婚後の夫の子と推定されることとなりますが、再婚しない場合、離婚後300日以内に生まれた子は元夫の子と推定されます。
離婚については、生まれてくる子どもの戸籍に関わる重要な事項なので、生まれてくる子どものことも考えて慎重に決断してください。
不倫で妊娠した場合にとれる選択肢は?
1.不倫相手と結婚する
子どもの父親である不倫相手と結婚できるのがベストだと考える方も多いでしょう。
しかし、どちらかが既婚者でもう一方が独身者であった場合は、以下のリスクが考えられます。
- 相手が離婚できず、なかなか結婚できない
- 相手に子どもがいる場合、相手が養育費を支払わねばならない
- 相手の配偶者から慰謝料を請求される
有責配偶者からの離婚請求は認められないため、配偶者が離婚に応じなければ、いつまで経っても離婚が成立せず、相手と結婚できない可能性があります。
また、たとえ離婚が成立したとしても、相手に子どもがいれば、養育費を支払わなければならないでしょう。
さらに、相手の配偶者から、ご自身に対して不貞行為の慰謝料を請求される可能性もあります。
また、自分も相手も既婚者であるダブル不倫の場合も、どちらかが既婚者である場合とほとんど同様のリスクが考えられます。
- 自分も相手も離婚できない可能性がある
- お互いの配偶者から慰謝料を請求される
- 配偶者との間に子どもがいれば、養育費を支払わねばならない
2.一人で出産し、子どもの認知だけをしてもらう
不倫相手と結婚はせず、認知だけをしてもらって、シングルマザーとして子どもを産み育てるという方法もあります。
この場合、大切なのは、相手に養育費を支払ってもらえるよう話をしておくことです。
認知をすれば、不倫相手と子どもに法律上の親子関係が成立します。
親である限り、子どもが社会的・経済的に自立するまで、その生活を支える義務があり、養育費を支払わなければなりません。
経済的に困窮して、ご自身や生まれてくる子どもがつらい思いをしないためにも、必ず養育費の取り決めをしておきましょう。
また、相手と話し合って決めた内容は、公正証書にしておくことをおすすめします。
公正証書にしておけば、相手方が支払わない場合に、裁判をしなくても強制執行手続きを行えるからです。
3.一人で出産し、結婚や認知もしてもらわない
相手に結婚も認知も求めず、一人で子どもを産み育てるという選択肢もあります。
しかし、この場合、相手からの経済的援助がないため、経済的に苦しい思いをする可能性もあるでしょう。
ひとり親家庭を支援する公的制度を上手く活用しながら、生活のために頑張らねばなりません。
また、パートナーがいない分、大変な思いを一人で抱えることも多いため、困ったときに相談できる人を見つけておいた方がよいでしょう。
実家の両親や兄弟が近くに住んでいて頼れそうな場合は、頼るのもよいでしょう。
その場合、不倫相手の子どもを生むという選択をしたことについて話をして理解を得ることが大切です。
両親や兄弟を頼ることができない場合は、支援団体などに助けを求めるという方法もあります。
4.中絶する
子どもを産まないという選択肢もあります。お腹の中にいる子どもを中絶することに抵抗を感じるかもしれませんが、ご自身の将来を考えると賢い選択といえる場合もあります。
ただし、中絶を考える場合は、期限があることに注意しましょう。日本では、中絶可能とされるのは、妊娠21週までです。
それ以降は法律によって禁止されていますし、中絶手術が遅くなるほど母親の肉体的負担が重くなります。
相当な勇気が必要となる選択かもしれませんが、可能な限り早い段階で決断することが望ましいです。
中絶する場合、中絶手術にかかる費用は、子どもの両親で負担すべきとされています。自分だけで負担しないで、不倫相手にも請求しましょう。
不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点
男性の意思に関わらず、一人で子供を産んで育てたいと考えている場合、男性に子供を認知してもらえるか、養育費を支払ってもらえるかという点を確認しましょう。
「不倫相手の男性に迷惑をかけたくないから、認知も養育費も必要ない」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、生まれてくる子供の将来のためにも、認知と養育費に関する法律の規定について理解しておくことは大切です。
