慰謝料を請求しない方がいいケースとは?後悔しないためにしておくべき行動を解説

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慰謝料を請求しない方がいいケースはある?
配偶者が不倫をしていることが発覚した場合、慰謝料の請求を検討するという方も多いかと思いますが、慰謝料を請求しない方がいいケースも存在します。
請求を避けるべきケースとはいったいどのようなものでしょうか。
具体的な内容について、解説していきます。
不倫の証拠がなく、配偶者・不貞相手が不貞の事実を否定している場合
不倫をしていることは間違いないものの、不倫の証拠がなく、配偶者も不倫を否定している場合は、慰謝料請求をしないという選択肢も検討するべきです。
慰謝料請求は、まず相手方に任意に支払いを求めることから始まることが多いですが、請求の相手方が支払いに応じない場合は訴訟で解決することになります。
訴訟で解決をするということは、慰謝料の請求を求めるか否かの判断を裁判所に任せるということになりますが、裁判所は証拠に基づく判断を行います。
そのため、請求する側が請求の根拠となる証拠を提出する必要があります。
したがって、不倫の証拠がなく、相手方が不倫を否定している場合はそもそも請求自体が認められず、費用・労力だけがかかってしまうリスクが大きいのです。
夫婦関係に波風を立てたくない場合
例えば、妻の不倫が発覚したけれども、子どももいるし離婚をしたくないので、夫婦関係に一切波風を立てたくないと考えられる方もいると思います。
このように、夫婦関係に一切波風を立てたくないという場合、たとえ慰謝料が発生するような事情があったとしても、慰謝料を請求しないという選択肢もあります。
どのような理由であれ、配偶者に対して慰謝料を請求すれば、夫婦関係に少なからず影響を与えることは避けられません。
しかし、配偶者に慰謝料請求まではしないけれども、今後不倫をしないこと等の誓約書の作成といった慰謝料請求以外の対応をとることや、不倫相手への慰謝料請求は検討の余地があると思います。
W不倫の場合
配偶者の不倫相手が既婚者であるW不倫のケースでは、慰謝料を請求しないほうがいい場合があります。
これは、不倫相手に慰謝料を請求したことをきっかけに、配偶者が不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される(反対請求)おそれがあるためです。
例えば、相手夫婦の婚姻期間の方が長い、子がいる、配偶者が不倫を主導したといった事情がある場合、配偶者が支払う慰謝料の方が高くなってしまうリスクもあります。
そのため、反対請求された場合の法律上の対応について、弁護士に相談しながら進めるのが望ましいです。
配偶者のみに非がある場合
配偶者のみに非がある場合、不倫相手に対して慰謝料を請求できない場合があります。
例えば、配偶者が不倫相手に肉体関係を強制したケースや、不倫相手に「独身」だと嘘をついていたケースが考えられます。
反対に、不倫相手から慰謝料請求をされるおそれもありますので、できるだけ配偶者に詳しい事情を聞き、弁護士に相談しながら慎重に進めるのが望ましいです。
慰謝料の金額が期待できない
支払ってもらえる慰謝料の金額が裁判などの費用を上回ってしまうケースでは、慰謝料を請求することで金銭的に損してしまうおそれがあります。
浮気・不倫の慰謝料の裁判上の相場は、およそ数十万円~300万円の範囲内であることが一般的ですが、実際の慰謝料の金額は、精神的苦痛の程度や離婚の有無など、個別の事情を考慮して決まるため、場合によっては数十万円に留まることもあるでしょう。
また、不倫相手にお金がない場合ですと現実的にお金を回収できない可能性もあります。
そのため、請求にかかる費用や時間、労力を考慮して慰謝料を請求しないほうがいいと判断するケースもあり得ます。
離婚の成立を優先して進めたい場合
慰謝料を請求すると支払い義務や金額で争いが生じて、解決までに長い時間がかかることがあります。
