結婚詐欺の慰謝料請求はできる?必要な証拠や条件、相場を徹底解説!

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記事目次
マッチングアプリで結婚相手を探すことが多くなってきた現代で、将来結婚を約束していたはずの相手から、金銭を要求され、結局結婚もできないといわれてしまった、というケースは頻繁にみられるところです。
信じていた相手に裏切られることの精神的ショックは計り知れないですが、ここでは、結婚詐欺に遭った場合の対応方法や、必要な証拠、慰謝料相場について解説します。
結婚詐欺とは?
結婚詐欺とは、結婚を前提として交際している相手に対して、その心情に付け込んで嘘を述べて金銭を巻き上げることをいいます。
被害者にとっては、金品を奪われるという財産的損害に加えて、恋愛感情、あるいは結婚への期待感を利用され踏みにじられるという精神的苦痛も伴う点で、特に悪質な詐欺の類型といえるものです。
マッチングアプリの普及によって、これまで接点がなかった相手との交際も可能となり、交友関係を広げやすくなった反面、素性の知れない相手と接することによる危険性も高まることになります。
金品を巻き上げられるだけ巻き上げて、バレそうになれば行方を簡単にくらませられるため、結婚詐欺も発生しやすい環境だといえます。
婚活パーティやいわゆる相席居酒屋などでの出会いにおいても同様です。
結婚したいという思いが強ければ強いほど、結婚詐欺に遭いやすいという傾向もあります。
そもそも人間の感情に付け込んだ卑劣な行為ですし、結婚したいという思いが強いと、冷静に相手を見極め判断することも難しくなりがちであるためです。
結婚詐欺の特徴
自分が結婚詐欺に遭っているかどうかを判別するには、結婚詐欺の特徴を理解することが重要です。
ここでは、結婚詐欺にありがちな特徴、結婚詐欺を疑うべき兆候について、いくつかご紹介します。
1.相手方がハイスペックな経歴である
結婚詐欺を働く者は、本気で結婚したいと思っている人から見て、少しでも魅力的な存在であると装って近づいてくるものです。
そのような者の特徴の一つとして、高学歴や高収入であるといった、ハイスペック・ハイステータスな点を殊更アピールしてくる、というのがあります。
マッチングアプリや婚活サイトでは、男性であれば医師、弁護士、パイロット、女性であればモデル、客室乗務員といった、一般的には華々しさを感じさせる職業をプロフィールに設定していることが多いです。
ハイスペックを装うことには、高収入で資力があることを見せて、金銭をだまし取る際に返済能力があると信頼させるため、という狙いもあります。
2.結婚の話をされるのが早い
結婚詐欺では、結婚の話が出るのが早いという特徴があります。
結婚詐欺をする者は、余計な時間をかけずに相手からお金を引き出すことを狙っているためです。
結婚をしたいと強く望んでいると、早期に結婚の話題が出ることで舞い上がってしまいがちですが、そうした人ほど詐欺の被害に遭いやすいので注意が必要です。
交際期間がさほどない段階で結婚の話が出てきた場合には、相手が結婚詐欺を働いているという可能性もあると考えるのが、安全策かもしれません。
3.収入や資産の状況を聞いてくる
結婚詐欺師の目的は金銭を巻き上げることですから、当然ターゲットの収入状況や資産状況には、強い関心を抱きます。
本当に結婚するとなれば、もちろん相手の収入や資産を確認することはあるでしょうが、特に交際前の段階で、執拗に収入や資産を確認してくるようであれば、その相手は結婚詐欺師である可能性が高いといえます。
4.交際開始後、金銭的理由で結婚できないと話してくる
結婚詐欺では、結婚を前提に交際を開始した後、金銭的理由があるために結婚できない、あるいは結婚を延期しなければならない、といわれるのが典型的です。
「事業に失敗して借金を作ってしまった」、「親族の入院・手術代が必要になったが、お金が足りない」等、あれこれ同情を引くような理由を告げてきます。
そのうえで、「後から返すことはできるので、いったん貸してほしい」といった常套句を投げかけてくる、というわけです。
