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求償権の放棄とは?メリットやデメリット、手続きを解説

投稿日: 更新日: 弁護士 表 剛志
求償権の放棄とは?メリットやデメリット、手続きを解説
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浮気相手が慰謝料の請求に応じた場合、浮気相手は求償権を取得することをご存じでしょうか。

浮気相手が求償権を行使すると、配偶者に慰謝料の一部が請求されることになり、家計としては受け取った慰謝料の一部を返還するということになってしまいます。

それを回避するためにできるのが「求償権の放棄」です。

今回は、浮気相手に求償権を放棄させたいと考えている方に向けて、求償権の概要や放棄のメリットやデメリット、求償権を放棄させる方法を解説します。

求償権とは?どの時点で生じる権利?

不貞行為の慰謝料における求償権とは、不貞行為の被害者からの請求により慰謝料を全額支払った加害者が、他の加害者に対して支払い済みの慰謝料の一部を請求する権利のことを指します。

不貞行為は、「共同不法行為」といって複数の人間によって行われる不法行為です。

共同不法行為の被害者は、その損害をいずれの共同不法行為者に請求しても構わないとされています。

「夫に浮気された妻」の場合、妻は夫だけに慰謝料を請求しても、浮気相手だけに請求しても、両者に請求してもよいのです。

浮気相手が妻に慰謝料全額を支払った場合、浮気相手は夫に対して、妻に支払った慰謝料の一部を請求することが可能になります。

つまり、浮気相手は慰謝料を支払った時点で、他の共同不法行為者である夫に対する求償権を取得するのです。

求償権は慰謝料を支払った加害者に生じる権利

求償権は、慰謝料を支払った共同不法行為者に生じる権利です。

「夫が浮気をして夫が妻に慰謝料を支払った場合」は、夫が浮気相手に対して求償することができます。

「夫が浮気をして、浮気相手が妻に慰謝料を支払った場合」は、浮気相手が夫に対して求償することができるのです。

妻が浮気相手から慰謝料を200万円受け取って、円満解決したかと思ったら、浮気相手が夫に対して100万円を求償したという事態も発生し得るということです。

浮気相手にとっては、求償権は支払った慰謝料の一部を取り戻すことができる金銭的なメリットが大きい権利といえます。

求償権は慰謝料を支払った瞬間に生じます。

求償権の消滅時効は、求償権を行使することができると知ったときから5年、もしくは支払いのときから10年です。

つまり、浮気相手から慰謝料を受け取ったら長く考えて10年の間は、「いつ求償されるかわからない」という状態が続くということになります。

求償権の放棄とは

求償権の放棄とは、求償権を行使する権利を放棄することです。

求償権を放棄すれば、支払った慰謝料の一部を他の共同不法行為者に請求することができなくなります。

慰謝料を受け取った側の求償権を放棄することのメリットとしては、家計から求償された慰謝料を支払う必要がないという点です。

浮気相手が慰謝料を全額支払って、浮気相手が求償権を行使した場合、夫婦が離婚しなければ「家計に入った慰謝料の一部から支払うこと」になります。

せっかく受け取った慰謝料を事実上、浮気相手に返すことになり合理的とはいえません。

そのため、夫婦が離婚しない場合は「浮気相手にだけ慰謝料を請求して求償権の放棄」を求めることがあります。

しかし、求償権を放棄することは、浮気相手にとっては金銭的メリットが少ない行為ですので、求償権の放棄を求める場合は「慰謝料の減額」とセットで交渉することが多いです。

慰謝料を請求する側にとっての求償権を放棄させるメリットとデメリットをまとめておきます。

求償権を放棄させるメリット

  • 合理的に慰謝料の精算ができる
  • 後から求償される煩わしさがない

求償権を放棄させるデメリット

  • 慰謝料を減額しなければならない可能性が高い

浮気相手にとっての求償権放棄のメリットとデメリット

では、浮気相手にとって求償権を放棄するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

浮気相手が求償権を放棄するメリット

慰謝料の減額とセットで求償権放棄すればメリットが生じます。

  • 求償権を放棄することで慰謝料の減額が見込める
  • 慰謝料を満額支払って求償するよりも、減額してもらったほうが確実
  • 浮気問題を早期に解決できる
  • 求償に関する手間を省くことができる