認知と養育費に関する法律の規定や、不倫相手の妻から慰謝料を請求される可能性など、不倫相手の子供を出産する場合の留意点について説明します。
1.認知に関して知っておくべき法律の規定
①認知とは
認知とは、男性が生まれた子供を自分の子であると認める身分行為です。
相手の男性と結婚することなく、子供を出産した場合、その子供は非嫡出子となります。
非嫡出子は、法律用語で、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供を意味します。
男性が子供を認知することにより、認知した男性と認知された子供の間に法律上の親子関係が成立します。
親子関係が成立することにより、不倫相手の男性は、父親として子供に対する扶養義務を負います。
また、子供は父親の相続権も有することになります。
以前は嫡出子(婚姻関係にある男女の間に生まれた子供)と非嫡出子で相続分に格差がありましたが、民法の改正により格差が是正され、同じ相続分となりました(民法第900条)。
②任意認知と強制認知
認知には、任意認知と強制認知という2つの種類があります。
- 任意認知:父親である男性の意思で、認知の手続を行うこと(民法第779条)
- 強制認知:子の父親が任意に認知しない場合に、認知調停や認知訴訟で法律上の父子関係を発生させる手続きのこと(民法第787条)
つまり、男性が認知を拒否しても、女性が強制認知の訴えを提起して、生物学的親子関係が認められた場合は強制的に認知させることが可能です。
「結婚は難しいかもしれないけれど、認知くらいしてくれるだろう」と思う方は多いかもしれません。
しかし、残念ながら、認知をすることによる責任の重さを感じて、認知を渋る男性は少なくありません。
出産を決意した場合、認知は産まれてくる子どもの人生に関わる非常に重要な問題です。
男性が認知を拒否する場合は、認知調停を検討しましょう。
認知調停では、裁判官のほかに調停委員という法律の専門家が両者の間に入って話し合いを進めることになります。
ご自身で対応することも可能ですが、スムーズに話し合いを進めるためには弁護士に相談することをおすすめします。
2.養育費に関して知っておくべき法律の規定
認知により、不倫相手の男性に扶養義務が発生し、養育費の支払いが義務付けられます。
養育費の額に関する法律の規定はなく、お互いの収入や子供の人数などに応じて決定することができます。
養育費の目安としては、裁判所が公開している養育費算定表が参考になります。
不倫相手の男性に養育を負担してもらうことなく、自分の収入で育てていこうと考えていても、将来、何らかの事情で働けなくなる可能性が全くないとは限りません。
子供の将来のためにも、不倫相手の男性に子供を認知してもらい、無理のない範囲で養育費を支払ってもらうことが望ましいでしょう。
母子家庭の貧困が社会問題化する中、2020年4月の民事執行法改正により、養育費を支払わない男性の財産を差押えできるよう、債務者の財産に関する情報を第三者から取得する手続が新設されました。
この手続により、裁判所を通じて市町村や年金機構等に養育費を支払わない男性の勤務先の情報提供を求めて給与を差押えすることも可能になりました。
出産後に経済的な問題で苦しい思いをしないためにも、月々の養育費の支払いについて、男性としっかり話し合って決めることが大切です。
また、話し合いで決めた内容は、公正証書にしておくことが望ましいです。
公正証書に「未払いの際の強制執行」について明記しておけば、養育費の支払いが滞った際に、債務名義として強制執行を行うことが可能です。
裁判手続きを経ることなく、相手の財産を差し押さえられるので、未払い分を速やかに回収できます。
3.不倫相手の妻から慰謝料を請求される可能性
不倫相手の男性に子供を認知してもらうと、男性の戸籍には認知した子供の名前が記載されます。
戸籍の記載がきっかけで、不倫相手の妻に不倫の事実を知られ、慰謝料を請求される可能性があるため注意が必要です。
不倫相手の妻からの慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求について規定している民法第709条と第710条を根拠とする請求であるとされています。
婚姻関係にある夫婦はお互いに配偶者以外の者と性的な関係を持たない貞操義務を負い、貞操義務に反することを不貞行為といいます。