交際直後で恋愛感情が盛り上がっているだけでなく、ハイスペックで収入も保障されていると考えて「きっとすぐ返してくれるだろう」という気持ちに仕向けさせ、金銭を出させるのが、結婚詐欺師の手口です。
これを渋っていると、「結婚する相手なのに信じてくれないのか」と、今度は情に訴えかけてくる、というやり方です。
このほか、「もうけられる投資がある」といった「うまい話」として投資話を持ちかけ、結婚資金を貯めようなどとの名目を持ち出してくるケースもあり、注意が必要です。
5.やり取りを客観的証拠に残さない
結婚詐欺師にとっては、あとから詐欺であると発覚して警察に被害届を出され、捕まることを最も避けたいものです。
そのため、足がつかないよう細心の注意を払うものです。
具体的には、写真を一緒に撮ってくれなかったり、親や友人に会わせてもらえなかったりすることが、証拠を残さない対策としての言動に当たります。
デートの待ち合わせ場所も、自分の正体が分かってはいけないので、職場や自宅の近くを選ばないのが特徴です。
特に金銭の要求は、LINEやメールといった形に残るものではまずせず、支払方法も、銀行振込ではなく手渡しを要求してくることが多いです。
6.繰り返し金銭要求をしてくる
結婚詐欺師に一度でも金銭を渡してしまうと、追加でどうしても必要になっただとか、もう少しだけ足りないだとか、何かと理由をつけてさらに金銭を要求されてしまいます。
結婚詐欺師としては、すでに一度金銭を渡していることで心理的ハードルが下がり、警戒心もほどけてしまっているため、そのうちに取れるだけ取ってやろうという思惑があるためです。
7.最後には音信不通になる
金銭を巻き上げつくした後や、その前に返済の督促をされたり詐欺ではないかと疑われていると勘づいたりすれば、徐々に会う回数や連絡の頻度を減らしていき、最後には連絡がつかない状態になり雲隠れします。
結婚詐欺と恋愛詐欺の違い
結婚詐欺は、結婚を前提とした交際を騙る中で、金銭を要求されることを指します。
恋愛詐欺は、結婚を前提としない交際ではあるものの、理由をつけて金銭を要求してくる点では、結婚詐欺と大きな差異はありません。
今回の記事では、「結婚詐欺」を中心として紹介していますが、両者を厳密に区別する必要はないといえます。
結婚詐欺や恋愛詐欺は「詐欺罪」に該当する犯罪行為
結婚詐欺も恋愛詐欺も、結婚への希望・期待感や恋愛感情という心理的要素に付け込んで、虚偽によって金銭を要求する行為である点で共通です。
このように、虚偽によって人をだます行為をして、金銭を交付させる行為は、刑法上の「詐欺罪」(刑法第246条)に該当する行為です。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
詐欺の被害に遭った人は、詐欺によって渡してしまった金品の返還を請求することができます。
また、だまされたことを理由として慰謝料を請求することもできる場合があります。
それだけでなく、結婚詐欺・恋愛詐欺は、刑法上の犯罪に該当しますので、結婚詐欺をしたことが警察に明らかになれば、取調べ等の捜査を受け、刑事処分を科せられる可能性もあります。
具体的な用件は、以下のとおりです。
- 欺罔行為(人を騙す行為):結婚する気がないのに嘘をついた
- 錯誤(騙されてしまうこと):結婚してくれると誤って信じた
- 財物等の交付(金銭を渡すこと):お金を渡してしまった
- 因果関係:以上の経緯に因果関係がある
詐欺行為は取消権により取り消すことが可能
以上のとおり、結婚詐欺・恋愛詐欺は刑法上の「詐欺罪」に該当します。
それだけではなく、民法上も、詐欺により意思表示をしてしまった場合には、その行為を取り消すことが可能です。
(詐欺又は強迫) 第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。 2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。 3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 (出典:民法|e-GOV法令検索) |
