不倫で訴えられたらどうすべき?訴状が届いた後の流れや慰謝料の減額方法
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記事目次
「不倫で訴えられてしまったが、どう対処していいかわからない」
「訴状が届き、不倫の慰謝料を請求されているが、こんなに支払えない」
不倫相手の配偶者から突然、慰謝料の請求書や裁判所からの訴状が届いたために、途方に暮れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不倫相手の配偶者から請求書や訴状が届き、驚きと不安な気持ちでいっぱいな中で、誰にも相談できずに、一人で悩まれる方は多くいらっしゃいます。
今回は、訴状が届いたらまず確認すべきこと、慰謝料の支払いを回避できる場合、減額の可能性が高い場合、訴状受領後の手続の流れなどについて解説します。
不倫で訴えられた!訴状が届いたらまずすべきこととは?
突然、裁判所から訴状が届いたら、誰でも動揺してしまうものです。
しかし、訴状が届いたということは、裁判は既に始まったということを意味し、逃げることはできません。
落ち着いて、訴状に記載されている内容を確認の上、反論すべき部分は反論し、不利益を被らないようにすることが大切です。
具体的にどのような点を確認するべきか説明します。
1.訴えられた内容は事実か確認する
まず、訴状に記載された内容が事実かどうか確認しましょう。
訴状には、請求の趣旨と請求の原因が必ず記載されています。
それぞれの内容は以下の通りです。
- 請求の趣旨:原告が裁判所に求める判決内容(例:被告は、原告に対し、金○○円を支払え。)
- 請求の原因:請求の趣旨の根拠である不貞行為に関する具体的な事実とこれにより侵害された夫婦生活の内容等
特に、請求の原因に、事実と反する内容が書かれていないか、よく確認しましょう。
事実と異なる内容が記載されている場合は、反論する必要があります。
2.高すぎる慰謝料を請求されていないか確認する
請求の原因に記載されていることが全て事実だとしても、不当に高い慰謝料を請求されている場合は反論をする必要があります。
不倫による慰謝料の算定方法について、法律の条文で明確な基準が定められているわけではありません。
裁判の判決においては、過去の類似事件の裁判例を参考としつつも、事案に応じて、裁判所の自由な心証に基づいて慰謝料の金額が決められることとなり、その相場は数十万円から高額な場合でも500万円程となるのが通常です。
通常の相場よりも高い慰謝料を請求されている場合は、反論を行い、減額を求める必要があります。
また、請求金額が相場の範囲内だとしても、事案によっては不当な請求を受けている可能性もあります。
請求金額が妥当かどうかわからない場合は、不倫問題に精通した弁護士に相談して、アドバイスを受けるとよいでしょう。
訴状は無視せずに対応する
裁判所から届いた訴状を無視してはなりません。
訴状には、第1回口頭弁論期日の呼出状と、答弁書の雛形や、提出期限に関する書面も同封されていることが通常ですが、答弁書の提出期限までに提出せず、裁判所へ一切連絡することも無しに期日に出廷しないという対応は危険です。
そのような対応をしてしまうと、最悪、裁判所が相手方(原告)の言い分をそのまま認めてしまい、相手の言い分に沿った判決が下されるリスクが高いためです。
訴訟を提起された場合には、提出期限や第1回期日までに、弁護士に相談する等して適切に対応することが重要です。
不倫で訴えられた後(訴状受領後)の流れ
訴状を受領した後は、相手が訴えを取り下げない限り、裁判での審理が始まります。
裁判での審理が開始された場合の手続の流れについて説明します。
1.答弁書の提出
訴状受領後、訴えられた側(被告)は、まず、訴状に記載された内容について、答弁書を提出して、認否(請求の原因に記載された事実に対し、「認める、認めない、知らない」等の回答)や反論をします。
答弁書には、請求の趣旨と請求の原因が記載されていますので、各項目について、一つひとつ認めるか否かを記述しましょう。
反論や手続の進め方等について裁判所や訴えた側(原告)に対し希望等がある場合は、それらも併せて記載する場合もあります。
答弁書は必ず提出するべきと考えられます。
答弁書を提出せず、第1回期日にも出頭しない場合は、相手方の請求内容や主張内容を全て認めたものとみなされ、相手方の請求どおりの判決が下る可能性があるため注意が必要です。
2.証拠の準備
主張内容を書面に記載するだけでは、裁判所に事実として認めてもらうのは難しいでしょう。
事実として認めてもらうためには、客観的な証拠が存在する場合には、的確な証拠を裁判において示し、事実関係を立証する必要があります。
証拠の提出は、証拠となる書類や画像の写しを裁判所と相手方に提出し、原本は裁判期日に提示する方法で行います。
自分の主張を裏付ける証拠になりそうなものは、処分することなく、必ず保管しておくことが大切です。
3.さらなる主張は準備書面で行う