話し合いで解決できなければ、離婚調停、場合によっては離婚訴訟という法的手続きが必要になるため、時間とお金がかかってしまいます。
少しでも早く離婚を成立させたい事情がある場合は、離婚を先行して進め、慰謝料を請求が可能であってもあえて優先度を下げて慰謝料請求をしない、という選択肢を採ることも考えられます。
慰謝料を請求しないことによるメリットは
慰謝料を請求しないことによるメリットは、①早期解決が可能になる、②話し合いで解決ができる可能性がある、③二次被害を回避できるという点があります。
以下で詳細に説明します。
①早期解決が可能になる
離婚問題の1つとして慰謝料請求を検討する場合、慰謝料請求をしないことで離婚問題の早期解決が見込めるというメリットがあります。
不倫の慰謝料請求をした場合に、相手方は素直に不倫を認め、慰謝料額を含めて全面的に請求を受け入れるということはほとんどありません。
多くのケースでは、仮に不倫自体を認めても、不倫に至る経緯や不倫の具体的内容について双方の認識の食い違いがあり、慰謝料額自体も争いになる傾向にあります。
また、不倫という一方的の明確な落ち度がある場合でも様々な争いが生じ得ますが、他に家庭内D V、モラハラ等を理由として慰謝料請求をする場合はより争いが激化することことが多々あります。
離婚を優先して進めたい場合、慰謝料の請求の協議・審理が停滞すると離婚の成立が遅くなります。
逆にいうと、慰謝料請求をしないという選択をすれば、慰謝料を請求する場合と比べ、全体として早期解決ができる可能性は格段に上がると考えられます。
②話し合いで解決できる可能性がある
上述のとおり、慰謝料請求をすると、その話し合いの過程では、慰謝料を請求する側もされる側も感情的になりやすい傾向にあります。
特に慰謝料請求をされた場合は、自身が悪いということを前提にお金を払わなければならないわけですから、法的に責任を負わざるを得ないと分かっていても、請求をされたこと自体で、少なからず負の感情を抱くことになります。
そうすると、感情に任せて泡沿わなくても良いような内容で争ってきたり、任意に協力してもらう必要があることに協力してくれなかったりと、些細なことで衝突しやすくなり、話し合いが進まないこともあります。
もちろん慰謝料を請求しなければ、これらの些細な衝突が必ず防げるというわけではありませんが、慰謝料請求する場合と比べ感情の対立が少なくなることは間違いありません。
そのため、慰謝料請求をしない場合は慰謝料請求する場合と比べ、話し合いで円滑に解決できる可能性は高くなるといえます。
③二次被害を回避できる
不倫による慰謝料においては、不倫されたという一時被害に加え、二次被害が発生する可能性にも留意する必要があります。
例えば、上述のとおり、得られるお金よりも出ていくお金の方が大きいケースや、調査会社に依頼して証拠を収集したけれども、調査会社に支払った費用が上回り満足のゆく慰謝料を回収できなかったケースなどは、慰謝料請求をすることで発生する経済的な二次的被害ということができるでしょう。
また、慰謝料請求をする場合、慰謝料請求をされた側の反論内容や、慰謝料請求をする過程において、精神的な二次的被害を受けることもあります。
具体的には、慰謝料請求をされた相手方の反論として、不倫の前に夫婦関係は既に破綻していた、夫婦関係は円満でなかった等の主張がありますが、このような相手方の心無い主張により、さらに精神的ダメージを負われる方もいます。
また、訴訟においては、慰謝料を請求する側が不倫の事実等を主張・立証していく必要がありますが、主張立証の際には、改めて不倫内容の詳細に直面しなければなりません。
そうすると、配偶者と不倫相手との淫らなやり取りを再確認しなければならなかったり、資料を精査する過程で新たに辛い事実に気づいたりすることもあり得ます(例えば、LINEのやり取りを精査すると、自身が病気で苦しんでいた時に出張と偽って不倫相手と旅行をしていた等)。
以上のような二次被害は慰謝料請求をしなければ発生しないものであり、二次被害に遭わないことは慰謝料請求をしないメリットであるといえます。
