貞操権侵害で訴えられた際にやることは?成立条件や弁護士に依頼するメリットを解説

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貞操権侵害ということで裁判所から訴状が届いた場合、多くの方はどうしてよいのかわからないはずです。どこに連絡して、どのような対応をすべきなのか、裁判上の手続きは複雑ですので戸惑うことも仕方ありません。
また、慰謝料の額は適正な額なのか、相手方の主張に対してどのような主張、反論をすべきなのか見当もつかない方も多いと思います。
そこで、今回は、貞操権侵害を理由に裁判所から訴状が届いた方を念頭に、どのような対応をすべきなのかを解説しましたので、是非ともご参考にしていただければと思います。
貞操権侵害で訴えられたらどうすればいい?
貞操権侵害を理由に訴えられた場合、ひとまず以下の3点を確認するように心がけてください。
①訴状に記載のある相手の主張内容を確認
訴状では、請求の趣旨、請求の原因が記載されており、原告の主張も記載されていることが多いです。
請求の趣旨とは、単純に相手方の求める判決(例えば、「300万円支払え。」など)の内容が記載されており、「請求の原因」、「原告の主張」では、請求の趣旨に記載された内容が認められるための原告の主張が記載されています。
そして、訴状には、相手方の主張が一方的に記載されていますので、当方で認識していないことや、間違った事実が記載されていることがあります。
そのため、訴状をしっかりと確認し、どこがおかしいのか、どこが自分の認識や客観的な事実と反するのかをチェックしていきましょう。
そのうえで、相手方の主張が間違っていると証明するための証拠を集めていきましょう。
②答弁書の提出期限を確認
裁判所から届く書類の中には、第1回口頭弁論期日呼出状と答弁書催告状という書面が入っているはずです。その書面において、答弁書の提出期限が記載されていますので、まずはそこをチェックしてください。
後ほど述べますが、答弁書を書かずに無視をすると、相手方の主張が認められてしまう可能性がありますので、答弁書は必ず作成・提出する必要があります。
答弁書とは、相手方の訴状に記載された主張に対する反論・言い分を記載する書面です。
答弁書は、裁判所が示す記入例を見て書くことができますが、基本的に相手方に弁護士が就いている場合は、答弁書の作成から弁護士にお任せいただくことが無難です。
その理由は、答弁書に記載する事実や主張が自分にとって不利益となる可能性などがあるからです。そのため、裁判となったら弁護士に依頼することを強くおすすめします、
③裁判の期日を確認
裁判の期日がいつかということも確認しましょう。
先ほど述べた第1回口頭弁論期日呼出状に記載されています。裁判期日にどうしても出席できない理由がある場合、事前に裁判所に連絡し、期日変更を上申します。
もし、期日の変更がなさらなければ、答弁書を提出することで、第1回口頭弁論期日を欠席することができます。その場合であっても、期日自体は開かれますが、答弁書の内容を陳述したものとみなされます(法律上の用語で「擬制陳述」といいます。)。
貞操権侵害で訴えられた場合、無視してもいい?
無視することは一番やってはいけないことです。
法律の世界では、裁判所からの訴状を無視することは、相手方の主張を認めているものとみなされ、相手方の主張がすべて認められてしまう可能性が非常に高いです。そのため、訴状が届いたら、答弁書の提出等、適切に対応する必要があります。
貞操権侵害で訴えられた!反論時に確認すべきこと
貞操権侵害を理由に訴えられた場合に反論すべきポイントがいくつかあります。4点に絞りご紹介します。
性的関係の有無
大前提として、貞操権侵害が成立するためには、相手方との間で性的関係があったことが必要となります。
なぜならば、貞操権とは、性的関係を持つ相手を自ら決定できる権利を指すので、性的関係がなければ貞操権侵害は成立しないといえます。
(ただし、性的関係の程度については議論の余地があります。)
そのため、性的関係がなければ、その旨反論しましょう。
独身だと偽っていたか
既婚者か否かという事実は、既婚者であれば重ねて婚姻することはできず、かえって既婚者と性行為をした場合、自らが不貞行為をしたとして不法行為責任を問われる立場になりますので、とても重要な事実です。
つまり、既婚者であることを知っていて、それにもかかわらず自らの意思で性的関係を持ったのであれば、貞操権、つまり性的意思決定を侵害したとはいえません。
ただし、既婚者であることを偽っていなくとも、「近々離婚予定である」などといい、婚約を取り付けるなどした場合は、貞操権侵害が成立する可能性が高いといえます。
そして、昨今の判例を見ると、既婚者であることを誤信させていたと言える場合、誤信の内容によっては、仮に婚姻を示唆する言動をしていなかったとしても、不法行為責任を負うことになるという判断がなされるケースもあります。
もちろん、不法行為責任を負うことになるかはケースごとに判断することになりますので、独身だと偽っていたことが直ちに不法行為責任につながるとはいえませんが、貞操権侵害を理由とする裁判では、既婚者であるという事実を秘匿していたか否かは、大きく考慮される事実だといえるでしょう。
そこで、もし既婚者であることを隠していなかったのであれば、そのような事実をしっかりと主張、立証できるように準備しましょう。
結婚前提の交際だったか
