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不倫慰謝料が支払われない場合は差押えできる?差押えできる財産や手続きの流れを解説

更新日: 弁護士 神尾 尊礼
不倫慰謝料が支払われない場合は差押えできる?差押えできる財産や手続きの流れを解説
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不倫(不貞)をされたのに、慰謝料を支払ってもらえないケースがあります。

そんなとき、裁判所を使って相手の財産から強制的に取り立てる制度があります。

これを強制執行といいます。

ただ、その手続は混み入っているばかりでなく、そもそもどの財産を選択すべきかもよく分からないことが多いです。

そんなときに我々弁護士に依頼いただければ解決できることがあります。

今回は、強制執行(差押え)の説明をすると共に、弁護士に依頼するメリットについてもご説明したいと思います。

そもそも不倫慰謝料とは?

「不倫」という言葉は、実は法律上定義があるわけではありません。

一般的には、「貞操義務があるのに、それを破って第三者と肉体関係を結ぶこと」を指します。

肉体関係には、性行為や性交類似行為がこれに当たります。配偶者などに浮気をされれば、心が傷付きます。

この心の傷を癒すものをお金に換算したのが、不倫慰謝料ということになります。

慰謝料が支払われない場合、強制的に回収できる?

それでは、相手から慰謝料が支払われない場合、強制的に回収できるでしょうか。

強制的に回収する方法の1つとして、強制執行という方法があります。

これは、民事執行法という法律に書かれている手続で、みなさんも日常的によく聞く「差押え」というものです。

参考:民事執行手続(裁判所)
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_02_01/index.html

強制執行のためには、まず裁判所に申立てを行います。

ただ、裁判所が相手の財産を調べてくれるわけではありません。

差押えをしたい側が、相手の財産を予測し、「この財産を押さえてほしい」と申し立てることになります。

後述のように、財産といっても給与、不動産、預貯金など様々なものがありますので、うまくヒットしそうなものを考え、あるいは調査して、どの財産を押さえれば回収ができるかを考えていくことになります。

うまくヒットすれば、その財産を押さえることができます。

その財産を取り上げて、お金に換えます。

ただ、その財産が存在しない、あるいは大した価値がないといった場合には、強制執行が空振りに終わるときもあります。

我々弁護士の最初の重要な役割は、強制執行がうまく行くように、財産の当たりを付け、調査をすることになります。

慰謝料未払いによるの差押え(強制執行)を行うには債務名義が必要

ここでは、強制執行の具体的な手続について説明していきます。

先に述べたとおり、いきなり強制的に財産を押さえる手続です。

何のチェックもなく差押えができるとすると、社会が大混乱になります。

そこで民事執行法上、強制執行をするには、原則として公的機関のお墨付きである「債務名義」を必要としています。

債務名義は、大まかに分けると公証役場が作成するもの(公正証書)と裁判所が作成するもの(判決、和解調書など)があります。

債務名義はないが強制執行を行いたい場合はどうすればいい?

強制執行を行うには債務名義が必要ですので、次に債務名義の作り方についてご説明します。

まずは公証役場が作成するもの、公正証書についてです。

公証役場は、争いを解決してくれる場所ではありません。双方が合意できた内容を書面にしてくれるところです。

つまり、公正証書を作る前段階として、不倫相手と交渉して、合意を形成しておく必要があります。それを公証人に示し、公正証書を作ってもらうのです。

公正証書には双方のサインも必要ですから、もしご自身で行う場合には不倫相手と対面するおそれがあります。

そこで、我々弁護士に依頼いただければ、我々が代わりに公証役場に行き、代わりにサインすることもできます。

不倫相手との交渉、公証役場との折衝、実際のサインの場面と、相手と直接接することなく債務名義を取得することができます。

次に、裁判所が作成するもの、主に判決と和解調書についてです。

合意ができないと、公正証書を作ることができません。

相手の合意なく債務名義を作る方法として、訴訟があります。

不倫相手が出てきて話合いがまとまれば、和解調書が作成されます。

他方、和解ができなければ、判決に至ります。訴訟は手続が煩雑で、期限も多く、不倫相手と対面するおそれもあります。

公正証書よりもさらに弁護士に依頼するメリットは大きいと思います。

慰謝料未払いによる強制執行で相手の給料を差押えできる?