浮気相手が求償権を放棄するデメリット

  • 慰謝料の減額とセットで応じなければ大きく損をする

浮気相手としては、無条件で求償権を放棄することによるメリットはほぼありません。

しかし、慰謝料の減額とセットであれば、求償権を放棄するメリットが大きいといえます。

慰謝料を満額支払った後で求償すると、求償に応じてもらえず回収できないリスクがあります。

しかし、求償権を放棄することを前提に慰謝料の減額交渉に成功すれば、減額された金額を支払うことができます。

また、求償するためには請求文書を送付したり、交渉したりする手間もかかりますが、求償を放棄して慰謝料を減額してもらえば、求償する手間もかかりません。

したがって、浮気相手に求償権を放棄させたい場合は、慰謝料の減額とセットで申し入れるとよいでしょう。

不倫慰謝料の求償権放棄の手続き

以上のように、求償権放棄を上手く活用すれば、慰謝料を減額してもらう等のメリットもあります。

求償権を放棄して慰謝料を減額してもらうためには、具体的に、以下の行程を経ていくことが必要となります。

1.夫婦と不倫相手の三者間で和解交渉

不倫慰謝料において求償権放棄を合意する最大の目的は、不倫慰謝料にまつわる金銭的な請求を一回で解決することにあります。

そのため、求償権放棄を目指した和解交渉は、浮気相手と被害者だけでなく、その配偶者の三者間で行うのがベターです。

三者間での和解交渉では、主な争点として以下の二点が考えられます。

  1. 被害者に生じた精神的損害(慰謝料金額)
    一般的な相場としては、離婚しないケースでの慰謝料金額は100万円前後といわれています。実際の事例でも、100万円から200万円程度の範囲内に収まるケースが多いです。
  2. 不倫相手と配偶者の責任割合(負担金額)
    求償権は、配偶者側の負担金額について発生します。そのため、和解交渉では、配偶者の負担金額を取り決めたうえで、慰謝料金額からその負担金額を控除した解決金の支払を合意するケースも多いです。
    配偶者の負担金額については、主に以下の要素を踏まえて決められます。
    ① 配偶者が既婚者であることを知っていたか、知ることができたか
    ② 配偶者と不倫相手のどちらが積極的だったか
    ③ 配偶者と不倫相手の関係性(上司と部下、友人等)

2.和解合意書の作成・求償権放棄の明記

不倫慰謝料について和解内容が合意できれば、その内容をすべて記載した合意書を作成します。

合意書の作成も、浮気相手、被害者及び配偶者の三者間で行い、和解契約を締結します。

この合意書には、求償権放棄についても明記することが必要です。

たとえば、以下のような文言とされることが多いです。

(例)
「乙(浮気相手)は、当該慰謝料に係る丙(配偶者)に対する求償権を放棄する。」

合意書には、このほかに、浮気相手が被害者に対して不貞行為について謝罪する旨の条項や、浮気相手が配偶者に連絡や接触をすることを禁じる条項(接触禁止条項)が定められることもあります。

さらに、浮気相手からより確実に慰謝料を回収できるよう、不履行時には強制執行を受けることを認める文言(強制執行認諾文言)を付したうえで、合意書を公正証書で作成する場合もあります。

こうすることで、万が一慰謝料が支払われなかったとしても、強制執行によりスムーズに回収することが可能になります。

3.和解合意書に基づき不倫慰謝料を精算

浮気相手、被害者及び配偶者の三者が合意して合意書が作成されると、その内容は、この三者に対して拘束力を有します。

したがって、浮気相手は、被害者に対して、合意書の中で定められた金額の不倫慰謝料を支払わなければなりません。

他方、求償権放棄についても合意すれば、浮気相手は配偶者に対して、求償権を行使することはできなくなります。

また、合意書の中には、合意した当事者間に、合意書に記載された以外の権利義務が一切存在しないことを確認する条項(清算条項)が置かれることがほとんどです。

清算条項があると、あとから当事者間で追加での請求を行うことはできなくなります。

このようにして、不倫慰謝料についての精算を一回で完了することで、短期間・一回的な解決が可能になります。

求償権放棄における注意点

浮気相手に求償権を放棄させるためには、示談交渉中に求償権の放棄と慰謝料の減額を申し入れることが大切です。

示談を締結して慰謝料を満額支払った後で、求償権の放棄に応じる人はほぼいません。

示談交渉中に求償権の放棄と慰謝料の減額を求める場合は、浮気相手に求償権について正しく理解してもらうことが必要です。

浮気相手が被害者に、「求償権を放棄するかわりに慰謝料の減額を認めてもらえないか」と説明すると、「慰謝料の減額」という部分だけがクローズアップされてしまい、話がまとまりにくくなります。

被害者が、「だまされているのではないか」と疑心暗鬼になることもあります。

さらに、求償権を放棄することを逆手にとって、相場以上に慰謝料の減額を求められるリスクもあります。

このように、当事者同士の話し合いでは話がまとまりにくいだけでなく、トラブルが発生するおそれもあります。

求償権を確実に放棄させたいという場合は、当事者同士で話し合うのではなく、弁護士に交渉を一任するのが得策です。

まとめ

夫婦が離婚せずに浮気相手に慰謝料を請求する場合、求償権を放棄させなければ、一度受け取った慰謝料から浮気相手に求償分を支払わなければならないという事態になりかねません。

この事態を回避するためには、浮気相手に求償権を放棄させる必要があります。

求償権を放棄させるためには、慰謝料の減額とセットで申し入れた上で、求償権について正しく説明する必要があります。

求償権について正しく理解してもらえなければ示談交渉が難航して解決までに時間がかかってしまいます。

相手に求償権を放棄させたいという方は、ご自身で対応しようとせず、男女問題の解決実績が豊富な弁護士にご相談ください

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表 剛志
執筆者 弁護士表 剛志 大阪弁護士会 登録番号61061
いかなる内容の法律相談であっても、まずは依頼者さまのお話を真摯にお聞きし、弁護士以前に人として、「共感」することを信条としています。 まずは人として「共感」し、その次に、法律家として問題点を「整理」して、法的解決を志向することに尽力いたします。
得意分野
一般民事、家事事件(離婚等)、企業法務
プロフィール
大阪府出身
京都大学法学部 卒業
同大学法科大学院 修了
弁護士登録
大阪市内の法律事務所勤務
東京スタートアップ法律事務所 入所
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