そして、詐欺により渡してしまった金品自体は、不当利得返還請求権(民法第703条)により取り返すことも可能です。
結婚詐欺に該当しないケース
ここまでは、結婚詐欺の特徴について紹介しましたが、以下に紹介するようなケースでは、結婚詐欺には該当しません。
金銭的な被害が発生していない
結婚詐欺・恋愛詐欺は、結婚への期待感や恋愛感情につけこんで、金銭や財産をだまし取る行為です。
したがって、単に独身であることを偽って交際していただけという場合には、結婚詐欺・恋愛詐欺には当たりません。
しかし、既婚者が独身であると偽って性的関係を持った場合には、貞操権侵害を理由に慰謝料を請求できる場合があります。
金銭を要求されていない
結婚詐欺・恋愛詐欺が詐欺に当たるのは、欺罔行為、すなわち虚偽によって金銭を請求するという行為があるためです。
そもそも金銭的な請求がされておらず、自発的に金銭を渡した場合には、結婚詐欺・恋愛詐欺には該当しません。
結婚詐欺・恋愛詐欺に関する判例・事件
結婚詐欺・恋愛詐欺については、結婚への期待感や恋愛感情を利用して金銭や財産をだまし取るものであることから、その被害額も高額となる傾向があり、ニュースなどで報道されるほどの重大事案となるケースもあります。
ここでは、結婚詐欺・恋愛詐欺に関する過去の実例を紹介します。
被害金額5000万円超のロマンス詐欺
SNSを利用していた男性が、そこで知り合った女性と名乗る人物からワイン売買の投資を勧められ、5000万円を超える現金をだまし取られたという事件です。
警察の捜査によれば、相手は当初、男性の体調を気遣う言葉をかけた後、ワイン売買の投資を持ちかけ、「投資してもらえたら10倍になる」などと言葉巧みに誘ったとのことです。
相手と会う約束をしていたが連絡が取れなくなり、男性が警察に相談して事件が発覚しました。
このように、SNS上で言葉巧みに言い寄り、恋愛感情を抱かせて金銭等をだまし取る手口は、一般に「(SNS型)ロマンス詐欺」と呼ばれ、警察庁からも注意喚起がされています。
出典:「『ロマンス詐欺』5千万超被害 ワイン投資売買持ちかけ」|Yahoo!ニュース |
出典:SNS型ロマンス詐欺・警察庁特殊詐欺対策ページ |
脳腫瘍であると偽り4万円を渡させた結婚詐欺
北海道在住の女性が、マッチングアプリ上で知り合った東京都在住の男性から、「いずれ結婚しよう」などと言葉をかけられて信じ、その後、「脳腫瘍が見つかり、手術費用が足りない」などといって4万円をだまし取ったという事件です。
男性と連絡がつかなくなったことを不審に感じた女性が警察に相談し、事件が発覚しました。
直接会ったことがない段階で、金銭を要求されるケースは、結婚詐欺・恋愛詐欺において珍しくないですので、会う前の段階から金銭の要求がされたという場合には、特に注意が必要といえるでしょう。
出典:「『いずれ結婚しよう』→『脳腫瘍が見つかった…』『手術費用が足りない…』“結婚詐欺”で4万円だまし取った30歳の男を逮捕 アプリで知り合い半月で振り込ませ連絡つかなくなる」|北海道ニュースUHB |
結婚を口実に投資を持ちかけ1000万円超をだまし取った詐欺
男性が、SNSで知り合った女性を名乗る相手から、「結婚したい。将来のために資産を増やしましょう」、「口座にお金を入れてくれたら利益が出る」とのメッセージを受け取り、相手に合計1020万円を振り込んでしまった、という事件です。
その後に相手と連絡がつかなくなり、振り込んだお金も引き出せなくなったことから、男性が警察に相談し、発覚しました。
実例でもあるように、結婚詐欺においては、投資話といった「うまい話」やもうけ話を提示されることが多いです。
これについては、警察からも、そうした話をうのみにすることのないよう、注意喚起がされています。
出典:「佐久 50代男性『結婚したい』と言われ1020万円詐欺被害」|NHK 信州NEWS WEB |
結婚詐欺で慰謝料は請求できる?