こうして債務名義を作成しますが、不倫相手がなお約束通り支払ってこないことがあります。

そのようなときに相手の財産に対して強制執行をすることを検討します。

強制執行は、相手の財産ならば法律上禁止されているものを除けば何でも差し押さえることができ、例えば不動産や預貯金などが典型です。

相手が会社員の場合、毎月会社から給料が出ると思います。

法律上、これは不倫相手が会社に対して「給与債権」という債権を持っていると考えます。

この給与債権を差し押さえることができます(給与の差押えなどと呼んでいます)。

相手の手取り額が20万円の場合

ただ、先ほど「法律上禁止されているものを除けば」差し押さえることができると説明いたしました。

給与を全て持ってかれると、生活ができなくなります。

そこで法律では、手取り額(ここでは所得税などの税金などが差し引かれた額を指します)が月額44万円以下の場合は、その4分の1まで差し押さえることができるとされています。

相手の手取り額が20万円の場合は、その月の差押え可能額は5万円となります。

相手の手取り額が44万円を超える場合

手取り額が44万円を超える場合は、もう少し差押えの範囲が広くなり、手取り額から33万円を引いた額まで差し押さえることができます。

なお、「毎月の給与債権」というように差押えをすると、相手の手取り額にかかわらず、その月で取り切れなかった分は翌月以降に持ち越して差押えをすることができます。

慰謝料未払いによる強制執行で給与以外に何を差押えできる?