不貞行為は不倫相手である男性の妻に対する貞操義務違反行為に加担するものであり不法行為に該当するため、慰謝料の請求が認められているのです。
不倫相手の子供を中絶する場合の対処方法
不倫相手との間で妊娠が発覚した場合、中絶を検討する際には以下の3つのポイントが重要です。
中絶できる期間は22週未満と限られていますので、冷静にかつ素早く対処する必要があります。
妊娠事実の確認
まず、妊娠の事実を早急に確認することが必要です。
生理が遅れた場合、1週間目を目安に妊娠検査薬を使って確認し、陽性反応が出たら産婦人科での診察を受けましょう。
なかなか産婦人科へ行く決断ができないという方も多いですが、前述の通り中絶の選択にはタイムリミットがありますし、専門医との相談を通じて中絶の選択肢を検討することで、心理的な負担を軽減できますので、必ず産婦人科を受診しましょう。
また、不倫相手が実際に父親であることを確認するためにDNA鑑定を検討するのも重要です。
この過程で、将来の決断に必要な情報を得ることができます。
また、別の男性との間に肉体関係があるか否かに関わらず、相手男性とのその後の話し合いをスムーズに進めるために鑑定をするメリットもあるでしょう。
DNA鑑定の相場は、10万~20万円です。
妊娠7週目以降に検査が可能になり、数日~2週間ほどで結果が出るため、法的な中絶期間である22週未満に間に合うように行うことも十分可能です。
中絶費用の準備
次に、中絶に伴う費用の準備が必要になります。
中絶の方法は大きく分けると、手術と2023年4月に承認された経口中絶薬の二種類です。
人工中絶手術にはいくつか種類がありますが、いずれも子宮内に器具を入れる外科的な手術を行い、 経口中絶薬は、飲み薬によって中絶を行います。
中絶手術や経口中絶薬は基本的に自費診療ですので、クリニックによって費用は異なりますが、ある程度まとまった費用が必要となり、それに備えなくてはなりません。
中絶手術の費用は妊娠の進行度によって異なり、早期の段階から準備を進めることが勧められます。
費用面での不安を減らすためにも、ひとりで抱え込まずに、事前に相手との話し合いを重ねることが肝要です。
不倫相手との話し合い
最後に、不倫相手との今後の関係を真剣に考えることが大切です。
妊娠がきっかけで関係が変わる可能性があるため、お互いの今後についてしっかりと話し合う必要があります。
出産するか中絶するか、不倫関係は継続するのか解消するのか、離婚をするのか、出産・中絶にかかる費用、養育費や将来の育児についてなど、進むべき道を明確にすることが望まれます。
決めるべきことが多く複雑に感じるかもしれません。
実際に、この話し合いが上手く進まずになあなあになってしまい、その後大きなトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
話し合いの最中もお腹の子供は育っていきますので、なるべく早くお互いの意思疎通を図り、最終的には納得のいく決定をすることが肝心です。
不倫相手の子供を中絶する場合の注意点
不倫相手の子供を産みたいと希望していたのに、相手の男性から説得された、あるいは子供の将来を考えて出産を断念したなどの理由により、仕方なく中絶を選択するという方もいらっしゃるかと思います。
その場合、精神的なダメージを受けたことを理由として、相手に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
慰謝料、中絶費用の請求の可否について説明します。
1.不倫相手に対する慰謝料請求の可否
子供を中絶することにより精神的なダメージを受けたとして、不倫相手に対して慰謝料の請求をすることはできるでしょうか。
お互いに合意の上で性行為を行い、妊娠し、合意の上で中絶した場合には、不貞相手に対して慰謝料請求をすることはできないでしょう。
ただし、自分は出産することを希望していたにもかかわらず、不貞相手から執拗に中絶を強要され、やむなく中絶をしたような場合には慰謝料請求ができる可能性がないとはいえないでしょう。
2.中絶手術の費用は請求可能
中絶手術にかかる費用については、一般的に、相手の男性が約半分を負担する必要があると考えられています。
そのため、男性に対して、実際にかかった費用の約半分を請求することができます。