結婚詐欺で慰謝料を請求できるのは、民法上の不法行為(民法第709条)に該当する場合となります。
結婚することができると考えて交際をしていたのに裏切られた、という精神的損害の賠償を求めることが、慰謝料請求の意義です。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
結婚詐欺を理由に慰謝料請求ができるためには、以下の要件を満たすことが必要になります。
- 権利侵害:結婚する気があると信じて、騙されてしまった
- 故意または過失:結婚する気がないのに嘘をつくつもりだった
- 損害とその額:お金を渡してしまった・精神的損害
- 因果関係:以上の経緯に因果関係がある
結婚詐欺による慰謝料の相場について
結婚詐欺を理由に受け取れる慰謝料の相場は、具体的事案によりますが、数十万円~200万円程度といわれます。
精神的損害については、金銭的に評価すること自体が難しく、結婚詐欺に当たる欺罔行為があったことや、精神的損害がどのようなものかをしっかり立証する必要があります。
もっとも、すでに紹介したように、騙されて渡してしまった金銭については、返還を求めることが可能です。
請求できる金額は、渡した金額(=損害額)によって変わるため、場合によっては、高額な請求となることも考えられます。
結婚詐欺の慰謝料が高額になりやすいケース
結婚詐欺の慰謝料が高額になりやすい例としては、以下のような場合があります。
傾向としては、結婚詐欺の態様が悪質であったり、被害金額が高額であったりするほど、慰謝料金額も高額となりやすいでしょう。
- 被害金額が大きい
- 交際期間・婚約期間が長い
- 結婚準備が進んでいた
- 被害者が妊娠、出産、中絶した
- 被害者が精神病に患った
- 被害者が結婚することを前提に退職した 等
結婚詐欺の慰謝料請求に時効はある?
結婚詐欺を理由とする慰謝料を請求できる期間には、時効の制限があります。具体的には、以下の区別に応じて期間が異なりますので、注意が必要です。
- 結婚詐欺を受けていると気づいてから3年間
- 結婚詐欺に当たる行為があってから20年間
起訴する場合も時効があるので注意
結婚詐欺について刑事責任を問いたい、という場合にも、先に紹介した事項とはまた別に、公訴時効があります。
結婚詐欺のような詐欺罪については、公訴時効は原則として7年間と定められています。
この期間中に、検察官が公訴提起(起訴)をする必要があります。
結婚詐欺の慰謝料請求に必要な証拠
結婚詐欺を理由に慰謝料請求をする場合、そのための証拠を集めていく必要があります。
以下では、慰謝料請求に必要な証拠の代表的な例を紹介します。
1.結婚してくれると信じてもやむを得ない証拠
結婚詐欺であると認められるには、欺罔行為、すなわち結婚する気がないにもかかわらず、結婚するといった虚偽を述べて、結婚してくれるとの誤信を生じさせることが必要となります。
結婚詐欺においては、結婚してくれると信じるからこそお金を渡す、という因果関係があるためです。
このことを証明するためには、まず、相手が結婚してくれると誤信してもやむを得ない証拠が必要となります。
具体的には、以下のような、客観的に婚約が成立しているといいうるような証拠が必要です。
- 「結婚しよう」等、結婚に関連する相手からのLINEやメール
- 婚約指輪・結婚指輪を購入した場合は、当該指輪やその領収書
- 結婚式場の見学や予約をしたことが分かるような資料
- 両親との顔合わせや挨拶をしたことが分かるやり取りや写真、その際の食事等の領収書等
- ブライダルサロンに登録したことが分かる資料
2.はじめからお金をだまし取る意思があったことを示す証拠
欺罔行為に該当する行為、結婚詐欺の場合には、結婚を前提に交際をする段階で、すでに金銭をだまし取る意思があったことが分かる証拠も必要となります。
具体的には、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 当初からだますつもりであったことが分かるLINEやメール等のやり取り
- 金銭を要求する理由となる事情が嘘であったと分かる証拠
- マッチングアプリや婚活パーティ等のプロフィール欄に既婚者であるのに「独身」、「婚姻歴なし」等の嘘が書かれていたことが分かる資料
注意すべきなのは、はじめは結婚する意思があった場合や、結婚するつもりもありお金を返すつもりもあったが手元資金がなくて返せなかった場合には、お金をだまし取る意思があったことを立証できない可能性がある点です。
3.金銭を渡したことが分かる証拠
結婚詐欺が詐欺として評価されるのは、騙されたことにより金銭を渡したといえる場合です。
そのため、当然、金銭を渡したことが分かる証拠も必要となります。
とはいえ、実際には交際相手・婚約相手にお金を渡すのに、わざわざ領収書や借用書を作ることも少ないでしょうから、このことを立証することは決して容易ではありません。