答弁書提出後に、答弁書に記載した内容以外にも、さらに主張を行いたい場合は、準備書面の提出をします。
裁判所は、提出された準備書面の内容に基づき、それぞれの主張の法的根拠や、争点の整理などを行いながら、審理を進めていきます。
準備書面を作成する場合は、裁判所に認めてもらえるように論理的で明確な主張を行うことが大切です。
4.判決が出るまでの期間
民事裁判の判決が出るまでの期間は個々のケースによって異なります。
事実関係を争わない場合などは、比較的短く、数か月程度で終わることもありますが、事実関係を争う場合は、1年近く(場合によっては1年以上)かかることも珍しくありません。
裁判手続では、ある程度の時間と労力が必要になることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
裁判の全体の流れ
それでは、地方裁判所に不貞慰謝料を請求する裁判を提起された場合の流れをご説明します。
①訴状送達
まずは、裁判所から自宅に訴状等の書類が送られてきます。
②第1回口頭弁論期日
裁判所が指定した日程で第1回口頭弁論期日が開かれます。
答弁書を提出していれば、1回目の裁判期日に欠席したとしても、原告の主張を認めたとは扱われません(ただし、2回目からは出席する必要があります)
③第2回以降の口頭弁論期日
第2回目以降は、当事者の主張を整理して証拠を確認し、争いのある部分や当事者双方が認めている部分はどこなのかを確認することになります。
④当事者尋問・証人尋問
争点整理が終わったら、当事者尋問や証人尋問を行います。
不貞慰謝料を請求された場合には、原告と被告、不倫した配偶者の3者の尋問を行うケースが多いです。
⑤和解もしくは判決
【和解】
判決ではなく和解で裁判を終了させることができ、和解が成立した場合は、判決と同じ効力が生じます。
判決まで進む前に裁判が終了するため、訴訟を早く終わらせることができるというメリットがあります。
【判決】
当事者間で折り合いがつかずに和解ができなかった場合には、判決により裁判が終了します。
判決の内容に不服がある場合には、上級の裁判所に不服申立である控訴を行うことができる場合があります。
不倫で訴えられることのデメリットとメリット
それでは、慰謝料請求について訴えられ、裁判所で審理されることにはどのようなデメリットとメリットがあるのでしょうか。
訴えられることによるメリットがある場合
裁判においては、過去の裁判例の蓄積により、事案毎に認められる慰謝料の増額要素や減額要素を基に、相場から大きく離れた過大な慰謝料が認められることは通常ありません。
そのため、相手方(原告)が、事案の相場よりも相当高額な慰謝料を請求したとしても、裁判所としては中立的な立場で証拠に基づいて適正な慰謝料を認定することが予想されます。
このように、相手方の請求が、法律実務から到底認められない過大な要求である場合、裁判所による適切な判断を期待できる点にメリットがあるといえます。
訴えられることによるデメリットがある場合
裁判は通常1か月~2か月毎に期日が進行し、その間に書面を準備したり証拠を提出したりすることが通常ですので、最終的な解決までの時間が交渉の場合と比較すると長期化する傾向にあります。
また、訴状は原則として被告本人の住所宛てに送達されるため、事件内容について家族に秘密の場合に、訴状の受け取りのタイミング次第では、不貞の事実が家族に発覚する可能性もあります。
さらに、裁判期日の対応についても、弁護士に依頼した場合は弁護士が代理人として出廷等の対応をすることができますが、依頼しない場合は出廷や書面準備等について本人が対応しなければならず、時間や労力がかかります。
慰謝料の支払いを回避できる場合
慰謝料の支払いを求めた訴訟を起こされても、適切な反論を行うことで、支払いを回避できる可能性があります。
具体的にどのような場合に慰謝料の支払いを回避できるか説明します。
1.肉体関係がなかった場合
肉体関係等の性的な行為や身体的接触が一切なく、プラトニックな関係のみでああり、不貞行為そのものがなかった場合は、原則として、慰謝料を支払う必要はありません。
不倫の慰謝料請求の民法上の根拠である不法行為責任は、このような不貞行為が存在することで発生します。
不貞行為とは、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為であり、典型的には配偶者以外の者と性的関係を結ぶことがこれに当たります。
そのため、肉体関係等の性的な行為がなかった場合、不法行為責任が発生する場合は限定的であり、慰謝料を支払う必要はないとされることが多いでしょう。
2.時効が成立している場合
時効が成立している場合も、慰謝料を支払う必要はありません。
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、民法第724条では以下のように定められています。
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