先に述べたとおり、法律上禁止されているものを除けば何でも差し押さえることができます。

よくある財産として、不動産、動産、自動車、債権、銀行預金があります。

それぞれ説明していきます。

不動産

まず、不動産の差押えについて説明していきます。

差押えを行う上で怖いのは、財産がどこかに行ってしまうことです。

不動産はなかなか処分されないので、ある程度安心して差押えをチャレンジできます。

ただ、気を付けることも多いです。不動産は地域によっては思いのほか低額となることが多く、換価しても手元に残らないことがあります。

また、他の債権者と競合する場合には目減りし、特に国税は優先されます。

このように、現実的には多くを取れないことも多く、プレッシャーをかける手段として使うこともあります。

動産

次に、動産を差し押さえる動産執行について説明します。

多くは相手の家に行き、そこにある動産を差し押さえるという手続です。

ただ、生活必需品(洋服など)は差押禁止となっていますので、現実的には多額の現金が家にあるような事案でないと、なかなかうまくできません。

不動産の強制執行よりもさらに難易度が高いことから、プレッシャーをかける目的と、その場で相手と話合いをする目的で行われることが多いと思います。

自動車

自動車を差し押さえるのを、自動車執行と呼んでいます。

基本的には動産執行と同じですが、自動車の場合は所有者が誰かを確認する必要があります。

自動車は使用者と所有者が異なる場合があるからです。

自動車ローンで購入していると、ローン会社などに所有権が留保されている場合があります。

この場合、不倫相手が所有者ではないので、差し押さえることができないという結論になります。

債権

相手が債権を有している場合は、それを差し押さえることが考えられます。

広い意味では先に述べた給与も給与債権、以下に述べる銀行預金も預金債権ですが、ここではこれら以外の債権差押えを説明します。

考えられる債権としては、例えば相手が個人事業主だとして、取引先に有する売掛金や報酬請求権などです。取引先は、不倫相手ではなく、こちらに払うことになります。

債権があるか、あるとしていくらなのかは外部からは分かりにくく、差押えの難易度は一般的に高いです。

銀行預金

誰しも預金口座を持っているはずなので、銀行預金を差し押さえるのは有効な手段です。

ただ、銀行の場合その支店名まで特定する必要がありますので、差し押さえる前に事前に調査をする必要があります。

いくつか手段が用意されていますが、相手に察知されてしまうと引き出されてしまうおそれがあることから、密行性を確保しつつ調査を進める必要があります。

なお、ゆうちょ銀行は支店の特定が不要ですので、差押えをする側としてはかなり楽になります。

慰謝料未払いによる強制執行における財産の差押えの流れ

今まで、差押えの概要をご説明いたしました。

これから、それぞれの財産の差押えの手続について、具体的に説明していきます。

基本的には裁判所に申立てをし、相手の財産を換金してお金をもらうという流れになります。

不動産の場合

不動産の強制執行は、裁判所が競売にかけ、その代金から配当をもらうという形で行われます。

具体的には、まず裁判所に対して、競売の申立てをします。

申立てには、多くの資料が必要です。

不動産登記の(全部)事項証明書や公課証明書(固定資産評価証明書など)などの基本的な書類のほか、物件までの行き先を記載した物件案内図も必要とされることが多いです。

裁判所が強制執行できると判断すれば、開始決定が出されます。

東京地裁の場合は、開始決定に先立って予納金を積む必要があります。

東京地裁が公表している予納金額の目安は以下のとおりです。裁判所などによって異なります。

請求債権額 予納金額
2000万円未満 80万円
2000万円以上5000万円未満 100万円
5000万円以上1億円未満 150万円
1億円以上 200万円

開始決定が出ると、裁判所の関係者(執行官と呼ばれる人などです)が現地に行き、値段を決めます。

期間を決めてその間に入札がされ、一番高い値段を付けた人が買うことになります。

買った人が納めた代金を、申し立てた人に配分されます(配当といいます)。

十分に高く売れれば、予納金は返ってきます。

他方、うまく売れないと、予納金が目減りして返ってきます。

不倫慰謝料の金額ですと、予納金は上記表でいう80万円のところに入ることがほとんどです。

そうすると、①差押えの前に最低80万円は用意しておく必要がある、②他の債権者と競合するおそれを念頭に置く必要がある、③実際に高く売れそうか、買い手が現れそうか検討しておく必要がある(予納金が全額戻ってこないおそれも考える)など、準備・検討しておく必要があることが多いといえます。

他方で、十分に高く売れる場合には、不倫相手としても数百万円の慰謝料で価値のある不動産を失うことになり、生活に大きなダメージとなります。

不動産を失いたくないと考え、競売を取り下げてもらうために慰謝料を支払ってくることがあります。

動産の場合

動産執行の場合、申立書を裁判所(正確には裁判所の中にいる執行官という人)に対して提出します。

執行に先立って、執行官と打合せをします。

いつ強制執行するのが効果的か(相手がいるか)、開錠業者を呼ぶべきか、押さえた後どうするかなどです。鍵が閉まっている場合でも、業者に開けてもらいます。

予納金と併せて業者さんへ謝礼を払うことが多いですので、合計して10万円くらいは覚悟しておくとよいです。

現地にあった動産(通常は価値のあるものに限定)を持って帰ってきて、執行官に売ってもらいます。

その売却代金から慰謝料を回収します。

ただ、先に述べたとおり、店舗や自宅に多額の現金を置いているなどの特殊な事情がない限り、差押えが功を奏することは多くありません。

通常は、相手がいる時間を狙って執行に行き、その場で支払いの交渉をすることが多いです。

逆に言えば、顔を合わせたくない相手であれば、弁護士に代わりに行ってもらう方が適切であることが多いといえます。

債権の場合

債権(給与や預貯金を含む)の執行の場合も、裁判所に申立書を提出するところから始まります。

不動産や動産と違うのは、裁判所が財産をお金に換えるのではなく、その債権を負っている人から直接取り立てることで実現する点です。

すなわち、債権差押命令が出ると、不倫相手にお金を払うべき人(第三債務者と音でいます)は、不倫相手にお金を支払ってはいけないことになります。

この第三債務者というのは、給与であれば不倫相手の勤務先、預貯金であれば金融機関です。

勤務先や金融機関は、不倫相手からの請求に応じず、貯めておきます。

その後勤務先や金融機関と交渉し、こちらに支払ってもらうのです。

「売ってお金に換える」というプロセスがないので、比較的素早く回収することができ、預金額のように金額も明確に分かるので、差押えがうまく行ったかどうかも比較的早く知ることができます。

不倫慰謝料の回収を考えた場合、不動産や動産よりも債権執行を先に検討することが多いと思います。

慰謝料未払いによる強制執行における財産の差押えを弁護士に依頼するメリット

以上のように、慰謝料が支払われない場合の強制執行の手続を説明してきました。

日常的に「差し押さえる」とよく言いますが、案外手続が様々で複雑であると感じられたと思います。

弁護士に依頼してみようとお考えになった方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、弁護士に依頼するメリットについてご説明します。