この証明のためには、以下のような証拠が必要となります。
- 領収書
- 振込明細書や、出金・振込したことが分かる通帳の取引履歴
- 借用書・念書
- 金銭の授受や相手とのやり取りを記したメモ・日記
4.正当な理由がないのに婚約を破棄されたことが分かる証拠
婚約したことを証明できたとしても、たとえばあなたが婚約者以外の相手と肉体関係を持ったり、あなたが職業について嘘をついていたりしたような場合には、婚約破棄について正当な理由があると評価され、慰謝料請求ができない可能性があります。
正当な理由なく婚約を破棄されたことを証明する資料には、以下のようなものがあります。
- メールやLINE等の連絡に対し、返信や反応がないことが分かる画面
- 相手から別れを告げてきた際のメール、LINE、手紙等
- 相手が言っていた名前や住所、職業が嘘であると分かる資料
5.性的行為があったことを証明できる証拠
貞操権侵害として慰謝料請求をするには、性的行為があったことを証明できる資料が必要となります。
例として、以下のようなものが考えられます。
- ホテル、宿泊を伴う旅行の予約表や領収書、クレジットカードの利用明細書
- 性的行為を持った後でやり取りされたメールやLINEの文面
- 性的行為をしたことが分かるやり取りや会話の録音
- 妊娠した場合には、その診断書やエコー検査の結果、医療費明細書等
6.独身であると嘘をついていたことが分かる証拠
独身であると嘘をついていたという事情は、結婚詐欺の行為として悪質性が高いと評価され得る要素です。
そうしたことが分かる証拠も有用です。
- マッチングアプリ、婚活パーティ等のプロフィールで、独身であることが分かるもの
- 「彼女がいない」、「独身です」、「早く結婚したい」、「子どもは○人欲しい」、「結婚したら○○に住みたい」といった、相手方とのやり取りの文章や音声
結婚詐欺の慰謝料に関するQ&A
結婚詐欺についてここまで特徴や必要な証拠を紹介してきましたが、これに関連して、以下では、特に結婚詐欺の慰謝料請求をしていくにあたって、気になる点を紹介していきます。
回収可能性はどのくらいあるの?
以上のような証拠を集めた結果、慰謝料請求が法的に可能であるとしても、実際に慰謝料金額を受け取ることができるかは、別の問題です。
結婚詐欺をした加害者は、受け取った金銭をすぐに使ってしまって、手元にはもうお金がない、ということが多いためです。
裁判を起こして判決等の債務名義を得たとしても、そもそも強制執行できる財産がなければ、満額を回収することは現実的に極めて困難です。
結婚詐欺に遭わないためにはどうすればよい?
ここまで結婚詐欺の被害に遭った場合の対処法を中心に紹介してきました。
しかし、たとえ事後的に損害が填補されるとしても、精神的な負担は極めて大きく、そもそも被害に遭わないように対処できるのが最善ではあります。
結婚詐欺の特徴は紹介したとおりであり、これらの特徴に注意すると、未然に被害を防げる確率はかなり高まります。
また、結婚詐欺師は自分の情報を出したがらない傾向がありますので、相手が特にハイスペックな場合には、その職業の仕事内容を詳細に聞き出したりして、情報を集めていくことも重要です。
そうした情報を冷静に捉え、真実かどうか判断することが必要になります。
とはいえ自分で判断することは、気持ちが昂っていたりして難しい場合もあるでしょう。
その場合には、弁護士に相談してみたり、お金を貸したいという場合には、事情を説明して借用書を作ってもらうよう依頼したりすることも有効な手です。
警察は動いてくれるの?
結婚詐欺は、刑法上の「詐欺罪」に該当することは説明しました。
もちろん警察に相談することも一つの手です。
しかし、恋愛感情に起因することから単なる男女問題として処理されてしまうことも多く、証拠が乏しく捜査に困難を伴うことが多いため、実際には、結婚詐欺のケースを警察が立件して捜査に乗り出すことは、残念ながら多くはありません。
まとめ
結婚詐欺・恋愛詐欺は、騙されて金銭や財産を渡してしまったこと自体についての財産的損害だけでなく、恋愛感情を踏みにじられ、信じていたはずの人から裏切られるという点での精神的損害もあり、甚大なものとなります。
慰謝料金額としては、どうしても相場からして低額になってしまう可能性も否定できませんが、まずは被害に遭わないよう注意することが重要です。
それでも万が一被害に遭ってしまった場合には、事後的な対応次第では慰謝料や財産を取り返せる場合もありますので、是非この記事を参考にしてみてください。
- 得意分野
- 一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
- プロフィール
- 大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了
弁護士登録
大阪市内の法律事務所勤務
東京スタートアップ法律事務所 入所