つまり、相手方が不倫の事実と不倫相手の情報を請求することが可能な程度に知ってから、既に3年以上経過している場合は、消滅時効の成立により、慰謝料の支払義務を免れることができるのです。
3.相手が既婚者だとは知らなかった場合
相手が既婚者だと知らずに不倫をしてしまい、しかも、知らなかったことについて自分に過失がなかった場合も、慰謝料の支払いを回避できる可能性があります。
民法第709条が定めるとおり慰謝料を支払う必要があるのは「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」場合です。
つまり、慰謝料を支払う必要があるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
- 相手が既婚者であることを承知のうえで意図的に不倫をした場合(故意がある場合)
- 注意すれば相手が既婚者であると気づくことができた可能性が十分にあったにもかかわらず、注意を怠って不倫をした場合(過失がある場合)
たとえば婚活パーティーや婚活サイトなど、独身であることが前提の場で出会ったり、相手が「独身である」と巧みに嘘をついて関係を持ってしまったりした場合は、こちらも騙された被害者です。
相手が既婚者だとは知らずに付き合っていた事実を立証することで、慰謝料の支払いを回避できる可能性があります。
4.相手方が既に十分な金額の慰謝料を受け取っている場合
相手方が既に十分な金額の不貞慰謝料を配偶者から受け取っている場合は、慰謝料を支払わなくてよいことがあります。
不倫における慰謝料は、共同で不法行為を働いた当事者二人が連帯して支払義務を負うものであり、いずれか一方が不倫の慰謝料を支払った場合は、法律上、もう一方もその金額を支払った(弁済した)こととなります。
そのため、既に配偶者から十分な慰謝料を支払われている場合、こちらが負担すべき分も支払われていると主張することができます。
5.関係を持つ以前に婚姻関係が破綻していた場合
不倫関係になる前に夫婦関係が破綻していた場合も、慰謝料の支払いを回避できることがあります。
不倫による慰謝料の請求は、不倫によって夫婦関係が壊された場合に認められるものですので、不倫の開始前に既に夫婦関係が破綻していた場合は原則として認められません。
ここでいう、婚姻関係が破綻した状態とは、たとえば、長期間の別居や離婚に向けての話し合いをしていた状態のことを指します。
不倫関係が始まる前から、相手の婚姻関係が破綻していた場合、それを立証することにより、慰謝料の請求を避けられる可能性があります。
6.強要された関係だった場合
脅迫されるなどして、無理やり関係を持たされた場合も慰謝料を支払う必要はありません。
場合によっては、こちらが不同意性交等罪の被害者となることも考えられます。正しい事実主張を行い、慰謝料請求の不当性を訴える必要があります。
慰謝料減額の可能性が高い場合
慰謝料を請求された側の悪質性が低いと判断される場合は慰謝料が減額になることがあります。
また、相手が受ける精神的苦痛の大きさによっても、慰謝料額は増減します。
具体的にどのような場合に慰謝料の減額が認められるか説明します。
1.不倫期間が短い
不倫期間が短い場合は、悪質性が低いとして、減額になる可能性があります。
一般的に、不倫していた期間が1年以上あった場合は比較的長い、数カ月未満の場合は比較的短いと考えられる傾向にあるようです。
2.不貞行為の回数が少ない
不貞行為の回数が少ない場合も、悪質性が低いとして、減額されることがあります。
不貞行為の回数は、数回程度なら少ない、20回を超える場合は多いと考えられるでしょう。
3.相手とその妻が結婚して間もない
相手とその妻が結婚して、3年以内の場合も減額されることがあります。
逆に相手の婚姻期間が長く、かつ、夫婦関係が円満だった場合は、婚姻期間に比例して破壊された場合の相手の受ける精神的苦痛の大きさが考慮され、増額されることもあるでしょう。
4.相手に幼い子供がいない
相手に幼い子供がいない場合も減額される可能性があります。
逆に、相手に幼い子供がいる場合、育児で大変な時期に配偶者に浮気をされることにより受ける精神的苦痛の大きさを考慮され、慰謝料は増額される傾向にあります。
逆に、相手に幼い子供がいない場合には、減額の事情となりえます。
5.請求される側が若年である場合、資産がない
慰謝料請求をされる側が若年であり、資産がほとんどない場合は、法的な慰謝料減額の要素には厳密には当てはまらないと考える見解が最近は多いものの、現実的には支払能力がないことが考慮された結果、減額になることがあります。
特に未成年であった場合は、判断能力が十分ではないと考えられますし、減額になる可能性が高いでしょう。
6.発覚後に関係を清算して反省している
不倫発覚後に関係を清算し、反省が見られる場合は減額される可能性があります。
誠実に謝罪をして、反省していることを示すことが大切です。
慰謝料の金額はどう決まる?