慰謝料を請求しないことによるデメリット
①得られる経済的利益が減る
まずは、単純に慰謝料請求をすれば得られていたであろう、経済的利益が得られないことがデメリットとなります。
②精神的苦痛を発散する場がない
不倫の被害を受けた方の中には、不倫相手に少しでも苦痛を味わってほしいと不倫相手の職場に押しかけたり、不倫相手の親族に連絡したりすることを考える方もおりますが、そのようなことをすると、かえって刑事上・民事上の責任を問われかねない事態になります。
そうすると、不倫相手から受けた精神的苦痛については慰謝料を請求するという選択肢以外はありません。
そのため、慰謝料請求をしないとすれば、精神的苦痛を発散する場がないということがデメリットとして挙げられます。
③反省を促すことができない
慰謝料請求をする際、その目的として慰謝料という経済的利益を求めるだけではなく、相手方に反省をしてもらいたい、今後の配偶者との結婚生活のために接触禁止等を設けたいと考えられている方は少なくありません。
むしろ、慰謝料請求の相談を受ける中で、慰謝料請求をすることで今後の不倫相手と配偶者との関係を抑止したい、同じように不倫の被害を受ける人を減らしたいという気持ちの方が強い方も大勢いらっしゃいます。
確かに、不倫について特にお咎めなしで終わってしまえば、また同じことを繰り返す可能性は高いと思います。
そのため、慰謝料請求をしなければ、相手方に反省を促せない・不倫行為への抑止ができないという点は、慰謝料請求をしないことの大きなデメリットといえます。
慰謝料を請求しない場合にしておくべき行動
弁護士へ相談
慰謝料請求をする前に、まずは男女問題・離婚問題に詳しい弁護士に相談することを強くお勧めします。
最近は、インターネット等で情報収集して慰謝料請求に関して最低限の知識を得ることは可能です。しかし、慰謝料請求といっても、請求に伴い、様々な問題が起こり得ます。
また、個々の事案によりどのような対応が可能か、最善の解決策も人によって異なります。
そのため、自身にとって、何が一番の解決策となるのか、まずは離婚や男女問題に詳しい弁護士に相談されるのがお勧めです。
誓約書の作成
配偶者や不倫相手が不倫を認めているが、慰謝料請求まではしないという場合、配偶者や不倫相手に二度と不倫をしないという誓約書を作成してもらうことが考えられます。
誓約書の内容は様々ですが、基本的には、不倫の事実や今後不倫をしないこと、不倫をした場合の違約金等を記載することが多いです。
誓約書を作成することは、今後の不倫についての抑止力になるという点や、万一不倫を繰り返した場合に金銭の回収を容易にするという点がメリットとして挙げられます。
誓約書は当事者間で交わすことも可能ですが、より意味のある内容にするためには弁護士の助言を受けると良いでしょう。
証拠の収集・保管
慰謝料請求をしないという判断をしたとしても、今後慰謝料を請求したいと考え直す可能性が0ではないことや、不倫を繰り返した際には慰謝料を請求しようと考えている場合には、不倫についての証拠の収集や保管はしっかりなされることをお勧めします。
特に、携帯・スマートフォン内のデータ保存については、機種変更によるデータ消失を避けるため、別媒体にデータを移行する等、証拠の保管方法には十分ご注意ください。
まとめ
慰謝料請求の気持ちを固めた方、今は不倫を疑っているだけの方、様々な状況の方がいらっしゃると思いますが、慰謝料請求後に後悔することがないよう、配偶者の不倫を疑われているのであれば、まずはお気軽にご相談してください。
- 得意分野
- インターネットトラブル、企業法務、刑事事件、一般民事など
- プロフィール
- 神奈川県出身
慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
慶應義塾大学法科大学院 修了
弁護士登録
都内法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 入所