妊娠12週未満の妊娠初期は体への負担が比較的少ない手術で済みますが、それ以降になると、通常の出産と同様に分娩する形で中絶を行うため、体への負担が大きく、費用も高くなります。
それぞれの期間の中絶費用の相場は以下のとおりです。
- 妊娠初期(12週未満)の場合:10万円~15万円程度
- 妊娠中期(妊娠12週〜22週未満)の場合:20万円~40万円程度
妊娠中期の手術は体への負担が大きいため、通常、数日間の入院が必要になり、入院費用もかかります。
また、死産届の提出や埋葬許可証を得て、埋葬をする必要も生じます。
妊娠12週経過後の中絶手術は、体への負担だけではなく、経済的な負担も大きくなるので、中絶を検討している場合はできる限り早く結論を出すことが大切です。
3.中絶可能な期間に注意
中絶可能な期間は、妊娠21週6日目までです。
妊娠22週以降の中絶は母体保護法により禁止されているため、中絶するかどうか悩んでいる場合は注意しましょう。
また、妊娠週数がわからない場合は産婦人科で診察を受けてください。
妊娠週数は最終月経開始日と胎児の超音波計測によって確認するため、超音波検査を受けなければなりません。
後悔しないためにも、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点
既婚者同士がダブル不倫をしていて、不倫相手の子供を妊娠したことをきっかけに、配偶者である夫と離婚する場合、不貞行為を理由に夫から慰謝料を請求される可能性が高いため注意が必要です。
一般的に不貞行為による慰謝料の相場は50万円~300万円といわれています。
しかし、妊娠という事実がある場合、慰謝料の額は大きくなる傾向にあり、高額な慰謝料を請求される可能性もあります。
高額な慰謝料を請求された場合、不倫問題に精通した弁護士に相談すると、法律の専門知識や交渉術を駆使して減額の交渉をしてもらうことが可能です。
弁護士に依頼する費用はかかりますが、慰謝料の減額が実現すれば、負担総額を大幅に抑えることも可能です。
不倫で慰謝料請求された場合の弁護士費用の相場や費用が用意できない場合の対処法などはこちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。
独身のまま産んで認知してもらわない場合の注意点
相手に認知してもらわず、完全に独力で子どもを産み育てようという覚悟を決め手いる方もいらっしゃるかと思います。その場合は、以下のような準備をしておくことをおすすめします。
1.活用できる公的制度を調べておく
シングルマザーとして子どもを産み育てていく場合、最も苦労することが予想されるのは経済面に関する問題です。
出産前はフルタイムで働けて残業もできますが、出産後は出産前と同じような働き方はできません。時短勤務にしたり、勤務形態を変えたりする必要があるため、収入が減少することもあるでしょう。
一人で子どもを育てることを決めた場合は、養育費を期待することができないため、経済的に苦しい生活に追い込まれるケースは少なくありません。
少しでも生活への不安を取り除くためには、国や自治体が用意している公的支援制度を利用するとよいでしょう。
児童手当や住宅手当、国民健康保険の軽減や免除などシングルマザーが利用できる制度は多数あります。出産後は時間の余裕がなくなるので、なるべく出産前に自治体の公式サイトで調べたり、問い合わせたりするなどしておけば、安心して出産に臨めるはずです。
2.相談相手や仲間、コミュニティを見つけておく
子どもを育てることは、想像以上に大変なものです。誰かに相談したり、話を聞いてもらったりしたいこともあるでしょう。しかし、シングルマザーになると身近に相談相手がいないために、一人でつらい思いを抱えてしまう方も多いです。
そのような時に備えて、出産前に、相談できる相手や悩みを共感してもらえる仲間を探しておくことをおすすめします。親や友達に相談するのもよいかもしれませんが、シングルマザーのコミュニティを見つけて参加すれば、同じ立場の人と交流できるので、悩みを理解してもらえる可能性が高いでしょう。また、シングルマザーを支援するNPO法人などの団体も複数あるので、事前に調べておくと、必要な時に頼ることができるでしょう。
最近ではオンラインで相談したり、イベントに参加したりできるところも増えているので、忙しい方でも仲間を見つけやすいはずです。
不倫で妊娠した場合の慰謝料の相手と相場は?
1.慰謝料の相場は?