1. 債務名義の取得から一括してお手伝いできる(時に不倫相手の顔を見ずに済む)

強制執行を行う前提として、債務名義が必要であると説明しました。

公正証書であれば、ある程度ご自身で対応可能ですが、不倫相手と顔を合わせる必要が出てきます。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに公証役場に出頭することで、不倫相手と顔を合わせる必要がなくなります。

判決や和解調書であれば、ご自身で対応するのはかなり困難になるでしょう。

訴状を提出し、反論が来たら再反論をし、尋問が必要になれば準備し、判決や和解内容を確認し・・・と多種多様な法的知識が要求されます。

弁護士は債務名義の取得段階からお手伝いが可能です。

2. 財産調査の手段に精通している

債務名義をせっかく取得しても、裁判所が財産の調査をしてくれないというのは前述のとおりです。

つまりは、どのような財産があるか、こちら側で調査する必要があるということです。

弁護士であれば、23条照会という弁護士しか使うことができない手段を使うことができますし、どういった観点で調査していけば見つかりやすいかといった知見もあります。

場合によっては裁判上の手続を使って調査することもあります。

このように、財産調査の手段を多く持ち、精通していることから、弁護士に依頼すると相手の財産を発見しやすいというメリットがあります。

3. 財産選択やタイミングに対して意見を言える

複数の財産があった場合にどの財産を選ぶか、どのタイミングで執行をかけるかは頭を悩ませる問題です。

実は財産調査と同じくらい、財産選択とタイミングの選択は重要です。

手続の順番を間違った場合、財産を隠されるなどの事態もあり得ます。

また、タイミングがずれてしまうと、回収金額が大きく変わることもあります。

ボーナスが入った直後に押さえれば大きな額になりますが、引き出された後では空振りに終わるかもしれません。

弁護士であれば、経験を活かし、最も多く回収できるにはどれをどのタイミングでどう差し押さえていくかの意見を言えます。

4. 資料の収集等手続にかかる一切を任せることができる

特に不動産執行は、必要な書類が多く、申し立てるだけでも一苦労です。

動産執行は執行官との調整や現地立会いなど、やることが多いです。

債権執行は比較的準備が容易ですが、定型書式にうまく準拠しないと書き直しを命じられることがほとんどです。

第三債務者との交渉も、金融機関であればそれほど苦にはなりませんが、勤務先が差押えに慣れていない場合などは、余計な手間がかかります。

弁護士であれば、申立てから回収まで一切を担当することができます。

先に述べたとおり、相手と顔を合わせそうなときでも、弁護士が代わりに行うことができます。

まとめ

以上のように、不倫慰謝料が支払われない場合の手続について説明してきました。

交渉してサッと払ってくる場合と比べて、債務名義を取得し、財産調査をし、申立てをするという、かなり手続として重いことがご理解いただけたと思います。

特に不倫慰謝料は、相手と会いたくないという特殊な事情があります。

こうしたことを考えると、弁護士には一括して任せることができますので、他の事件と比べても依頼するメリットがより大きいと思います。

東京スタートアップ法律事務所は日々債権回収を扱っておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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神尾 尊礼
執筆者 弁護士神尾 尊礼 埼玉弁護士会 登録番号37157
得意分野
契約法務 、 ITビジネス法務 、 人事・労務問題 、 M&A / IPO 、 紛争解決 、 債権回収 、 知的財産 、 不動産 、 学校法務 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続 、 交通事故 、 債務整理 、 消費者被害 、 学校問題
プロフィール
東京大学法学部 卒業
東京大学法科大学院 修了
弁護士登録
森・濱田松本法律法律事務所 入所
法テラス埼玉法律事務所 入所
彩の街法律事務所 開設
弁護⼠法⼈ルミナス法律事務所 参画
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書籍・論文
『 企業実務 : 企業の経理・税務・庶務・労務担当者の執務指針』日本実業出版社 ・2020年1月号「民事裁判の審理期間が3分の1程度に短縮へ」 ・2020年6月号「個人情報保護法が改正されます」 ・2020年11月号 「労働審判の実務手続きと留意点」 ・2021年6月号「やむを得ず労働条件を切り下げる際の手続きと注意点」 『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』中央公論新社(猪谷千春著)※巻末に法的コメント
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