ひとつ前で説明しましたが、昨今、婚姻を示唆する言動がなかったとしても、誤信の内容によっては不法行為責任を負うという判断がなされるケースがあります。
そして、「誤信の内容」を検討するにあたり、全く婚姻に向けた期待が形成されていないような場合は、貞操権の侵害を否定できる可能性があります。
つまり、婚姻を示唆する言動がなかったとしても、将来的に二人が今後もずっと一緒にいることを前提とするライフイベントを計画していたりすれば、婚姻に向けた期待が形成されていると考えてもおかしくありません。
一方、月に数回しか会わず、婚姻や将来のことについての言及が全くなされていないような場合は、婚姻に向けた期待が形成されている可能性は低いとして、貞操権侵害が否定される余地があります。
したがって、仮に結婚などの話もなく、婚姻に向けた期待が形成されていなかったのであれば、それは反論すべきポイントとなります。
独身だと偽っていた証拠があるか
先ほど記載したように、独身であることを偽っていたか否かは、貞操権侵害を判断する上でとても重要な事実になります。
そして、貞操権侵害があったことを主張する側においては、相手が既婚者であることを偽っていたことを証拠によって立証する必要があります。
昨今よく目にする証拠としては、マッチングアプリの登録情報にて「独身」として登録していることが挙げられます。
そもそもマッチングアプリでは既婚者がサービスを利用することを禁止しているケースもあり、そのような場合はより既婚者であることを偽っていたといえるでしょう。また、「独身限定」のサービスを介して出会った場合なども、既婚者であることを偽っていたという事情になると考えられます。
一方で、貞操権侵害の成立を否定する場合、自らが既婚者であることを容易に知ることができたという反論をすることが考えられます。
例えば、LINEのアイコンや背景の写真に赤ちゃんの写真や異性の写真が写っている場合や、自宅には(配偶者がいるため)絶対に来てはいけない、などの発言をしている場合がそれにあたるでしょう。
貞操権侵害で訴えられた場合に弁護士に相談するメリット
貞操権侵害で訴えられた場合、すぐに弁護士に相談すべきです。その理由について、説明します。
法律のプロなので最適な対応をしてもらえる
裁判上の手続きなどはとても技術的であり、また、そもそもどのような主張反論をすることが適切であるかを判断できる人はとても少ないと思います。
自分に有利になると思っていた発言が、実は相手方にとって有利な発言であることも多々あります。裁判においては、どのような主張反論をするかが判決に直結すると言っても過言ではありません。
そのため、法律のプロである弁護士に対応は任せた方が無難であるといえます。
慰謝料を最大限下げる交渉をしてくれる
事案によって慰謝料を下げる要素は様々です。
そして、弁護士であればどのような事実が自分にとって有利、すなわち慰謝料を減額できる要素になるかの判断ができます。そして、それをもとに、慰謝料が最大限下がるように主張することになります。
また、裁判が始まったとしても、必ず判決が下されるというわけではありません。裁判が始まったとしても、「裁判上の和解」といって、和解で事件が終結することも多いです。そのため、弁護士であれば、少しでも慰謝料が下がるような裁判上の和解が成立できるように対応することもできます。
精神的・時間的負担を軽減できる
裁判上の手続はとても複雑であり、相手方や裁判所からの書面の受領、反論の検討、証拠の準備、書面の作成・送付、裁判期日の出廷など、多くに負担があり、それぞれの作業がとても技術的です。
そのような対応を一人ですると、精神的な負担がとてもかかります。
また、見てもらってわかるように、とても多くの時間を費やします。弁護士であれば裁判手続に精通しており、的確な対応ができますので、その点で多くの精神的・時間的負担を軽減できるといえるでしょう。
家庭や職場にバレるリスクを抑えられる
裁判となれば、裁判所などからの書面を受領しなければならず、自宅に郵送されることに家族に知られてしまうリスクが発生します。
また、突然裁判所から電話がかかってきたときも家族や職場に怪しまれてしまうこともあります。さらに、裁判は平日の日中に行われますので、職場を抜けざるを得ず、職場にバレてしまうリスクもあります。
弁護士を依頼した場合、書面のやりとりや裁判での対応はほぼすべて弁護士が行うことができるので、その点で、家庭や職場にバレるリスクを抑えられます。ただし、裁判上の和解ができず、判決に進む場合、一度「尋問手続」といって、当事者本人に話を聞くという手続きがあるので、その場合は裁判所に出廷する必要があります。
まとめ
以上、貞操権侵害について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。貞操権侵害の事案は複雑になるケースも多くあり、適切な主張を考えるためには一度弁護士に相談することがよいと思います。
もし、貞操権侵害を理由として裁判所から訴状が届いた場合は、ひとまず弁護士に相談してみましょう。
- 得意分野
- 不貞慰謝料、離婚、その他男女問題、刑事事件、遺産相続、交通事故
- プロフィール
- 岡山大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了
弁護士登録
都内の法律事務所に所属
大手信販会社にて社内弁護士として執務
大手金融機関にて社内弁護士として執務