不貞行為を理由に請求される慰謝料の相場は、50万~300万円程度です。実際の請求金額は以下のようなさまざまな要因によって増減します。
- 不貞行為発覚後の夫婦関係(離婚した、別居したなど)
- 不貞行為発覚以前の夫婦関係
- 婚姻期間
- 不貞行為のあった期間・回数
- 夫婦間の子どもの有無
- 不貞行為の相手方の妊娠の有無
- 当事者の反省の度合い
不倫相手が妊娠した場合、慰謝料は相場よりも高額になる可能性があります。
ただし、慰謝料額の算定には他の要因も加味されるため、妊娠の事実だけでは必ずしも増額するとは限らないことに注意しましょう。
ご自身のケースでの金額の目安を知りたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
2.不倫関係の当事者間
不倫関係の当事者同士の間では、原則として慰謝料は発生しません。妊娠したとしても、それが当事者の合意の元、肉体関係を持った結果であれば、慰謝料の請求理由には該当しないからです。
ただし、妊娠発覚後に男性があまりにも不誠実な対応をした場合、精神的苦痛を受けたとして女性側から慰謝料を請求できる可能性があります。
例えば、女性が妊娠したことを伝えた途端、音信不通になった場合や、女性が出産を希望しているのに男性が中絶を強要した場合などです。この場合の慰謝料の相場は、10万~50万円程度でしょう。
妊娠のことを伝えた途端、男性が不誠実な態度をとることは珍しいことではありません。男性の不誠実な態度により精神的なダメージを受けた場合は泣き寝入りせずに、慰謝料の請求を検討しましょう。
3.不倫された配偶者
不倫された配偶者は、不貞行為をした当事者に対して慰謝料を請求できます。
その相場は、50万~300万円程度ですが、相手が妊娠している場合は、比較的高額の慰謝料を請求できる可能性があります。相手が妊娠していることで、配偶者が受ける精神的苦痛は通常よりも大きいと推認されるためです。
過去には、不倫相手の妊娠によって離婚に至ったことに対して、500万円を超える高額な慰謝料の請求が認められた裁判例もあります。
妊娠したことを不倫相手の奥さんに知られた場合、奥さんから慰謝料を請求される可能性があるという点についてもしっかり認識しておきましょう。
不倫相手が責任を取らない場合の対応
1.慰謝料や中絶費用を請求する
男性側の対応が不誠実である場合は、精神的苦痛を受けたことを理由に慰謝料を請求しましょう。また、中絶した場合は、手術にかかった費用も請求できます。
妊娠は当事者二人の責任です。男性だけが責任を逃れようとするのは、あまりに理不尽です。
どうしても男性が逃げるなら、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士の名前で内容証明郵便を送るなどすれば、それまで一切無視していても、途端に応じる人も少なくありません。
さらに、弁護士であれば、法的根拠から論理的に相手と交渉してくれるので、ご自身にとって有利に解決する可能性が高まります。一人でつらい思いを抱えず、弁護士を頼りましょう。
2.認知調停を利用する
男性に認知を求めても応じてもらえない場合は、家庭裁判所に認知調停を申し立てるとよいでしょう。
認知調停を利用し、双方の間で親子である旨の合意ができ、かつ、裁判所が調査に基づき、その正当性を認めれば、父親と子どもの親子関係が法的に認められます。認知された場合は、出生まで遡って法律上の親子関係が生じます。
なお、認知調停、嫡出否認調停の手続き方法については、以下の裁判所公式サイトをご参照ください。
【参考リンク】 ・裁判所|認知調停 ・裁判所|嫡出否認調停 |
3.養育費請求調停を利用する
相手が子どもを認知し、法律上の親子関係があるなら、相手には養育費の支払い義務があります。
いくら請求しても支払ってくれない場合は、養育費請求調停を利用して支払ってもらいましょう。
調停手続きでは、裁判所が実際にかかる養育費や請求相手の経済事情を確認、考慮した上で解決案を提案してもらえます。
お互いにとって、最もよい形で解決できるよう導いてもらえるため、相手との話し合いがまとまらない場合は、利用を検討するとよいでしょう。
また、調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続きへと移行し、裁判所が判断を下します。
養育費請求調停の手続方法は、以下の裁判所公式サイトでご確認ください。
【参考リンク】 裁判所|養育費請求調停 |
不倫された配偶者にできる対応は?