不貞慰謝料にはある程度相場が存在しますが、実際のケースでは金額に影響する事情は異なります。
金額に影響する事情としては、婚姻期間の長さ、不貞期間や頻度、不貞行為の悪質性の程度などがあります。
裁判前の示談の場面では、当事者が納得の上で合意できれば、その金額で決定することになります。
そのため、場合によっては、適切な減額がされないまま相場から大きく離れた慰謝料額で合意しているケースもあります。
他方で、裁判になると、第三者機関である裁判官が公平な立場で判断することとなります。
ここでは、ほとんどの場合は相場に近い金額で決定されることとなります。
不倫で訴えられた際に弁護士に相談するメリット
不倫で訴えられてしまった場合、弁護士に相談することで、慰謝料の減額に成功する可能性が高まります。
また、慣れない裁判手続へ費やす時間や労力を軽減することができるでしょう。
不倫で訴えられた際に弁護士に相談するメリットについて具体的に説明します。
1.的確な主張で慰謝料減額の可能性が高まる
弁護士に依頼すれば、的確な主張を行うことで、慰謝料の減額に成功する可能性が高まります。
こちらの主張を裁判所に認めてもらうためには、法律実務に則った論理的な主張を行い、主張内容を的確に立証する必要があります。
特に法的根拠に基づいた主張は、専門的な知識や豊富な実務経験を持つ弁護士だからこそ効果的に行うことができるのです。
また、弁護士が、裁判外で相手方と交渉を行うことで、減額した慰謝料での和解を成立できることもあります。
さらに、場合によっては相手に訴えを取り下げてもらうことで、早期解決を図ることができます。
2.裁判手続に要する負担がなくなる
前述した通り、裁判手続には多くの時間と労力が必要です。
裁判になると、指定された期日に出頭する必要があるだけではなく、期日までに指定された書面や主張を裏付ける証拠を提出しなければなりません。
弁護士に依頼すれば、原則として裁判所に出頭する必要もありませんし、書面や証拠の提出についても全て弁護士に任せることが可能です。
もちろん、主張書面を作成する際や今後の方針を決める際の打ち合わせに協力したり、証拠の準備をしたりする必要はありますが、自分で裁判手続を行う場合に比べれば、かかる手間と時間は大幅に削減されます。
まとめ
今回は、訴状が届いたらまず確認すべき点、慰謝料の支払いを回避できる場合や減額の可能性が高い場合、訴状受領後の手続の流れ等について解説しました。
不倫による慰謝料請求においては、相手方の請求金額を減額できる場合が少なくありません。
また、事情によっては、支払いを回避できることもあります。
そのためには、法的根拠に基づいて、論理的に主張することが大切です。不当に高い金額の支払いを避けるためにも、不倫問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
私達、東京スタートアップ法律事務所は、不倫問題でお悩みの方が不当な負担を強いられないよう全力でサポートしております。
秘密厳守はもちろんのこと、分割払い等にも対応しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。
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- 契約法務 、 人事・労務問題 、 紛争解決 、 債権回収 、 不貞慰謝料 、 離婚 、 その他男女問題 、 刑事事件 、 遺産相続
- プロフィール
- 福島県出身
慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
民間企業勤務
弁護士登録
東京スタートアップ法律事務所入所