1.不倫相手に慰謝料を請求する
不倫をされた側は、不倫の当事者に対して慰謝料を請求できます。
請求できる慰謝料の相場は50万~300万円程度ですが、相手が妊娠している場合は相場より高額を請求できる可能性が高いでしょう。これは、こちらが受けた精神的苦痛の大きさを配慮してもらえるためです。
特に不貞行為発覚以前は夫婦関係が良好であったり、不貞行為発覚によって別居や離婚に至ったりした場合は、不倫によって被った損害が大きいとして、慰謝料は増額する傾向にあります。
精神的負担が大きいため、「不倫相手と関わりたくない」という場合は、弁護士に依頼するとよいでしょう。弁護士に依頼すれば、その後の連絡は全て弁護士を通すため、相手と一切関わらずに済みます。
2.離婚する
不倫相手を妊娠させたり、不倫相手の子を妊娠したりした配偶者と離婚することを検討する方もいらっしゃるでしょう。
離婚する場合は、配偶者に慰謝料を請求できる他、こちらに有利なように財産分与をすることもできます。
財産分与には、離婚後の生活の保障や離婚原因を作ったことについての賠償という性質もあるためです。
配偶者が自分と離婚して不倫相手と再婚することを思うと、簡単には離婚したくないという方もいるかもしれません。離婚しないことが、不倫した当事者に対する復讐と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それではいつまで経ってもご自身が幸せになれません。自分にとって有利な形で離婚し、ご自身の幸せに向かって再スタートを切るという選択肢もあります。
配偶者と話をするのがどうしても嫌だという場合は、ぜひ弁護士に相談してください。弁護士が依頼者の幸せのために最善を尽くしてくれます。
3.妻が不倫して妊娠した場合は嫡出否認の調停を申し立てる
妻が不倫相手の子どもを妊娠し、生まれてくる子どもとご自身との親子関係を否定したい場合は、嫡出否認の調停を申し立てなければなりません。
申し立ては必ず夫の側から行わなければならず、子どもが産まれたことを知ってから1年以内に行う必要があります。
しかし、妻が不倫相手の子を妊娠したことに大きなショックを受け、そのような気力がわかないという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、その後の手続は全て任せられます。ショックのあまり行動できなかった結果、不倫相手の子どもが法律上自分の子どもになってしまわないためにも、早めに弁護士に相談しましょう。
不倫と妊娠に関して弁護士に相談するメリットは?
1.相場よりも高い慰謝料を支払わずに済む
慰謝料を請求される場合、その金額は相場よりも高い金額とされることが多いものです。
慰謝料額の算出方法には法的な決まりがないため、いくら請求しようと自由だからです。
しかし、全く基準がないわけではありません。
裁判になった場合は、過去の裁判例などを参考に適正な金額を決めます。
そのため、弁護士に依頼すれば、過去の判例を参考に適切とされる慰謝料額を算出し、不当に高い額を支払わなくて済むよう相手と交渉してもらえます。
2.養育費や慰謝料、中絶費用などを相手に支払わせられる
弁護士に依頼すれば、法律に照らして相手が負担すべきお金をきちんと支払ってもらえるよう対処してもらえます。
養育費や中絶費用は、相手も親である以上負担して当然です。中絶を強要されて、つらい思いをした場合は、慰謝料も請求できます。
しかし、それらのお金をご自身で請求しても、相手が応じないケースも、残念ながら少なくありません。
弁護士に依頼すれば、こちらが本気で請求していることが伝わり、相手が応じる可能性が高まります。
それでも応じない相手には、法的手段を講じて支払ってもらえるよう取り計らってくれるでしょう。
相手から受け取るべきお金をきちんともらえる可能性が高まるのです。
不倫や妊娠に関するよくある質問
1.妊娠したことを不倫相手に伝えられない場合はどうすればよいですか?
「妊娠したことを不倫相手に伝えなければ」と思うけれど、「どのような反応をされるのか不安だ」、「妊娠の事実を伝えることで、離婚を迫っているように思われるのは嫌だ」などという思いがあり、伝えられない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、妊娠は当事者二人の問題です。不倫相手に妊娠の事実を伝えるのを躊躇していると、時間ばかりが過ぎて、中絶という選択肢を選べなくなる可能性もあります。女性は妊娠すると、「お腹の中にいる赤ちゃんを守りたい」という気持ちが強くなることも多いですが、ご自身の将来のためにも冷静に判断することが大切です。冷静に判断するためにも、まずは不倫相手に妊娠の事実を伝えて、話し合ってください。
2.不倫関係を持ったのが別居後でも配偶者から慰謝料を請求されるでしょうか?
不倫関係に陥る前から別居していた場合は、既に婚姻関係が破綻していたとみなされやすいため、慰謝料を支払わずに済む可能性が高いでしょう。
ただし、別居していたとしても、単身赴任中だった場合など、双方が婚姻関係を続ける意思があったと客観的に認められる場合は婚姻関係が破綻していたとはみなされません。あくまで、離婚が前提の別居である必要があります。
また、別居期間が短い場合も、婚姻関係が破綻していたとは認められない可能性があります。
婚姻関係の破綻が認められるのは、長期間別居していて、その間、ほとんど交流がなかったり、離婚に向けて話し合いや手続きを進めていたりした場合のみです。
3.夫に不倫していたことを黙って産み育てられるでしょうか?
ダブル不倫をしていて不倫相手と再婚できる可能性がない場合、出産して今の夫の子どもとして育てるという選択をされる方もいらっしゃるかもしれません。その場合、夫を騙したまま産み育てられるかもしれませんが、将来、夫に疑いを持たれる可能性があるということを考慮しなければなりません。子どもが成長するにつれて、夫が疑いをもつ機会が増える可能性も高いでしょう。
夫が「自分の子どもではないかもしれない」という疑いから、DNA鑑定を受けるなどして真実が発覚した場合、裁判に発展する可能性もあります。裁判になれば、妻の行為は悪質性が高いと判断され、高額の慰謝料を請求される可能性があります。
不倫相手の子どもを妊娠してしまったら事態を軽く考えず、将来起きる可能性のあるリスクを考えた上で慎重に決断することをおすすめします。
4.夫と離婚後、不倫相手の子供を産むと、子供の戸籍は元夫の戸籍に入りますか?
離婚後300日以内に産まれた子供の場合は、子供の戸籍は元夫の戸籍に入ります。
理由は、民法772条2項は「婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定しており、血縁上は不倫相手の子供であっても、法律上は元夫の子供と推認されるためです。
元夫の戸籍から子供の戸籍を抜くためには、嫡出否認の訴え又は親子関係不存在確認の訴えを行う必要があります。
離婚後300日以後に産まれた子供の場合は、子供の戸籍は元夫の戸籍には入りません。
5.別れた不倫相手との子供を認知する必要はありますか?
法的な義務はありません。
民法779条は、「嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。」と規定しており、認知するか否かはあくまで任意になります。
子供を認知した場合は、養育費の支払い義務が生じ、認知した子供に相続権が発生するため、認知には慎重な検討をした方がよいです。
不倫・妊娠問題の相談は「東京スタートアップ法律事務所」へ
不倫相手の子どもを妊娠した場合、何の問題もなくスムーズに相手と再婚して、穏やかに出産の日を迎えられるケースは少ないです。
想定されるさまざまなリスクを考慮した上で、早めに不倫相手としっかり話し合い、ご自身の将来を考えて最終的な決断をすることが大切です。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題でお悩みの方から、日々多くの相談をいただいております。
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まとめ
今回は、不倫相手の子供を妊娠した場合にやるべきこと、不倫相手の子供を出産する場合の法律上の留意点、不倫相手の子供を中絶する場合の注意点、妊娠をきっかけに夫と離婚する場合の注意点などについて解説しました。
不倫相手の子供を妊娠したことをきっかけに、相手の妻に不倫の事実を知られ、慰謝料を請求されるケースは少なくありません。高額な慰謝料を請求される等の問題が起きた場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題でお悩みの方が不当な負担を強いられないよう全力でサポートしております。秘密厳守はもちろんのこと、弁護士費用の分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。